不動産一括査定サイトで悪徳な不動産会社につかまりたくありません。どんなところに注意すれば良いでしょうか?

不動産一括査定サイトで悪徳な不動産会社につかまりたくありません。どんなところに注意すれば良いでしょうか?

自宅の売却を考えています。不動産会社に知り合いがいないので、不動産一括査定サイトを利用しようと思っています。でも、不動産一括査定サイトにも悪徳な不動産会社が混じっているとも聞きます。
どんなところに注意すれば悪徳な不動産会社につかまらずに済むでしょうか?

この記事に登場する専門家

菅 正秀

宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。
大阪府大阪市生まれ。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。ステレオタイプの不動産会社のイメージを払拭して、顧客と不動産会社が健全なパートナーシップを結べる一助なるコンテンツ作成を心がけている。

近年、不動産を売却する場合に、不動産一括査定サイトを利用する方が増えています。
確かに不動産一括査定サイトは、手軽に無料で利用でき、良い不動産会社と出会うことができるユーザーにとって嬉しいサービスです。

一方で、「しつこい営業にあって困った」「思うような価格で売れなかった」等の悪い評判も口コミサイトでよく見かけます。

本記事では、そもそも悪徳な不動産会社とはどういった会社なのか?ということと、悪徳な不動産会社につかまることなく、良い不動産会社を選ぶ方法を解説します。

また、良い不動産会社を選別するための質問集も伝授します。

最後までお読みいただければ、安心して不動産一括査定サイトを利用できるようになります。

宅地建物取引士で、業界経験20年以上の筆者が、分かりやすくお伝えします!

⒈不動産一括査定サイトの悪徳不動産会社対策

不動産一括査定サイトは、不動産を売りたい人と、不動産を売りたい不動産会社(売り物件を預かって仲介したい)を結びつけるマッチングサービスを提供するものです。

査定をする不動産会社の質が悪ければ、評判が落ちていきユーザーがサービスを利用しなくなってしまうので、不動産一括査定サイト各社では、悪徳不動産会社を排除する対策を行っています。

例えば、HOME4Uは独自のノウハウから悪徳会社を徹底的に排除する審査を行っています
また、イエイでは、悪質な掲載会社を排除する仕組み(イエローカード制度)を持っています。ユーザーから評判の悪い不動産会社との契約を解除できるのです。


画像引用:イエイより

マンションナビでは、提携不動産会社を集めて、「ユーザーに対しどのように営業すれば媒介契約が取れるのか」といったセミナーを開催して、不動産会社のレベルアップをはかっています。

このように、不動産一括査定サイトの数が年々増え競争が激しくなっており、各社とも悪徳不動産会社対策に力を入れています。

⒉悪徳な不動産会社とは?

悪徳不動産会社の画像

それでは、悪徳な不動産会社とはどのような会社でしょうか?

口コミサイトでは、よく「しつこい営業をかけてくる会社」のことが取り上げられています。
確かに、時間やこちらの都合も考えずに、ひたすら営業をかけてくる不動産会社には「イラっ」とすることでしょう。

しかし、最も悪徳な不動産会社は他にあります。

それは、お客様(売主)の利益より自社の利益を最優先する不動産会社です!

このような悪徳不動産会社に売却を依頼してしまうと、あなたの物件が本来売れる金額で売れなかったり、本来売れるタイミングで売れなかったりするからです。

具体的には、「物件の囲い込み」を行ったり、逆にレインズに物件を登録するだけで販売活動は何もしないでほったらかしにしたりし、買主から高額の値引き交渉がきても売主に合意するよう迫ったりします。

※「物件の囲い込み」とは、例えば、他社から「購入検討者がいます」と連絡が入っても、検討者がいないのにも関わらず「商談中ですので案内できません」と断ってしまうような行為です。

 

「物件の囲い込み」は、有名な不動産会社や大手不動産会社でも行われるケースがありますから、安心できません。

また、査定価格が一番(飛び抜けて)高かったり、仲介手数料の大幅値引きをちらつかせたりして、一見あなた(売主)の味方のようなフリをしますから厄介です。

このような最も悪徳な不動産会社は、媒介契約を交わした後でしか分からないので悩ましいです。

不幸にして、最も悪徳な不動産会社につかまってしまったときの対処法

「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の場合は、同時に他社への仲介依頼はできませんから、別業者と契約する前に現在の契約を解除しなければなりません。通常3か月契約を更新していくことが多いので、その期間の満了まで待てば特に手続き不要で別業者と契約できます。

「媒介契約」には主に3つの種類があります。

契約名 特徴
一般媒介契約 複数の不動産会社に売却依頼をしても、自分で見つけた買主と取引してもOK。
その分、締結会社の本気度は低くなる恐れがある。
専任媒介契約 他の不動産会社との媒介契約の締結ができなくなる。
不動産会社同士の競争を心配せずに売却に取り組むことができるため、締結会社の本気度は高くなる。
専属専任媒介契約 他の不動産会社との媒介契約の締結および自分で見つけた買主との取引ができなくなる。
一方で専属専任媒介契約を締結した不動産会社の売却に対する本気度は高まる。

それ(通常3か月契約を更新)を待たずして契約を途中で解除することも可能です。
媒介契約は、法律の性質上「委任契約」ですから、好きな時に契約を解除できます。違約金も必要ありません。

このような悪質な会社とは一刻も早く縁を切りましょう。

⒊良い不動産会社とは

ここでは、良い不動産会社とはどのような会社か見ていきましょう。

それは、お客様の利益を一番に考える不動産会社です!

具体的には、下記条件を満たす会社になります。

良い不動産会社の5つの条件
正確な査定金額を出せる(根拠が明確で納得できる)
②あなたの物件の所在地のエリアで仲介実績が豊富にある
買主を集客する力がある
④あなたの不動産の売却戦略を提案できる
⑤あなたの不安や疑問に対する不動産会社の担当者の対応がよい

市況や、地域事情に精通していなければ正確な査定はできません。実績は実力の証ですし、それを支えるのが集客力になります。

そして、お客様の利益のためには、あなたの売却理由に適した販売戦略を提案できることが大事になります。
不動産が売却できるまでには数ヶ月かかります。その間何度も会って打ち合わせすることになる担当者との相性が良くなければ上手く行きません。

ここでは、後述の「良い不動産会社を選ぶための質問」のための前提知識となる「買主を集客する力」について説明しておきます。

不動産会社はどうやって買主を探しているのか ご存知でしょうか?

買主の集客方法として、以下の6つの方法があります。

  1. インターネット
  2. チラシ
  3. 電話・メール
  4. 来店
  5. オープンハウス
  6. レインズ

①インターネット

インターネットは、不動産ポータルサイトと自社ホームページの2つにわけることができます。

・不動産ポータルサイト
ポータルサイトとは、多くの人がインターネットにアクセスして最初に訪れるWebサイトのことで、ポータルとは「玄関・入り口」という意味です。『不動産のWebサイト』といえばこのようなサイトを思い浮かべるのではないでしょうか?

SUUMO(スーモ)、LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)、at home(アットホーム)、Yahoo!不動産(ヤフー不動産)、O-uccino(オウチーノ)が代表的なサイトです。

お金がかかるので掲載してくれない不動産会社もありますので注意が必要です。

・自社ホームページ
あなたの不動産を、不動産会社のホームページにも掲載します。
いまだにホームページがない不動産会社もあります。

②チラシ

チラシにあなたの不動産を掲載して、購入希望者を集める方法です。チラシは、新聞折込とポスティング(手撒き)の2つがあります。近年、広告媒体の主流は紙からインターネットに移ってきていますが、今でも効果的な手法の一つです。

③電話・メール

これまでに不動産会社に購入の相談をしていたお客様(買主)の条件が、あなたの不動産に合致しそうなら紹介します。これを行わない不動産会社はありません。
特別に顧客名簿とかを買って、無作為に電話するわけではありません。

④来店

不動産の購入の相談をするためにご来店されたお客様にも紹介します。

最近、街で不動産会社の店舗を見かけることが少なくなったと思いませんか?
あなたは、有名な会社(大手)がどこにあるかご存知ですか?

近年、雑居ビルの上階に店舗を構える会社が増えています。都心の1階は賃料が高いからです。しかし、これでは通りすがりに気軽に相談というわけにはいきません。

筆者も、以前大手の会社でビルの4階の店舗に勤務したことがありますが、1年間でお客様が相談にこられたのは2件だけでした。

1階路面店舗で営業している不動産会社にアドバンテージがあります。

⑤オープンハウス

オープンハウス(現地内覧会)とは、物件の購入を検討している人に対して、自由に見学できるように家を開放していることを指します。一般的に空き家の物件の場合に行います。

⑥レインズ

レインズとは、簡単にいうと不動産会社だけが利用できるサイトのことで、レインズにあなたの物件を掲載することで、他の不動産会社からも抱えている購入希望者を紹介してもらうことができます。

理想的なのは、この6つの方法を全てまんべんなくキッチリ行っている不動産会社です。

それによって、お客様を取りこぼすことがなくなり、様々なタイプのお客様を集客できることにつながります。
そして、様々なタイプの買主候補のお客様がいれば、あなたの不動産がどのような物件でも、あなたの物件の特徴に合うお客様(買主)をマッチングさせることが可能になるからです。

⒋不動産一括査定サイトは良い不動産会社を見つけるツール

筆者は、以前から不動産一括査定サイトを良い不動産会社を見つけるツールとして利用することを推奨しています。

どの不動産一括査定サイトでも、「机上査定」と「訪問査定」の2つの査定方法を選べるようになっています。

「机上査定」とは、あなたが不動産一括査定サイトの申し込み画面に打ち込んだデータを元に、物件を実際に見ることなく査定価格を算出する方法です。

「訪問査定」とは、不動産会社が実際に物件を見てから査定価格を算出する方法になります。

この「机上査定」と「訪問査定」を2回に分けて使うと良い不動産会社を選別するツールになります。

1回目は「机上査定」で書類審査。
2回目は「訪問査定」で面接審査。

という流れです。

具体的なステップは

①まずは「机上査定」を選択します。
②各社の査定書が出揃うまでの間に、不動産一括査定サイトの「コラム」などで不動産売却について情報を仕入れます(これである程度の疑問点は解消されるはず)
③各社の査定書をよく読み、あなたの物件をどう評価し、根拠はどうか吟味します(②で仕入れた情報が活きてきます)
④「訪問査定」を依頼する会社を3社ほど選択します。
⑤実際に面談して、その内容から依頼先の不動産会社を決定します(この時、解消されていない疑問点や聞いておきたい事を、各社にぶつけて対応力をみます)

という流れです。

⒌良い不動産会社を見つけるポイント

最後に、「机上査定」時、「訪問査定」時のポイントを説明します。

「机上査定」時の判断ポイント

ここでのポイントは、不動産会社の査定書に記載されている査定価格を導き出した根拠が明確か、他社やご自身で調べた相場に比べて妙に高くないか、という点です。

あなたの気をひくためにワザと高額の査定価格を出してくる不動産会社を排除するためです。
まず、高値で専任媒介契約を結び、徐々に価格を下げて(業界用語で値ごなしという)売りやすい価格になったところで両手取引を狙う手法です。無駄に時間がかかってしまいます。
このような会社は「物件の囲い込み」も行うことが多いです。

ご自身で相場を調べる方法は、AIによる自動査定や相場が分かる公的サイトを利用すのが良いでしょう。以下にリンクを貼っておきます。

AIで手軽に査定できると話題の「HowMa(ハウマ)」についてまとめていますので、参考にしてみてください。

HowMa(ハウマ)の評判|仕組みやAIの精度は?メリット・デメリットを徹底解説!

「訪問査定」時の判断ポイント

いよいよ、最終面接、不動産会社との面談です。

まずは、各不動産会社の担当者の説明をよく聞きましょう。

担当者の話の内容から担当者の専門知識、市況、競合物件の把握度を吟味してください。
不動産一括査定サイトのコラムから仕入れておいた情報が役立ちます。

担当者の話し方や、あなたの質問に対する受け答えから、あなたとの相性を判断しましょう。ここはフィーリングを大事にしてください。

実力と人間性の両面の審査になります。

また、担当者の方から、あなたの不動産を売却する理由についての質問があるかどうか、そこを深掘りしてくるかどうかに注意してください。
あなたの事情がよくわかっていないと、不動産の販売戦略が提案できないからです。

あなたの事情に興味を示さず、ただ手数料の値引きを持ち出して専任媒介契約を迫ってくるようではNGです。「手数料は半額です。当社に売却活動をまかせてください!」といって、レインズの登録しかしない不動産会社が存在しているのも事実だからです。

「訪問査定」の時に実際に使える質問集

これから、実際に使って有効な質問集を発表します!

実際に使える質問集

  • Q.査定に使用している事例の物件は、御社が仲介した物件ですか?
    →査定は概ね「取引事例比較方式」で行われます。その場合事例物件の選定が重要になります。また不動産会社の実績も聞けます。
  • Q.事例物件は、どのような事情で売られたのかご存知ですか?
    →事例が、売り急ぎや買い進みのような特殊事情があると査定金額の正確性に影響が出ます。また不動産会社の地域情報把握力、市況把握力がわかります。
  • Q.査定書の「流通性比率」の数字の理由を教えてください
    →「取引事例比較方式」で価格操作をしやすい項目なので、ワザと高くしていないかがわかります。
  • Q.今、うちの物件と競合するような物件はありますか?
    →売却戦略を立てる上で最も大事な事が、競合物件の情報です。競合物件の情報によって、あなたの物件の見せ方も変わってきます。不動産会社が市場動向に精通しているかどうかもわかります。
  • Q.私の物件をどのように販売しようと考えていますか?
    →前述の6つの買主集客方法をどの程度使ってくれるのか把握するためです。
  • Q.物件を売るのにどれくらいの費用がかかりますか? 税金はどれくらいかかりますか?
    →担当者の知識レベルを把握してください。
注意
※なお、不動産会社の選定は面談時に決定しないでください。不動産会社がねばってきても全会社の話を聞いてから、1人になって冷静に判断しましょう。

※「取引事例比較方式」は、あなたの不動産(査定物件)と似通った実際に売買された不動産=事例物件とあなたの不動産を比較して価格を算出する方法です。
実際にどのような手順で、どこを見て評価するのか詳しく解説した記事がありますので合わせてお読みください(査定額の決め方 参考記事)

まとめ

いかかでしたでしょうか?

ここまで、本当の悪徳な不動産会社の実態と、良い不動産会社の定義、不動産一括査定サイトを良い不動産会社選びに使う方法をお伝えしてきました。

不動産の売却の成功は、良い不動産会社を選ぶことが8割です。

お伝えした、良い不動産会社を選ぶための質問集をぜひ活用してみてください!

ただし、当サイトの他の記事や不動産一括査定サイトの「コラム」を読んで、情報武装しておくことを忘れないでください! これらを読んでおくと下手な不動産会社の担当者より十分に上にいけます。

当サイトにたどり着いたあなたのような勉強熱心な方なら、きっと不動産売却の成功を掴まれると思います。

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菅 正秀

■宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 ▼大阪府大阪市生まれ。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。 現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。ステレオタイプの不動産会社のイメージを払拭して、顧客と不動産会社が健全なパートナーシップを結べる一助なるコンテンツ作成を心がけている。