【不動産売却・不動産売却方法】これさえ読めば絶対に後悔しない

不動産売却の大まかな流れ

不動産の売却は、大まかに以下のような流れで進めることになります。

  • STEP.1
    価格相場を知る
    所有している不動産が、いくらくらいで売却できそうかを知ります。価格が明らかでないと計画が立てにくく、売却の意思も固めづらいでしょう。
  • STEP.2
    査定の依頼をする
    中古車売却などと同じで、専門の業者に不動産の査定依頼をして、おおよその価格を知ることになります。1社のみの査定額では相場感がわからないため、複数社に依頼をするのが一般的です。
  • STEP.3
    不動産会社による調査・査定
    不動産の査定を依頼された不動産会社が、独自の基準から査定金額を出します。「自分たちに不動産を売らせてくれませんか」と、契約を結べるよう営業をすることもあるかもしれません。
  • STEP.4
    売り出し価格の決定
    STEP.3の査定金額をもとに、希望売却価格・時期を参考にしながら、最も売却しやすい「売り出し価格」を決定します。
  • STEP.5
    媒介契約を結ぶ
    STEP.4と同時に行うこともありますが、信頼できそうな不動産会社と媒介契約を締結することになります。媒介契約の方法は「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類です。
  • STEP.6
    売却活動
    媒介契約を依頼された不動産会社が、できる限り売主の希望に沿うように売却活動をします。
  • STEP.7
    買付申込と売買契約
    不動産会社は販促活動(広告など)や、独自のネットワークを駆使して買主を探してきます。売主の求める条件と合致すれば、買主からの買付申込が入り売買契約を結ぶことになるでしょう。
  • STEP.8
    決済・引き渡し
    売買契約時の条件にもよりますが、売買契約から1ヶ月前後で決済・引き渡しとなるケースがほとんど。引き渡しが済んだら、不動産の売却は完了です。

上記はあくまでも基本的な流れとなり、途中の過程が発生しないケースも多くあります。複雑に感じる方もいるかもしれませんが、はじめからすべてを詳細に理解する必要はないでしょう。最も気になるのは、いかに高く・早く売却するかということ。詳細な流れなどは、そこまで重要ではありません。

「高く」「早く」を実現するために覚えておきたい、具体的な売却方法や注意点ついて詳しくご紹介します。

不動産売却の方法

不動産売却には、大きく分けて2つの方法があります。それぞれの方法にメリット・デメリットがありますが、ポイントとなるのは「どういった希望があって不動産を売却したいのか」という個々の状況で判断することです。ふたつの方法の特徴を解説しながら、向いている状況・不向きな状況についても見ていきます。

方法のひとつ目は、不動産会社(上場しているような大手不動産会社から、地域密着型の地元にある小さな不動産会社も含め)に不動産売却の「仲介」を依頼してエンドユーザー(買主)に売る方法。もうひとつは不動産の「買取」を専門とする買取業者に依頼して、買い取ってもらうという方法です。

買取のなかにも「即時買取」と「買取保証」というふたつの方法がありますが、そこまで大きな違いはないため本記事ではまとめて解説します。戸建て・マンション・土地などの不動産を売却する際は、まず「仲介」と「買取」の違いについて理解しておきましょう。

買取とは

仲介とは違い、買主となるのは「不動産を買取再販・賃貸業で活用するために買取を行う専門業者(プロ)」です。売主から直接、不動産を買い取ることになるため、間に業者がはさまる仲介よりも余計な時間や費用がかかりません。

仲介とは

不動産仲介会社と「媒介契約」という契約を締結し、依頼された不動産会社が購入を希望する買主を探してくれる方法です。このとき買主を探す不動産会社は複数であることもありますし、1社に絞って依頼することもできます。

売却の流れでも少し触れたように、仲介を依頼するときの契約方式は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類。それぞれ売主の自由度が変わります。

また不動産の買主は「個人」のほか「法人」のケースもあるでしょう。いずれにせよ売買の取引をするのは、不動産買取を業とするような業者以外のエンドユーザーということになります。

以上が仲介と買取の簡単な概要です。ではメリットとデメリットについて比較してみましょう。

買取・仲介のメリットとデメリット一覧

不動産の売却方法 メリット デメリット
【買取】の場合 ①買取金額に納得できればすぐに売却もでき、「短期・早期」が叶う

仲介による売却は、販売活動の準備や広告活動を経てからようやくエンドユーザーを探すことになり、売却まで半年以上かかることもあります。

その点、業者による買取では、不動産の査定額に納得さえできれば即現金が可能。最短なら1週間前後、長くても1ヶ月前後で売却できます。

②瑕疵担保責任が免除される。

不動産を売却する際に、売主には「瑕疵担保責任」という不動産の隠れた瑕疵(越境問題・構造的欠陥)に責任を持つ法律があります。

売却後1年以内(物件によって違う)など、契約期間中に隠れた瑕疵が見つかった場合、売主が責任を負わなければなりません。

しかしながら、この瑕疵担保責任は買主が個人だった場合のルールです。相手が不動産会社なら責任を免れることができます。

③即現金化できて資金計画が立てやすい

仲介ではいつ、いくらで売れるかわからない状況で新しい物件を探さなければならなかったり、新居や新生活を検討したりすることもあるでしょう。

一方の買取はすぐに現金化できるため、資産計画の見通しが立てやすいと言えます。

④仲介手数料がいらない

不動産会社に仲介を依頼する際、契約が成立したら成功報酬として、業者に手数料を支払う必要があります。

実際の売却価格によって手数料金額は変動しますが、通常は「成約金額×3%+6万円 (別途消費税8%)】です。

4,000万円で不動産を売却した場合、仲介手数料は約130万円(税込)にもなります。一方の買取は仲介手数料が必要ありません。

⑤近隣やご近所の知り合いに知られる可能性が低い

仲介による不動産の売却では、販促活動のためポータルサイト広告への掲載、新聞の折り込みチラシの配布などを行うことになります。どうしても一般の人の目に触れることになるでしょう。

買取で売却をする場合、売主と買主である不動産会社は直接取引をします。当然売却のための活動は発生せず、周囲に不動産を売却していることを知られるリスクを低減できます。

⑥内覧・見学がいらない

仲介での不動産の売却では、購入希望者の内覧(見学)はできるだけ受け付けなければなりません。そのたびに日程を調整して、内覧をしてもらうことになります。

買取なら、業者が現地確認などを行うのみで、複数回内覧に対応する必要はないでしょう。仲介の場合と比較して時間や労力の負担がかなり減ると言えます。

①売却金額は相場より相当低い

業者による買取額は、仲介と比較して圧倒的に安い傾向にあります。買取を選ぶ際の一番大きなデメリットでしょう。

物件の立地条件などにもよりますが、相場の6割前後も覚悟しなければなりません。

②不動産の状態によっては買取ができないケースもある

買主である買取業者は、購入した不動産をリノベーションなどの付加価値をつけたうえで、再度販売することを前提に考えています。

不動産の状態が悪かったり、使用状況が良くなかったりする程度なら、買取可能なケースも多いもの。しかし越境問題などで再建築ができず「再度販売することが難しい」と業者が判断すれば、買取は難しくなります。

③買取に関しては業者任せで、情報が少なく判断に迷うことも

不動産の相場価格は、あくまでも目安に過ぎません。仲介による売却なら、それなりに情報を集めやすく、「安い」「高い」の判断がしやすいでしょう。

しかし買取の場合、素人が価格の根拠や相場を知ることはほとんど不可能です。

買取業者の立場としても、できる限り安く買い取りたいのが正直なところ。売主の足元を見たような買取金額を提示してくることもあります。

【仲介】の場合 ①市場・実勢価格(相場)に近い金額で売れる

②売却のタイミングによっては、より高く売れる可能性もある

③売却に関する情報を比較的集めやすく、一括査定サイトなどを利用すれば、ある程度自分でも価格の根拠を理解できる

①市況や景気、買主の動向に影響されるため、売却までに時間がかかる

②売却までに時間がかかるため、売却時期、金額の見通しが立てにくい

③不動産会社への仲介手数料が発生する

④不動産を売却することを知り合いや近所に知られず、内密に進めることはかなり難しい

⑤リフォームやリノベーションをしないと売却が難しい場合などは、これらの費用がかかる

 

⑥売却後、瑕疵担保責任に問われる可能性も否定できない

上記のような特徴をおさえたうえで、仲介と買取はどのように使い分けられるのか、「向き不向き」について考えてみましょう。希望に近いものを選んでみてください。

不動産売却に仲介が向いている人
・不動産の売却時期はいつでも問題なく、時間的にある程度余裕がある
・販売活動の途中でリフォームが必要になったり、新居を探すための資金が必要になったりしても問題ない
・不動産の売却活動をしていることを知り合い、近所の人に知られても構わない
・戸建てやマンションの売却で内覧が発生しても苦にならない
不動産売却に買取が向いている人
・不動産の売却資金を必要とする事情が迫っていて、資金的に余裕がない
・売却に必要となる諸費用や引越しのための費用工面に切迫している
・売却価格が低くなってしまったとしても、早急に売却資金が必要
・不動産の売却をしていることを知り合い、近所の人にあまり知られたくない

自分にとってメリットが大きいと感じた方法を選ぶのも良く、また併用することも選択肢のひとつです。希望時期や希望金額に該当する買主がなかなか現れず、時間だけがムダに過ぎてしまう失敗もよくある話。売却方法にとらわれすぎず、状況によって柔軟に対応していくことも大切です。

不動産売却にかかる期間

不動産が売却できるまでの「期間」が気になる人は多いでしょう。できる限り「早く」「高く」売りたいと考えるのは当然。全体のスケジュールを知っておいたほうが予定も立てやすくなります。

不動産とひと口に言っても、戸建て・マンション・土地それぞれで売却期間はさまざまです。同様に「仲介」と「買取」のどちらで売却するかによっても、かかる時間は違ってきます。いずれにせよ共通したポイントとして、以下の3つを念頭に置いておきましょう。

①売却期間は最低6ヶ月前後を想定しておく必要がある

②不動産仲介会社もしくは買取業者の選び方によっても、売却期間は大きく変わる

③依頼している不動産会社を変更することで、売却期間が短縮できる可能性は十分にある

シチュエーションごとで想定される期間を、一覧にしてみました。

戸建て売却の全体スケジュール

段取り 仲介 買取
①準備・相談 【2週間前後】

なんの脈絡もなしに家の売却を決める人は少ないでしょう。通常は家族と相談を重ねたり、転居先、新居を探したりと、事前の準備期間を踏むことになります。

【2週間前後】

家族との相談や転居先、新居の決定など、事前に準備する期間です。

この相談のなかで早期の売却を優先するのであれば、買取の利用もひとつの方法と言えます。

②査定依頼 【3週間前後】

自宅がどのくらいで売れそうか、不動産会社や査定サイトを利用し査定依頼をします。「①売却の準備」と同時でも構いません。

そのときの対応などから、仲介をお願いする不動産会社に見当をつけます。

【2週間前後】

業者に買取をしてもらう場合にも査定は必要です。何社か買取業者をあたってみて、納得のいく金額かどうかを検討しましょう。仲介時よりは数が少なくても構いません。

査定額が高ければ良いとも言い切れず、本当に信頼できる業者なのかを見極めることが大切です。

③不動産会社と契約締結 【1週間前後】

不動産仲介会社の選び方によっても売却期間は大きく変わることがあります。あとあと後悔のないよう、査定依頼の段階でレスポンスの早さなどを確かめておきましょう。

④販売活動の準備 【1週間前後】

媒介契約を締結した不動産会社の担当と、希望価格や時期を相談して家の値決めをすることになります。

ポータルサイト用の画像を撮ったり、必要書類を集めたりといった準備も必要です。

⑤販売活動開始 【1ヶ月前後】

不動産ポータルサイトや新聞折り込み、チラシ、ポスティングなど、家を売るための販促活動がスタート。いかに早く準備を終え、販売活動を開始できるかも業者に左右されます。

⑥問い合わせ・内覧 【1ヶ月前後】

販売活動を開始して、値決めがうまくいけば問い合わせや家の内覧希望者が現れます。日程を調整しながら、交渉も含めて対応していきましょう。

⑦売買契約 【2週間前後】

内覧希望者から価格交渉や条件提示があって、納得できれば売買契約を結ぶことになります。手付金もこのときに受領します。

【1週間前後】

納得できる買取価格や支払い時期で、安心できそうな買取業者なら売買契約を締結することになります。

⑧決済・引き渡し 【2週間前後】

買主が住宅ローンを利用するときは、銀行の融資まで時間がかかることもありますが、売買契約時に仮審査が下りているケースが一般的です。そこまで時間がかかることはないでしょう。

残金を決済して引き渡しとなります。

【1週間前後】

買取業者によっては、売買契約当日に決済してもらえるところもあります。売却後のスケジュールも含め、しっかりと計画を立てておくと安心です。

 マンション売却にかかる期間

段取り 仲介 買取
①準備相談 【2週間前後】

マンションは一括査定サイトなどを利用して、売却相場が調べやすいという特徴があります。事前に資金繰りや売却後のスケジュールをある程度決めておきましょう。

【2週間前後】

早期の売却を希望するなら、買取の利用を検討するのも良いでしょう。マンションであれば業者による買取も比較的スムーズに進みやすく、時間や資金に余裕がないときには有効な方法です。

②査定依頼 【3週間前後】

マンションがいくらで売れそうか、不動産会社や査定サイトに依頼して査定額を算出します。

そのときのメール・電話での対応を見て、仲介契約を結ぶ不動産会社を比較することも忘れずに。

【2週間前後】

戸建てと同様、マンション売却にも査定は欠かせません。何社か買取業者をあたってみて、納得のいく買取金額を提示してくれたところに絞りましょう。

③不動産会社との媒介契約 【1週間前後】

不動産仲介会社の選び方で、売却期間が大きく変わってくることも珍しくありません。「②査定依頼」の段階で、対応の早さなどを比較しておくと、あとあとのトラブル回避につながります。

④販売活動の準備 【1週間前後】

③で媒介契約を結んだ不動産会社の担当と、希望価格・希望する時期を相談しながらマンションの値決めをします。

ポータルサイト用の写真撮影も大切な準備。マンション売却は、ライバルが多いこともあります。豊富な実績を持っている、信頼できる担当を見つけることがポイントです。

⑤販売活動開始 【1ヶ月前後】

マンションを売却するための不動産ポータルサイト・新聞折り込み・チラシ・ポスティングなどを利用し、マンションを売るための販促活動を行います。

⑥問い合わせ・内覧 【1ヶ月前後】

販売活動を開始して、値決めがうまくいけば問い合わせやマンションの内覧希望者が現れます。日程を調整しながら、交渉も含めて対応しなければなりません。

⑦売買契約 【2週間前後】

内覧希望者から価格交渉や条件提示があって、その内容に納得できれば売買契約へ。このとき手付金を受領することになります。

【1週間前後】

買取価格や支払い時期に納得し、また安心できそうな買取業者だと判断したら、売買契約を締結します。

⑧決済・引き渡し 買主が住宅ローンを利用する場合は、銀行の融資に時間がかかるかもしれません。ただし売買契約の時点で仮審査は下りているはずなので、そこまで時間がかかることはないでしょう。

残金を決済して引き渡しとなります。

業者によっては売買契約当日に決済・引き渡しも可能です。スムーズに現金化できるため、資金計画を立てやすいでしょう。

【土地売却にかかる期間】

段取り 仲介 買取
①準備相談 【3週間前後】

更地の有効活用に関しては、家族や親族によっては意見が大きく違う可能性も少なくありません。先祖代々の土地である場合などはなおさらです。

トラブルを防ぐためにも、家族や親せきと相談検討したうえで、売却を進めましょう。

【2週間前後】

希望の売却価格や時期、手放す理由などを家族たちと確かめます。その資産価値を活かすためにも、周辺の土地の価格相場も調べておきましょう。

②査定依頼 【2週間前後】

気になる不動産会社に連絡するか、不動産一括査定サイトなどを使って査定額を知ります。適正価格を把握するためにも、複数社に依頼するようにしましょう。

土地(更地)なら、上物(家・マンション)よりも査定時間がかからない点がメリットです。

【1週間前後】

一括査定サイトなどを利用し、何社かの買取業者から「いくらで買い取れそうか」という査定金額を出してもらいます。

このとき業者の対応に不誠実さを感じたら、依頼はやめておいたほうが賢明です。土地はほかに比べて査定がしやすく、仲介時ほど多く査定を出す必要はありません。

③不動産会社との媒介契約 【1週間前後】

不動産仲介会社もしくは買取業者の選び方によっても売却期間は大きく変わることもあります。

査定依頼の段階で、対応やレスポンスの早さなどを比較してみるのも大切となります。

④販売活動の準備 【1週間前後】

媒介契約を締結した不動産会社の担当と、希望価格や時期を相談して土地の【値決め】をすることになります。

ポータルサイト用の画像を撮るほか、必要書類を集める必要もありますが、土地の場合にはそこまで準備が大変ということはありません。

⑤販売活動開始 【1ヶ月前後】

土地を売るため、積極的な販促活動をスタート。ただし不動産のなかでも「土地」は、最も売却しやすい部類に入ります。

もしなかなか買手が現れないときは、値付けに問題があるのかもしれません。値下げも検討する必要があります。

⑥問い合わせ・見学 【1ヶ月前後】

値決めがうまくいけば、販売活動を始めてすぐにでも問い合わせや土地の見学希望者から連絡が届きます。

これらの対応は、不動産仲介会社が代行するのが一般的です。

⑦売買契約 【2週間前後】

見学希望者から価格交渉や条件提示があるかもしれません。これに売主が納得できれば、売買契約を締結し、手付金を受領します。

【1週間前後】

個人や法人ではなく、買取会社と売買契約を結びます。買取価格に納得できるかどうか、支払い時期に問題はないか、きちんと確かめておきましょう。

⑧決済・引き渡し 【2週間前後】

買主が計画的な相手であれば、一般的にそこまで時間がかかることはないはず。残金が支払われ、引き渡しとなります。

【1週間前後】

買取業者によっては、売買契約を締結したその日のうちに決済、引き渡しまで済ませることができます。このあたりは事前に業者に尋ねてみてください。

不動産売却の理想は価格を高く・期間を短く

不動産を売却するとき、できる限り価格は「高く」、期間は「短く」したいと考えるのが当然です。もちろん理想は、「高く早く」の両方を実現できるのが一番。しかし現実的にはなかなか難しいかもしれません。

まずは「価格を高くする方法」と「期間を短くする方法」について、具体的な例を見てみましょう。

不動産売却の価格を「高く」する方法 理由
①媒介契約を専任媒介契約、または専属専任媒介契約にする 専任もしくは専属のほうが、仲介を依頼された不動産会社としては「広告費」や「人件費」を投入しやすいため。
②不動産に何らかの付加価値をつける 費用対効果を検討すべきではあるものの、建物ならリノベやリフォーム、土地なら整地することによって付加価値が生まれ、価格が高くなる可能性があります。
売却期間を「短く」する方法 理由
①媒介契約を専任媒介契約または専属専任媒介契約にする 価格を高くする方法とも共通しますが、専任あるいは専属のほうが、仲介を依頼された不動産会社が「広告費」「人件費」を投入できます。より多くの購入希望者へとアクセスしやすくなるでしょう
②相場価格よりも売り出し価格を下げる いわゆる「値引き」のことです。早く売却するには、最も確実な方法と言えます。

以上は極端な話で、不動産がいつ売れるかは立地条件や人気によっても左右されます。ただ早く売ろうとするなら値引きをして安く価格提示することが、手っ取り早いでしょう。その一方で、高く売ることはもちろんできません。つまり「高い」「早い」の両立は非現実的なことだとわかります。

どうしてもふたつを両立させたいのであれば、どちらの項目にも共通している「専任あるいは専属で媒介契約を締結して、1社に不動産の仲介を依頼する」方法がベターでしょう。とはいえ売却活動をするうえでは、価格と期間の優先順位をある程度つけることが大切です。

片手仲介と両手仲介

不動産売却について調べていると、「片手仲介」「両手仲介」という言葉に出会うかもしれません。これはどちらも、不動産売却の際に仲介を依頼した業者に支払う「仲介手数料」に論点が置かれています。仲介手数料とは端的に言えば、業者を通して無事に売却が完了した暁に支払う、成功報酬のことです。

仲介手数料の計算方法や支払い時期などは、のちほど詳しく解説します。この仲介手数料がどのように支払われるかが、片手仲介と両手仲介の違いです。

片手仲介とは?

戸建てやマンション、土地の売却を不動産会社に依頼するとき、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3方式のうち、いずれかを締結します。「一般」以外は基本的に、依頼した不動産会社以外の業者を通して売却契約を結ぶことはできません。ちなみに専任媒介契約では、売主が自ら買主を見つけることも可能です。

基本的には、すでに売主が確定している「専任」「専属」のほうが有利と言えるでしょう。「専任」「専属」は極端な話、売主が何もせずにいても別の業者が買主を見つけてくれることがあります。

そのとき仲介手数料を受け取れるのは、契約を結んでいる売主からのみ。買主からの仲介手数料は、買主を見つけてきた不動産会社がもらうことになります。このような仕組みを「片手仲介」と呼びます。

「一般」でも根本的な仕組みは同じです。売主は複数の不動産会社と媒介契約を結んでいるため、業者の立場からすれば「仲介手数料を取れるのは早い者勝ち」ということになります。

両手仲介とは?

両手仲介は、片手仲介が理解できれば簡単です。売却の媒介契約を依頼した不動産会社が、自ら買主も探してきて売買契約を締結させます。すると不動産会社としては売主と買主の両者から仲介手数料をもらえることになり、単純に言えば収益が2倍でお得。これが両手仲介です。

囲い込みなんて単語を聞いたこともあるかもしれません。両手仲介では、売主だけでなく買主からも仲介手数料を取りたいがために、ほかの仲介会社からの買主紹介を断ってしまうのです。ときには不動産の売却を依頼した業者が両手仲介にこだわるあまり、売却までの期間が長期化したり極端に値下げさせられたりする可能性もあります。

売却を進めていくなかで、期間や値下げ交渉に気になることがあったら、以上のことを見直す必要があるでしょう。媒介契約の仕方に問題がないか、こまめに検討するのも有効です。

不動産売買価格の相場

所有不動産の価値それ相応の売却価格を望むのであれば、まずは相場を知る必要があるでしょう。ただし相場はあくまでも、「この価格なら売れるであろう」という目安です。相場に正解はなく、その価格になる根拠を説明できれば問題ありません。

参考程度に、不動産売却価格の平均的な相場をご紹介します。

中古マンション(専有面積70平方メートル)

市区 平均価格(万円)
東京都江東区 4,333
神奈川県横浜市中区 3,806
千葉県浦安市 3,386
埼玉県さいたま市浦和区 2,952
大阪府大阪市北区 3,918
兵庫県神戸市東灘区 2,374
京都府京都市中京区 3,826
北海道札幌市中央区 1,781
愛知県名古屋市千種区 1,921
静岡県静岡市葵区 1,631
宮城県仙台市青葉区 1,912
新潟県新潟市中央区 1,458
岡山県岡山市北区 1,867
広島県広島市安佐南区 1,909
福岡県福岡市東区 1,793
熊本県熊本市中央区 1,805

【一戸建て(専有面積100平方メートル)】

市区 平均価格(万円)
東京都世田谷区 6,586
神奈川県横浜市中区 4,037
千葉県船橋市 1,994
埼玉県さいたま市浦和区 3,185
大阪府大阪市住吉区 3,117
兵庫県神戸市垂水区 2,138
京都府京都市伏見区 1,794
北海道札幌市北区 1,857
愛知県名古屋市千種区 3,547
静岡県静岡市葵区 2,068
宮城県仙台市青葉区 1,978
新潟県新潟市西区 1,459
岡山県岡山市南区 1,536
広島県広島市安佐北区 1,288
福岡県福岡市早良区 2,544
熊本県熊本市北区 1,764

土地(専有面積100平方メートル)

市区 平均価格(万円)
東京都世田谷区 7,035
神奈川県横浜市中区 3,248
千葉県船橋市 1,061
埼玉県さいたま市浦和区 4,646
大阪府大阪市住吉区 2,102
兵庫県神戸市垂水区 1,090
京都府京都市伏見区 1,251
北海道札幌市北区 561
静岡県静岡市葵区 1,050
宮城県仙台市青葉区 488
新潟県新潟市西区 389
岡山県岡山市南区 526
広島県広島市安佐北区 89
福岡県福岡市早良区 1205
熊本県熊本市北区 466

繰り返しになりますが、この情報はあくまでも目安です。不動産価格査定価格を保証するものではありません。築年数、間取り、立地条件等の不動産の条件によって、相場とは大きな違いが出ることもあります。表の数値だけで相場を決めつけることはせず、一括査定などを利用して所有不動産の適正な価値を知りましょう。

不動産売却の仲介手数料の相場

不動産会社に仲介を依頼し、資産の売却を考えているのであれば、仲介手数料のことを頭に入れておきましょう。算出方法は以下のとおりです。

売却価格が400万円を超えるとき (売却価格×3%+ 6万円)×消費税
売却価格200万円~400万円まで (売却価格×4%+2万円)×消費税
売却価格が200万円以下のとき (売却価格×5%)×消費税

物件価格別│不動産仲介手数料 早見表

物件価格 不動産仲介手数料
200万円 108,000円
300万円 151,200円
500万円 226,800円
1000万円 388,800円
2000万円 712,800円
3000万円 1,036,800円
4000万円 1,360,800円
5000万円 1,684,800円

不動産売却に必要な費用

契約前 契約後
①クリーニング・リフォーム費用

150万円程度

①仲介手数料

上記参照

②土壌汚染・地中埋設物調査費

土壌汚染が懸念される場合:100㎡あたり20万円~30万円

土壌汚染の心配がない場合:900㎡あたり20万円~30万円

②印紙税

100万円超500万円以下:1,000円

500万円超1,000万円以下:5,000円

1,000万円超5,000万円以下:1万円

5,000万円超1億円以下:3万円

③測量費用

35万円~45万円

③抵当権抹消費用(登録免許税及び司法書士手数料)

不動産1筆につき1,000円

④引越しが先行している場合の初期費用など ④引越し費用
⑤税金 (譲渡所得税・住民税)

確定申告

不動産を売却した翌年には、譲渡所得を申告する必要があります。売却益が出ても、もちろん出なくても申告は必須です。条件を満たしていれば、売却によって損失が出ていた場合に所得税や住民税ら税金を還付してもらうこともできます。また利益にかかる税金の減額制度「3,000万円の特別控除」に関しても、確定申告なしに適用されることはありません。

とはいえ不動産売却に伴う税金の計算は、一般の方には難しく感じられるでしょう。税理士あるいは税務署に相談してみると、現状の把握に役立ちます。もし誤って少なく税金を申告した場合、税務署から指摘の問い合わせが届くことも。追徴課税(税金の加算)や延滞税のリスクもあるため、損をしないためにも忘れず正確に申告しましょう。

申告時期は不動産売却を行った翌年の2月15日~3月15日の間です。居住地から離れた遠方の不動産を売ったケースでも、確定申告の手続きは現在お住まい(納税地)の管轄税務署で構いません。

3,000万円の特別控除

正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼ばれています。マンションや戸建てなど居住用財産の売却であれば、その際にかかる譲渡所得税を3,000万円まで控除できるという制度です。もし利益が3,000万円以内であれば、全額控除されることになります。

譲渡所得は「売却金額−(取得費+売却費用)」で算出可能です。

不動産売却の必要書類について

不動産を売却する際に必要な書類は、以下の3つに分けて考えると整理がしやすくなります。

不動産売却の必要書類

①売却に出す前に必要な書類

②売買契約締結時に必要な書類

③売買決済時に必要な書類

なかには取り寄せるのに費用が発生する書類や、時間がかかる書類もあります。最終的にはどれも必要ですが、「すべて準備してから」と考えていると、絶好の売却チャンスを逃してしまうかもしれません。まずは必要な書類のなかでも、早く準備すべきものから集めていきましょう。

以下では取り寄せに時間がかかりやすい書類に、星印(★)をつけています。

①不動産を売却に出す前に必要な書類

不動産を売却に出す前から手元に置いておきたいのは、「査定時にあったほうが良い書類」です。

必要準備書類名 取得できる場所 用途
不動産の売買契約書 所有する不動産を売買したときに受け取る契約書。紛失した場合、不動産会社に再度発行を依頼する。 売却対象不動産の契約条件や、特約などを調べるのにあると良いでしょう。
不動産の重要事項説明書 所有する不動産を売買した際、不動産仲介会社から説明された、不動産の設備など詳細が記載された書類。紛失した場合、不動産会社に発行を依頼しましょう。 売却対象となる不動産の、用途地域や付属設備内容など物件の詳細がわかる書類です。

重要事項説明書があれば、査定時により正確な金額が算出される可能性が高まります。

所有権登記済証(権利証)または登記市議別情報通知書(★) 紛失時は法務局で発行 別称「登記済証」とも呼ばれています。家の所有者が登記権利者として証明するための書類です。

不動産売却にあたって必ず必要ということはありませんが、万が一紛失していた場合、再発行に時間がかかることもあります。

売却しようと決めた時点で、書類の有無を確認しておいたほうが安心です。

境界確認書、越境の覚書(★) 家の屋根や樋、エクステリアが隣地に越境している場合などに発行される、隣地所有者との覚え書きや確認書。

法務局にある公図、地積測量図、登記情報。これらが正確でないときは、再度測量を行う。

隣地の所有者と境界についてトラブルになっているようなら、事前に伝えておいたほうが賢明です。書類の用意とは関係なく、あとあとのトラブル要因ともなりかねません。

改めて測量を行うとなると、費用と時間がかかるでしょう。

②不動産売買契約時に必要な書類

不動産売買契約時に必要な書類は、売却する前に必要な書類と違い、用意しないと契約が進まず売却できません。時間に余裕を持って用意しておきましょう。

準備書類名 取得できる場所 内容
所有権登記済証(権利証)または登記市議別情報通知書(★) 紛失してしまった場合、法務局で発行が可能 不動産の仲介を依頼する不動産会社から、事前に写しを求められることがあります。この書類はできません。発行には時間がかかるため、早めに準備をしておきましょう。

売買契約時には、買主が確認する意味合いもあります。

印鑑証明書(3ヶ月以内に発行されたもの) 住所がある市区町村の自治体 売買契約時に実印を求められるほか、各種登記の際に必要です。マイナンバーカードがあればコンビニでも取ることができます。
固定資産税・都市計画税納税通知書・固定資産税評価説明書(★) 住所がある自治体の課税課 不動産の売却時に、固定資産税を案分して買主と清算するために必要です。売買契約の際、売主と買主の負担割合を決めて、契約書において確認します。

手元にない場合、取り寄せるのに時間がかかることもあるので注意が必要です。

抵当権抹消書類 抵当権抹消を依頼した司法書士 不動産を購入した際に、借入金の担保として抵当権を設定した場合には、この抵当権を抹消しないと売却できません。

これは抹消登記を依頼した司法書士が用意する書類です。

本人確認書類・実印・委任状 免許証やパスポートなど、本人画像がある書類。委任状は不動産会社や弁護士事務所などが書式を用意している。 不動産の売却を代理人に委任するときは、委任状が必要となります。
住民票 住所がある市区町村の自治体

※本人確認書類があれば必要でないケースもある

マイナンバーカードがあればコンビニでも受け取ることができます。
境界確認書、越境の覚書(★) 隣地所有者との覚え書きや確認書。法務局に備わっている公図、地積測量図、登記情報。 境界問題はトラブルの原因となりやすいため、気になることは不動産会社にすべて報告しておきましょう。この書類も、隣地の所有者との交渉次第では時間がかかることも考えられます。

不動産売買決済時に必要な書類

不動産の売買契約時に必要な書類と、共通するものも多くあります。取引金額の決済と引き渡し時に必要な書類は、以下のとおりです。

準備書類名 取得できる場所 内容
所有権登記済証(権利証)または登記市議別情報通知書(★) 紛失してしまった場合、法務局で取得可能 別称「登記済証」とも呼ばれる、家の所有者が登記権利者として証明するための書類です。決済時には、オリジナル(原本)が必要となります。
印鑑証明書(3ヶ月以内に発行のもの) 住所がある市区町村の自治体。売買契約時に実印を求められるほか、各種登記の際にも必要。 マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。
固定資産税・都市計画税納税通知書・固定資産税評価説明書 市区町村の課税課 固定資産税を決済時で案分して、買主と清算するときに使用します。契約時に取り決めた案分内容で決済するために必要です。
抵当権抹消書類 抵当権抹消を依頼した司法書士 建物を購入した際に借入金の担保として抵当権を設定した場合、この抵当権を消さないと売却はできません。
本人確認書類・実印・委任状 免許証やパスポートなど、本人画像がある書類を求められることがある 売却を代理人に委任する場合には、委任状が必要です。委任状の書式は不動産会社から受け取ることができます。
鍵(複製も含めすべて) 不動産が建物(家・マンション)の場合には、売却後に鍵を交換する形が一般的。複製した鍵も含め、引き渡し時に必要。 オリジナルの鍵がないようなときは、理由をしっかりと説明できるようにしておきます。
住民票 住所がある市区町村

※本人確認書類があれば必要でないこともある

マイナンバーカードがあればコンビニでも発行可能です。
境界確認書、越境の覚書(★) 家の屋根やエクステリアが隣地に越境している場合など、隣地所有者との覚え書きや確認書があるとき。

公図、地積測量図、登記情報は法務局に保管。

境界が曖昧なようなら、改めて測量しなければなりません。
支払い小切手など 不動産の決済時にどのような支払方法を利用するかによって違う 仲介を依頼した不動産会社とも、支払方法は事前に確認します。銀行などで手続きが必要なこともあり、休日・祝日前には注意しましょう。

上記で挙げた書類のなかでも、特に「所有権登記済証(権利証)または登記市議別情報通知書」は必ず必要になります。権利証とは、不動産(家・マンション・土地など)の所有者を確認するために必要な書類。不動産の移転登記や、売主から買主に所有者を移すときにも使われ、法務局の不動産部門で取得が可能です。

不動産を売買するとき、一般的には「売主から買主に」所有者が移転したことを法務局に知らせます。しかし、この所有権移転登記は義務ではありません。身内や家族内での不動産取引(遺産など)なら、問題にならないこともあります。しかし第三者との売買契約では、その不動産の所有者が誰かを確認できるのは「権利証(登記識別情報通知書)」しかないのです。

取得には手続きを踏む必要があります。詳しくはこちらを参照ください。

不動産売却で物件ごとに注意すべきポイント

不動産という大きな資産を手放すとき、売却金額や売却時期、手続き・必要書類、税金などに悩まされることはおおむね想像がつくはず。しかし、ここで挙げたような心配ごと以外にも、不動産売却には重要な注意点があります。

知らないで売却してしまったがゆえに、あとから大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。不動産の種別によっても注意すべきポイントは変わってきます。実際に起こりがちな問題について、「戸建て」「土地」「マンション」の3つのケースごとに分けて見てみましょう。

不動産売却で物件ごとに注意すべきポイントまとめ

注意すべきポイント① 隣地とのトラブル
戸建て 戸建ての場合、「越境」を気にする必要があります。自宅の屋根や樋、エクステリアなどが隣地にはみ出していることなどは、よくあるケースです。

近所付き合いがうまくいっていれば、トラブルには発展しないかもしれません。しかし所有者が変わることで問題になる可能性もあります。

事前に隣地の所有者と確認しておくことも大切ですし、売却の仲介を依頼した不動産会社にも隠さず伝えることが大切となります。

土地 土地売却においては、隣地との「境界」が問題となることがあります。最近分譲されたり、分筆されたりしたような土地なら、しっかりと測量をして土地の境界が確定されているケースがほとんどです。しかし相続で引き継いだ土地や、住宅密集地で境界がわかりづらいエリアは注意が必要でしょう。

戸建て同様、これまではトラブルになっていなかったとしても、所有者が変わることで問題になるリスクも考えられます。事前に隣地の所有者と確認しておくほか、不動産仲介会社にも隠さず「境界が曖昧」な旨を報告したほうがベターです。

マンション マンションは区分所有になるため、隣地という概念はありません。

 

注意すべきポイント② 隠れた瑕疵
戸建て 中古住宅であれば、築年数によっては特約で瑕疵担保免除になるほか、短い期間で設定されるケースも少なくありません。ただし売主が瑕疵を知っていながら告知を怠った場合、契約の解除や損害賠償の対象となることもあります。

リフォーム履歴や、過去のトラブルなど、わかっていることは事前に伝えておきましょう。家屋の場合、雨漏り、配管の不具合、シロアリ被害などが代表的です。

土地 土地売却では「土壌汚染」「地下の埋設物」などが考えられます。所有期間中に問題となるようなことがあったときは、事前に告知することが売主の義務です。また通常の使用には問題がないことも確認しておく必要があるでしょう。
マンション 中古マンションなら戸建て同様、特約で瑕疵担保免除だったり、短い期間で設定されたりするケースもあるでしょう。しかし売主が瑕疵を知ったうえで隠していた場合、契約解除あるいは損害賠償の対象になります。

とはいえマンションは、天井裏や配管などを構造上知ることが難しいことも事実。気になることはすべて、具体的に告知しておくことがリスク回避のポイントです。リフォーム履歴や、過去のトラブルを把握しているなら、不動産会社や買主へ事前に伝えておきます。

 

注意すべきポイント③ 過去の自殺、他殺事件など
戸建て いわゆる「事故物件」ですが、これは売主に告知義務があります。あとから判明すれば大きなトラブルの種となるため、しっかりと伝えておきましょう。
土地 何らかの事故や事件があって土地を更地にしたケースも、告知が必要です。
マンション 戸建て・土地売却と同じように、事故物件の告知は義務です。「言っても言わなくてもいい」ものではなく、必ず伝達するようにします。

 

注意すべきポイント④ 近隣とのトラブル
戸建て 町内会やご近所付き合い、ゴミ問題など、戸建てにはそれ特有のトラブルもあります。人によって近隣トラブルの受け止め方は違っており、どこまで告知するかは難しいもの。しかしあらゆるリスクを想定し、仲介する不動産会社に伝えたうえで、対応については書面に残しておくことも大切なことです。
土地 戸建てと同様、町内会の付き合いやゴミ問題などに不安があるなら、事前に伝えておいたほうがリスク低減につながります。
マンション マンションで多い事例が、騒音や管理組合とのトラブルです。なかには「気にならない」という方もいますが、黙っているよりは告知しておくほうが安心でしょう。

 

注意すべきポイント⑤ オーバーローン(債務超過)
戸建て 戸建てに借入の担保として抵当権が設定されている場合、資産価値がないのに借入残高がまだ相当残っているようなときには、売却ができない可能性もあります。

建物の価値は、6年も経てばかなり減価しているのが一般的です。バブル当時ともだいぶ評価基準が変わっているので、多額のローンを設定している方は注意しましょう。

土地 抵当権設定の対象となることが多い土地。借入の担保として抵当権が設定されているにも関わらず、土地の価値は下がり、借入残高がまだ相当残っているような状況も起こり得ます。このような場合、売却ができないかもしれません。
マンション マンションは相場が読みやすい反面、あっという間に価格が暴落することも少なくありません。販売当時は人気があった物件でも、数年経つと近隣にもっと良いマンションが建ち、資産価値が落ちてしまうこともあります。

マンションに抵当権が設定されていても、資産価値がなければ借入残高だけが残り、売却は難しくなるでしょう。

住宅ローンが残っている不動産の売却方法

不動産は相続で引き継いだり、比較的割安な物件を購入し、共働きなどで繰越返済をしたりといったケースでない限り、住宅ローンがない状態で売却するケースはほぼありません。そこで気になるのが、「住宅ローンが残っている不動産の売却は、完済している場合とどう違うのか」ということでしょう。

はじめに理解しておきたい点として、住宅ローンが残っている対象の不動産には、抵当権(住宅ローンの担保)が設定されているはずです。売却するにはこの権利を外す必要があります。

抵当権とは銀行との間で住宅ローンを組む際、万が一返済が滞ってしまったときや、返済できなくなってしまったときの保険として、銀行側から設定される縛りのようなものです。つまり銀行側は「これ以上、買主から借入金の返済が見込めない」と判断したときには、対象の不動産を自由に売却できます。

このため住宅ローンが残った状態で不動産を売却するには、抵当権を設定している銀行に「外しても良い」という承認をもらわなければなりません。銀行からの借入金の残債を一括返済するか、新たに担保にできるような不動産を提供しない限り、承認を得ることは難しいでしょう。

「そんな資金はない」と感じた方も、不動産を売却した金額から借入金の返済に充当する方法があります。ただしどんな不動産でもうまくいくかと言うと、そうではないのが実情です。

抵当権を外すことができない「オーバーローン」とは

不動産を売却したところで、借入金の残債に充当できるような金額にはならないケースもあります。いわゆる「オーバーローン」と呼ばれる状態です。抵当権を設定した不動産に、借入金に見合うだけの資産価値がないということになります。この場合、当然ながら銀行側は抵当権を外すことを承認しません。売却は難しいでしょう。

不動産以外に自己資金があって、返済不足分を充当できるなら問題はないものの、そういった状況はあまり考えにくいと言えます。ほかの銀行で新規の借入をする方法もありますが、債務超過になっているような不動産を持ちながら、新たに借入をすることはなかなか困難です。

そこで利用される不動産の売却方法に、「任意売却」があります。抵当権を執行されると対象の不動産は「競売」にかけられ、相場の6割ほどの価格で取引されるような事態になりかねません。そこで競売にかけられる前に、売主の希望に近い価格で買い取ってくれる買主を見つけるのが任意売却です。

競売よりも貸付金が回収できるとなれば、交渉次第で競売を取りやめてくれることもあります。詳しい解説はこちらを参照ください。

遠方の物件は地元の不動産会社へ依頼

売却を予定している不動産が、現在住んでいるエリアの近くとは限りません。相続で引き継いだきり空き家になっている物件や、アクセスに不便な遠方の土地を売りたい場合もあるでしょう。

日本では年々空き家や空き地が増えつつあり、この現状を打開すべく平成27年2月26日には「空き家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」が施行となりました。これに伴って、目の届かない場所にある不動産の対処に頭を抱える方も増えています。

「現地にはなかなか足を運べない」「でも手放したい」という場合、どういった売却方法が考えられるのでしょうか。なかには、そもそも売却するかどうか自体も迷っているという方もいるはず。そこで空き家・空き地になっているような遠方の不動産を所有(維持)するメリット・デメリットを比較してみました。

メリット デメリット
①固定資産税が安い(地方のケース)

都内や政令指定都市周辺と比較した場合に、不動産の評価が低いぶん税金は安くなる傾向にあります。

②賃貸効率(利回り)が良い物件もある

物件のあるエリアや賃貸状況によっては、遠方でも賃貸利回りが高い不動産は多くあります。地方であれば不動産を管理する費用が安いこともあるでしょう。

①不動産のメンテナンスと維持費用

人が住んでいない家は、定期的にメンテナンスしない限りどんどん劣化し資産価値が下がります。土地には草が生えたり、ゴミなど不法投棄をされたりする恐れもあるでしょう。

当然ながら定期的なメンテナンスには時間も費用もかかります。数か月なら問題なくても、長期となるとストレスにもなり、維持費用も馬鹿にできません。

②放火・事故・不審者などのリスク

空き家や空き地はすぐにわかるため、放火されるリスクが高いと言えます。不審者が自由に立ち入ってしまう可能性もあるでしょう。看板や柵を設置しても、あまり効果は見込めないケースがあります。

古い物件だと屋根や壁が剥がれて、通行人にケガをさせてしまうこともないとは言い切れません。

③固定資産税が上がる可能性や税金優遇制度の適用外

現在は空き家があることによって固定資産税が低く課税されていたとしても、法改正で税制度が変わる可能性もあります。国の空き家対策が本格的になると、税制も大幅に変更されるかもしれません。

こうして比較してみると、遠方の不動産を持ち続けることは、デメリットのほうが多いと言えます。

遠方の不動産をどうやって売る?】

空き家や空き地を売却する意思が固まったとき、どのような手順で進めていけば良いのでしょうか?長期に亘って放置していたような不動産だと、なおさら依頼の仕方がわからないなんてこともあるでしょう。遠方の空き家や空き地を早く高く売却するには、ふたつの方法が考えられます。

①不動産が家やマンションの場合、リフォームまたはリノベをし、地域のニーズにあった物件として売り出す。

不動産の状況にもよりますが、現況があまり良くない物件なら、売却のためにリフォーム費用をかけるのも一案です。費用対効果になりますが、売却価格が見込めそうなら検討の価値はあります。更地がゴミや草木で荒廃しているような場合には、ある程度きれいに整地することも必要になるでしょう。

②現在の家を取り壊し(解体)して、更地として売却する(※土地付きの戸建て限定)

古家があるよりも、更地のほうが売却はしやすくなります。地域や立地条件にもよりますが、思い切って取り壊しをしたほうが良いケースもあるでしょう。ただし売却できない場合、固定資産税や相続税評価額が上がる可能性もあるので注意します。

遠方の物件は地元の不動産会社へ依頼したほうが良い?

一般的にはそのエリア(地元)の不動産会社に依頼したほうが良いとされています。その理由として、地方(遠方)の不動産を購入する買主は、その地域もしくは周辺に住む人の割合が多いためです。そういった遠方の人は、地元の不動産会社に購入の依頼をする傾向にあります。

大手不動産会社ではなかなか知り得ない、地場の情報やネットワークを備えていることが地元の不動産会社の魅力。もちろん何が正解ということはありませんし、売主の状況によっても売り方は変わってきます。大手不動産会社のメリットとデメリット、地元の不動産会社のメリット・デメリット、それぞれを総合的に見て自分に合った選択肢を選びましょう。

「いずれにしても、できる限り高値で売却できる不動産会社に頼みたい」という場合、役に立つのが不動産一括査定サイトです。

不動産一括査定で適した不動産会社を見つける

以上のことから不動産の売却に関しては、大手・地元業者を含む複数の不動産会社に査定をお願いしてみることをおすすめします。このとき不動産一括査定サイトは、地元の不動産会社も簡単に見つけられるうえに、数社の見積もりをまとめて比較が可能です。

地元の不動産会社だと、近所がゆえにしつこい営業や内情を知られる心配があります。直接足を運ぶのを躊躇してしまうこともあるかもしれません。その点、不動産一括査定なら不動産情報の簡単な入力のみで、詳しい個人情報を登録する必要はなし。「連絡はメールにて」と伝えておけば、しつこい電話に悩まされることもないでしょう。

不動産の売却査定は、依頼する不動産会社によっても大きな差が出ます。1社もしくは2~3件だけの売却相談だと、その査定金額が本当に相場に近いものなのか、なかなか初心者には判断できません。なかには相見積もりをすることで、他社が提示した査定価格より「もっと高い金額で売ってみせます」と答えてくれる不動産会社もあります。

不動産の売却に関しては、最低でも10社以上には査定依頼を出すのがベター。所有する不動産のあるエリアに絞って業者を探せるため、いちいち足を運んだり、問い合わせたりする手間はありません。賢く利用してみてください。