母が他界し、家を相続することになりました。父はすでに他界しているため、相続人は長男である私と次男と三男の3人です。母と一緒に住んでいたこの家も相続の対象になりますが、そのまま私がこの家に住むことになっています。そこで次男と三男には相続分を現金で払うことになりました。次男も三男も今まで親の面倒を見てくれたから相続分の半分でよいと言ってくれています。どこで不動産査定をしてもらえばよいでしょうか?
御母堂様のご逝去、お悔やみ申し上げます。ご家族の死は乗り越えがたいものですが、そんな心情を配慮して待ってくれることもなく相続の問題はやってきます。ご相談者様の場合、ご兄弟間の話し合いも揉めることなく、後とは相続分を決定するだけとのこと。非常に良い状況だと言えそうです。
ただし相続財産として自宅の不動産価値は正確に出し、ご兄弟全員が納得できるような分割が行えるように注力しなければいけません。不動産の価値を知るためには、不動産一括査定サイトへの申し込みが便利でしょう。
また、不動産査定は複数の不動産会社に申し込むのが鉄則です。一社のみによる不動産査定では査定額にもその根拠にも信憑性が感じられません。1社のみの査定はそれが平均的な価格なのかわからず、自分たちに不利な価格を提示されていることに気づくこともできないでしょう。不動産会社によっては、自社で契約を結ばせたいからとやたらと高い査定額を提示してくることもあります。
今回のご相談者様の場合、高すぎる不動産価値では自身がご兄弟への現金の準備に大変な思いをしますし、低すぎればご兄弟に不満が生まれかねません。そのため、より正確な査定結果を得ることは必須です。
不動産の価値は土地や建物の時価、周辺環境など、さまざまな面から評価されます。購入したときからその価値は常に変動しており、ひとつとして同じものはないため、専門家以外が判断するのは難しいものです。
また専門に不動産を扱う会社であっても、それぞれの基準や強みに基づいて価格を決めています。こうした点を考えたうえで、正しい価格を知るためには以下のような点に留意して不動産査定を依頼しましょう。
上記のような点に留意して査定を依頼することで、査定額の平均値の信憑性が高まり、財産分与もしやすくなります。不動産一括査定サイトの査定が出揃ったら、早速兄弟間で話し合いの場を持ちましょう。
ご兄弟間の話し合いで、次男、三男の方の相続分は半分でよいということなので、法定相続分の半分を渡すことになります。不動産査定額の平均値を兄弟の人数分の3で割り、各人の相続分を割り出し、さらにその半分の金額を支払うということです。
ご兄弟とご相談者様が全員納得されたら「遺産分割協議書」を作成して、実際に遺産相続の手続きと現金の支払いを行います。
不動産の相続方法は、4種類の方法があります。
今回、ご相談者様は次男、三男のご兄弟とともにお母様の財産を相続することとなりました。現在お住まいの住宅もお母様のお持ちの財産ということで、これをご兄弟で相続されることになります。ご兄弟お二人は、ご相談者様に住宅そのものをお渡しし、自分達は現金で相続分を受け取るということですね。これを遺産分割方法のうちの「代償分割」といいます。
相続財産の分割方法には以下のようなものがあり、ご兄弟など相続人が複数いらっしゃる場合には「代償分割」のほか、共有や換価分割などの方法で相続人がそれぞれ納得できるように分けていきます。
現物分割 | 不動産をそのまま相続人の1人が取得する |
代償分割 | 不動産を1人が取得、他の相続人に対し相応の金額を支払う |
共有 | 不動産を相続人全員で共有する |
換価分割 | 不動産を売却し、売却代金を相続人で分割する |
相続は財産の所有者が亡くなった際にその私有財産を受け継ぐことですが、相続する人が複数名いるとトラブルになることもあります。兄弟や親族間であってもお金のことなので、揉めてしまうことが多いのです。
ご相談者様の場合、ご兄弟も相続分を減らしてよいと譲歩していらっしゃるため、大変円満に相続の手続きを終えられます。後々もお互いに良い関係を維持していけるベストなケースでしょう。
財産の相続、分割では遺言書があればそのとおりに従うのが一般的です。そして遺言書がない場合には、民法に従って法定相続人へ法定相続分を分配。また遺言書があっても、法定相続人に対して財産を相続させないといった内容の場合、「遺留分」として最低限の遺産は受け取れるルールになります。
こうした法律の定めや遺言書の内容は、残された家族の意思によって変えることも可能です。生きている人の意思は優先的に扱われ、相続人全員の合意があれば、異なる割合の分割方法で相続財産を分けることもできます。ご相談者様ご家族のようなケースがこれにあたるでしょう。今回のケースでは、法定相続人のうちご兄弟二人がご相談者様に有利な相続内容を勧めており、ご相談者様は法定相続分よりも多く、ご兄弟は少なく相続することになります。
相続する不動産の価値は適切な業者に不動産査定を依頼して決めましょう
不動産を相続する際は、その価値を正確に知る必要があります。現金や預貯金では価値を評価する必要はありませんが、不動産や株などの場合にのみ必要です。不動産の評価は、税金と相続分の計算で出し方が異なります。税金の計算は相続発生時に遡って行われますが、相続分の計算をするのは「遺産分割を行う時点」です。
相続不動産の評価方法としては、路線価と固定資産評価額、実勢価格と公示地価の4種類の不動産評価方法が挙げられます。相続税の計算は相続税路線価で決められますが、不動産価値を知り、ご兄弟と分割する際には実勢価格を利用するのが一般的です。
不動産の評価や価格は、景気や社会情勢などでも変わり、同じ地域にあっても間取りや日当たり、近隣の環境などで差が出る不安定なもの。そのため、できるだけ適正な価格を知るためには、たくさんのデータを集積し判断することが大切です。また、そのデータはできるだけ正確でなければいけません。
不動産会社に査定を依頼することは、最初のデータ収集には欠かせないことですが、複数の不動産会社にいちいち依頼するのは大変です。そこで不動産一括査定サイトを活用し、一度の情報入力と申し込みで複数社への査定依頼をすることをおすすめします。
不動産一括査定サイトを利用する際には、査定を申し込む不動産会社の抽出にも注意を払いたいところです。ご相談者様であれば愛知県の不動産査定や売買に実績がある不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産会社にはそれぞれ得意・不得意があります。A社は戸建てとマンションの実績が多い、B社は収益物件や土地を多く扱っているなど、建物や不動産の種類の得意分野があるほか、C社は関東甲信越に強い、D社は地元重視で○○県内に強いなどとエリアへの強みもさまざまです。このような違った強みを持つ不動産会社のうち、自身の不動産物件に強い会社を選んで査定してもらうことで、不動産価値の判断に信憑性が生まれます。
大手企業から地域密着の中小企業まで幅広く扱うサイトや地域ごとに不動産会社を絞り込めるサイトなどを使って、より精度の高い情報を集めましょう。また、同時に複数の不動産一括査定サイトを併用することで、より幅広い情報を網羅しやすくなります。
税金支払いの方法やマイナス財産の有無も確認が必要です
不動産などの財産を相続した場合、必ず発生するのが税金です。相続税は現金や預貯金だけでなく不動産にもかかります。不動産への相続税は、前述のとおり相続税路線価で計算されるものです。また相続不動産の登記を行えば、登録免許税もかかるでしょう。
ご相談者様は不動産を相続するわけですが、その際に相続税を現金で支払う必要があります。ご自宅なので現在居住しており、今後も住み続けるということは、不動産の売却以外の方法で相続税支払いのための現金を捻出しなければなりません。
路線価にもよりますが、価格によっては高額な支払いが求められます。さらにはご兄弟に対する相続分の現金の支払いもあり、それらの現金の準備をどうするかも考えておく必要があるでしょう。
税金の支払いのために、不動産以外に現金や預貯金も相続するのか、長男であるご相談者様が持ち出しするのか、この辺の問題も慎重にご兄弟と話し合うことが大切です。また、現金を相続する場合には当然、その分にも相続税はかかります。
相続税の計算は「遺産総額-基礎控除額」です。基礎控除額が相続する不動産の価値を上回っていれば相続税は発生しません。登録免許税はその不動産の固定資産税評価額の0.4パーセントです。
相続の手順はしっかりとおさえておきましょう。
ご相談者様とそのご兄弟との間では、相続のトラブルは少ないと思えますが、実際に相続の手続きが完了するまでは気を抜くことはできません。正式な手順を踏んで、相続手続きをしておくことで、言った言わないの揉めごとを防ぎ、法的にご相談者様が自宅を相続したと確定させることが大切です。
遺産相続や分割では、相続人の確定や相続人全員による遺産分割協議書の作成などやるべきことが多く、相続放棄や限定承認など、期限を定められていることもあります。速やかかつ正確に手順を踏んで、手続きを済ませるようにしましょう。
ご相談者様はお母様から自宅を相続しますが、それ以外の相続財産もしっかりと調査しておき、マイナスの財産があった場合にはプラスマイナスの差を考えて相続放棄も検討してみてください。家庭裁判所で「相続放棄の申述」という手続きを行います。
プラスの財産になることを確認し、ご相談者様がご自宅を相続して、ご兄弟二人には現金を渡すことを決めたら、最初に「遺産分割協議書」を作成しましょう。遺産分割協議書には誰が何をどれだけ相続するか記し、最後に相続人全員が署名、捺印します。遺産分割協議書は絶対に作らなければいけないものではありません。しかし不動産を相続するにあたっては、この遺産分割協議書の用意が必要となります。
また、仲のいい家族、兄弟であっても、後々のトラブルを防ぐために書面で残しておくことは大切です。今回のように相続人の間に差がある分割をする場合、当初は納得していてもあとで意見を覆される可能性があります。ご兄弟のお気持ちを疑うということではなく、決まった段階で速やかに手続きを行っておくということです。
さらに、ご自宅の相続登記を行うこともお忘れなく。ご自宅の登記事項証明書や住民票を取得し、相続登記申請書を作成します。法務局で登記申請を行えば完了です。これでご自宅の名義はお母様のものから、相続人であるご相談者様へと移りました。
この手続きは不動産売買などでも行われる所有権移転登記と同じようなものです。相続登記にも若干のコストがかかります。登記事項証明書や住民票などの取得の費用として1万円程度と、司法書士などの専門家に依頼する場合には別途手数料が必要です。
お母様の残された大切な住居ですから、丁寧に査定をしてもらい、家族全員が納得したうえで相続を終えられることを願います。不動産一括査定をうまく使いこなして、スムーズに相続手続きを進めましょう。