不動産を売却しようと考えているが、初めての経験で、どのように不動産屋を選べばいいか分かりません。判断基準、注意点などを教えてほしいです。
不動産を売却した経験があるという人は決して多くないと思います。
不動産を売却するためには、プロである不動産屋を選ぶ必要があります。
不動産屋を選ぶ方法としては以下の2通りです。
- 直接地元の不動産屋に行き売却の相談をする
- 不動産一括査定サイトを活用する
この記事では、不動産を売却する際に、不動産屋を選ぶ判断基準、注意点について詳しく解説していきます。
1.不動産屋の選び方について具体的な方法が詳しく理解できる
2.不動産屋を選ぶ際に注意するべきことが詳しく理解できる
この記事に登場する専門家
道下 真(ミチシタ マコト)
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント。1991年生まれ。信州大学卒業。信州大学卒業。2015年に(株)クロダハウスに入社し、営業として賃貸、売買の仲介業務に携わる。2016年から金沢営業所の立ち上げに携わり、同年店長に就任。得意分野は不動産売買。
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地元の不動産屋に売却を相談する場合
まずは地元の不動産会社に売却を相談するケースを想定して解説します。
流れ
- STEP.1初回接客会社情報、担当者情報を聞きだす
- STEP.2査定を依頼する机上査定で査定書を作成してもらう
- STEP.3媒介契約を結ぶ基本的には専任媒介契約を結ぶ
初回接客
不動産屋にはタイプが2つあります。初回接客で不動産屋を選ぶ判断基準は以下の通りです。
・購入が得意な不動産屋か
・売却が得意な不動産屋か
必ず売却が得意な不動産屋に依頼することが重要です。
売却が得意かどうかを調べるために以下の質問をして下さい。
あなた
- 御社の不動産売却件数はどれくらいですか?
- 担当者様の不動産売却件数はどれくらいですか?
できるだけ具体的な数字で示してもらいましょう。
不動産屋の売却件数は後日他の不動産屋と比較しましょう。不動産屋の売却に対するポテンシャルが測れます。
また、担当者の不動産売却経験によって受ける提案も変わり、自分の不動産の命運がかかっていると言っても過言ではありません。
ここで口ごもったり、自信をもって答えてもらえないようでしたら購入が得意な不動産会社の可能性が高いです。
査定を依頼する
次のステップは担当者に査定書を作成してもらいましょう。
査定書の内容によっても不動産屋を選ぶ基準があります。
- 査定価格の根拠が明示されているか
- 販売計画が明示されているか
・査定価格の根拠が明示されているか
このように宅建業法で、不動産屋は売却を希望される方から査定依頼を受けた際、査定価格の根拠を明確に示さなければいけません。
近隣の取引事例を比較して査定価格を導き出される方法が一般的です。
近隣相場からかけ離れた査定価格を提示してくる不動産屋がいたら、必ず根拠を示してもらいましょう。
また、必ずしも一番高い査定額を付けた不動産屋がいいわけではありません。
大事なのはやはり根拠なのです。
なぜその査定金額を付けたのか、必ず根拠を聞きましょう。
・販売計画が明示されているか
どのような広告媒体を使うか、どれくらいの期間で売却するか等、その不動産屋が考える販売計画を明示してもらいましょう。
不動産屋によって広告の際に使うポータルサイトは異なります。
ポータルサイトとは、不動産会社が自社で取り扱っている物件情報を、より多くの人に見てもらうために広告掲載しているサイトです。
このポータルサイトに物件情報を載せるためには広告料がかかります。
基本的には広告料は不動産屋が負担します。
また、地域の情報誌や、新聞、折り込みチラシなど様々な広告方法があります。
つまり、どれだけ広告費を負担して不動産屋が自分の物件を広告してくれるかが不動産屋選びで重要です。
媒介契約を結ぶ
不動産屋選びの最終ステップとして媒介契約があります。
この「媒介契約」には主に3つの種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれわかりやすくメリットとデメリットで解説します。
契約名 | 特徴 |
一般媒介契約 | 複数の不動産会社に売却依頼をしても、自分で見つけた買主と取引してもOK。 その分、締結会社の本気度は低くなる恐れがある。 |
専任媒介契約 | 他の不動産会社との媒介契約の締結ができなくなる。 不動産会社同士の競争を心配せずに売却に取り組むことができるため、締結会社の本気度は高くなる。 |
専属専任媒介契約 | 他の不動産会社との媒介契約の締結および自分で見つけた買主との取引ができなくなる。 一方で専属専任媒介契約を締結した不動産会社の売却に対する本気度は高まる。 |
この、媒介契約の期間は3ヶ月ですので、信頼に足る動きを見せない不動産会社と感じてしまったら、3カ月経過して契約を終わらせてしまうことも一つの方法です。
そのためには契約期間が終わったときに、他の不動産会社にすぐに切り替えられるように前もってアプローチしておきましょう。
費用・手数料
不動産屋に売却を依頼する際、仲介手数料という費用がかかります。
仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限額が決められており、以下のような速算式を用いて計算できます。
売買価格 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 売買価格の5% + 消費税 |
200万円を超える部分~400万円以下 | 売買価格の4% + 消費税 |
400万円を超える部分 | 売買価格の3% + 消費税 |
物件価格が400万円以上の場合、
1,000万円で売却したとしたら、1,000万円×3%+6万円×10%=39万6千円となります。
ここで重要なことは、この金額はあくまで上限額であるということです。
そして、仲介手数料は成功報酬です。契約が成立するまでは発生しません。
また、前述した物件の広告に関しては費用は発生しません。
しかし、依頼者の特別な依頼に基づき行った不動産屋の広告に関しては費用が発生します。
具体的には、遠隔地の購入希望者との交渉のための出張費、通常の広告とは別に、依頼者の特別な依頼を受けて行う広告活動費用です。
ここで重要なことは、仲介手数料以外の費用は、依頼者が依頼した時のみ発生し、通常の業務では発生しない費用であり、実費であること
以下のような不動産屋は注意しましょう。
1.上限額を超える仲介手数料を提示する
2.上限額をあたかも法律で決められた手数料だと説明する
3.仲介手数料以外の費用を当然のように請求してくる
メリット・デメリット
地元の不動産屋に売却を依頼するメリットデメリットは以下の通りです。
メリット:直接担当者と話ができるため、質問への回答が迅速である。
デメリット:勢いで依頼の話を進めてしまうことがある。
地元の不動産屋に行くと、納得がいくまで担当者に質問ができ、その場で回答をもらえるのがメリットです。
しかしながら、担当者の勢いに押されて、売却に関して、深く理解しないまますぐに話を進めてしまうケースもあります。
他の不動産屋と比較してから売却を依頼するほうが無難です。
よく、担当者の人柄がよくてこの不動産屋を選びましたという声を聞きます。
以下、不動産屋を選ぶ基準をまとめます。
- 不動産屋が得意なのは売却か購入か
- 査定価格の根拠は明確か
- 販売計画は明確か
- どれくらい広告費をかけてくれるか
不動産一括査定サイトを活用する場合
次に一括査定サイトを活用して不動産屋に売却を依頼する流れを解説します。
流れ
不動産一括査定サイトを活用する
不動産一括査定サイトに関する詳しい説明に関しては以下の記事をご覧ください。
もし可能であれば買取査定価格も併せて聞くようにしましょう。
買取査定とは、不動産屋自体が買主となり、物件を購入する際につけられる値段です。
一般的に査定価格よりは価格は下がりますが、物件の条件によっては高値を付けられる場合があります。
買取のメリットは以下の通りです。
- 早期に売却することができ、素早く現金化できる
- 仲介手数料がかからない
- 周囲に売られていることがばれない
- 現状のまま売却することができる
- 瑕疵担保責任を負わなくてもよい
瑕疵担保責任とは
瑕疵とは雨漏り、建物の傾き、給排水管の腐食など、目に見えない隠れた欠陥や不具合のことです。
瑕疵担保責任とは、不動産に瑕疵があった場合、買主は売主に瑕疵発見後1年以内であれば損害賠償請求もしくは契約の解除が可能になることです。
早期に売却したい場合、周囲に自宅を売却することを知られたくない場合、売却後の責任を負いたくない場合などは買取も検討してみてもいいかと思います。
数社から送られてくる査定書を比較
不動産屋から査定書が届いたら以下の項目をチェックしましょう。
- 査定額
- 査定額の根拠
- 販売計画
- その会社に売却を依頼するメリット
- 不動産売却実績
訪問査定を依頼する
査定書を送ってきた不動産屋に訪問査定をお願いしましょう。
不動産屋から送られてくる査定書を見て、上記の項目に抜けがあれば、訪問査定の時までに、不動産屋への宿題としてお願いしておきましょう。
不動産屋が訪問に来られた際にそれらを聞いて情報を入手しましょう。
不動産屋決定
ここまでのステップで得られた情報を元に不動産屋を決定します。
1社だけでなく、できれば3社以上の情報を比較検討して決めましょう。
最終的に売却を依頼する不動産屋を決めたら、前述したようにその会社と媒介契約を結びます。
ここから売却活動がスタートします。
費用・手数料
不動産一括査定サイトを活用する費用・手数料は一切無料です。
不動産屋の手数料である仲介手数料は、前述したように成功報酬のため、契約が成立するまではかかりません。
メリット・デメリット
メリット
- 多くの査定情報を一度に入手でき、わざわざ不動産屋に行く手間が省ける。
- 直接不動産屋の方と話さなくてもいいので、冷静な判断ができる。
デメリット
- 不動産屋からしつこい営業の電話がかかってくることもある。
不動産一括査定サイトの一番のメリットは効率よく情報収集できる点だと考えます。
忙しい時間を使って不動産屋に何社も出向いて、査定をしてもらうことを考えると、使わない手はないです。
リスクとしては、個人情報が多くの不動産屋に伝わるので、営業電話営業メールが大量に届くことがあります。
それが嫌な場合は、予め、「電話連絡を希望しない」という選択肢も選べるので、チェックを入れておきましょう。
おすすめの不動産一括査定サイト
不動産物件ごとにおすすめの不動産一括査定サイトを紹介していきます。
家(戸建て)の場合
ここでは、戸建て住宅におすすめする3つの不動産一括査定サイトを紹介します。
イエウール
査定提携会社 | 1,600社 |
一括依頼社数 | 6社 |
特徴(ストロングポイント) | しつこい営業を行う不動産会社は排除される。
LINEのようなチャット風のやりとりが楽しめる。 サービ利用者は1,000万人以上 |
すまいValue
査定提携会社 | 6社 |
一括依頼社数 | 6社 |
特徴(ストロングポイント) | 査定提携会社が大手6社のみだが、この大手6社に依頼できるのはこのサイトのみ
満足度調査96.7%が満足と回答 6社の取引件数累計が1年間で11万件と売却力が優れている。 |
HOME4U
査定提携社 | 1,300社 |
一括依頼社数 | 6社 |
特徴(ストロングポイント) | 顧客満足度97.5%
NTTデータグループでセキュリティは安心 18年の実績と累計売却査定件数35万件 |
マンション(中古マンション)の場合
次に、中古マンションの場合におすすめの不動産一括査定サイトを紹介します。
マンションナビ
査定提携会社 | 900社 |
一括依頼社数 | 9社(売買6社+賃貸3社) |
特徴(ストロングポイント) | マンションに特化したサイトであること。
「WEB相場価格システム」で、おおよその取引価格が確認できる。 サービス利用者は分譲マンション専門でも300万人以上。 |
HOME’S不動産売却査定サービス
査定提携会社 | 1,700社以上 |
一括依頼社数 | 10社 |
特徴(ストロングポイント) | 大手から地場まで色々な不動産会社と提携している。
提携している不動産会社の情報が豊富。 サービス利用者 600万人以上 |
土地(農地・山林含む)の場合
最後に土地全般の場合におすすめの不動産一括査定サイトを紹介します。
実は、土地の一括査定を行っていないサイトもあり、戸建てやマンションに比べると土地だけの査定をしているサイトは少ないのです。
その中でおすすめできる不動産一括査定サイトです。
リビンマッチ
査定提携社 | 1,400社 |
一括依頼社数 | 6社 |
特徴(ストロングポイント) | マンション、戸建だけではなく、土地、農地、マンション1棟など物件種別が豊富
契約後電話アンケートに協力したら5千円ギフトカードプレゼント(2020年3月時点) 東証マザーズ上場の信頼感 |
HOME4U
査定提携社 | 1,300社 |
一括依頼社数 | 6社 |
特徴(ストロングポイント) | 顧客満足度97.5%
NTTデータグループでセキュリティは安心 18年の実績と累計売却査定件数35万件 |
すまいうる
査定提携社 | 1,300社 |
一括依頼社数 | 6社 |
特徴(ストロングポイント) | 株式会社エイチームライフスタイル(東証一部上場会社グループ)が運用するサイト
「大京グループの大京穴吹不動産」「東宝ハウスグループ」と提携 山林や農地、工場や店舗といった不動産の一括査定も対応 |
まとめ
以上が不動産屋の選び方です。
5年間の実務経験を通して、私が売却を検討されている方にお伝えしたいことは、
不動産は必ず売れるとは限らないということです。
タイミング、時期、エリア、前面道路の状況、ロケーション、駅からの距離など、不動産の価値を決める要素は数多く存在します。
それを踏まえて、少しでも高く売るために、あなたが所有する不動産の価値を最大限引き出そうとする不動産屋こそが依頼すべき不動産屋だと結論付けています。
例えば、
道下
道下
このように100点の物件は基本的にないので、物件の良いところ、つまり価値を見出し、それを根拠に高く売ってくれる不動産屋を選びましょう。
少しでもより良い不動産屋選びの参考にしていただければ幸いです。
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