離婚が現実的になり自宅マンションがいくらで売れるか知りたい

旦那から離婚をほのめかされ、近い将来離婚の可能性がでてきました。財産分与として今住んでいる都内の自宅マンションを売ったらいくらになるのかその目安を知りたいです。

今回のご質問者様のように離婚が具体的になる前に、自宅マンションがいくらで売れるのか事前に調べておくことはとても大切なことです。離婚が具体的になると家の権利書や自宅名義の問題、住宅ローンの問題などで査定を妨害されたり、査定が出来る立場でなくなってしてしまう可能性があります。また、財産分与の話し合いで財産を事前に把握しておくことは有利な離婚条件を引き出すために必要なことです。

今すぐ不動産一括査定サイトで誰にも知られずにマンションンの相場を調べましょう

離婚は結婚の何倍も辛いと言われるくらい、ストレスフルな手続きです。その為、事が大きくならないうちはどうしても後回しになりがちです。自分は大丈夫!まさか旦那は本気ではないはず…と思っていると急転直下、ある日突然旦那がマンション飛び出してしまうなんてことはよくある話です。離婚を経験されている方からすると、あの時の離婚サインを見落とさなかったらと・・・後悔することがあります。今回のご相談者様は何らかの離婚のサインに気づかれたことと思います。事前に離婚のサインに気づかれたということはある意味でラッキーだったと気持ちを切り替えて、旦那様といつでも対等に争えるために備えておくべきです。

現時点で、いきなり弁護士に離婚の可能性があるという話をされても、離婚が具体的になっていませんと弁護士としましても何もしようがありません。また、先走って不動産会社に直接マンション査定をお願いしてしまうと営業マンが自宅に電話をかけてきたり、自宅訪問するようなことが考えられます。最悪、旦那様に知られてしまう可能性がありますので注意が必要です。

離婚は情報戦です。配偶者に感づかれないように水面下で進め、その時が来るまで決して口外せず、自分の心の中に留めておくというのがもっとも賢い方法です。

そこで今回、ご相談者様にとくにおすすめしたいのが、不動産一括査定サイトというウェブサービスです。自宅マンションに訪問されることなくマンション査定をしてくれるというものです。自宅マンションに訪問されないので近所の方はもちろん旦那様にも知られることなく、複数の不動産会社から一括して査定価格を教えてもらえる便利なサービスです。詳細な個人情報の入力も必要なく、地域エリアや簡単な自宅マンションの情報を入力するだけで現在の「実勢価格(市場価格)」を知ることができます。匿名性も高く、しかも無料ですから使わない手はないでしょう。

将来の保証として、自宅マンションの売却価格を知ることはとても有意義ですし、精神的にも安心できると思います。

但し、不動産一括査定サイトの査定額はあくまで目安であり、離婚手続きの状況によっては客観性として乏しい部分もあります。得られた情報は状況に合わせて使い分けるようにしてくださいね。

そこで、まずは離婚の基礎知識を深めて頂くことで不動産価格についての見方も変わってくるのではないかと思い、離婚についてご説明いたしますね。不動産はとても高価な資産ですから、離婚の条件で損をしないようにこの機会に一緒に学びましょう。

離婚は3種類に分けられる

夫婦が離婚する際には「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」があります。「協議離婚」は、夫婦で話し合いをして合意する離婚となり、日本で一番多い離婚方法です。一方で、「調停離婚」と「裁判離婚」は夫婦間での話し合いがつかず、裁判所を介して手続きを行います。

協議離婚(きょうぎりこん)

夫婦のどちらか、もしくは双方が「離婚したい」と思ったとき、まずは夫婦で話し合いをすることが前提になります。協議離婚(きょうぎりこん)は最も多い離婚方法で、夫婦で話し合いを行い、お互い離婚に合意をしたら「離婚届」を居住地の市町村役場に提出して成立します。

調停離婚(ちょうていりこん)

一方、調停離婚とは離婚の意志があっても夫婦間で「直接話し合いができない」「何度も話し合いをしたが、相手が認めない」「話し合いをしたけど、離婚の条件が合わない」など、話し合いでの解決が難しいときに中立な第三者である裁判所の裁判官・調停委員に間に入ってもらう手続きになります。夫婦の居住地を管轄している家庭裁判所に申し立てをすることによって、調停が開始されます。但し、裁判所に強制権はなく、裁判所を介した話し合いの延長ということになり、司会進行役がついただけというイメージです。その為、相手方が家庭裁判所に出廷しない場合、そのまま調停手続きは流れてしまいます。

裁判離婚(さいばんりこん)

裁判離婚とは、調停を行ったが夫婦間での話し合いが決まらないとき、裁判所に離婚する(離婚させる)かどうか判断してもらう手続きのことです。訴訟離婚(そしょうりこん)とも呼ばれます。両者からの言い分をもとに養育費や慰謝料などを裁判所が決定します。

しかしながら、いきなり裁判離婚の手続きをすることはできません。まずは調停手続きで話し合いをすることが法律上決まっています。つまりは、どんなケースであっても離婚は話し合いが前提となるのです。

離婚方法によって不動産の価値を証明する客観性が異なる

離婚方法によって、不動産を財産分与する際に必要な書類の重要性(客観性)が異なることを理解することも大切です。

「協議離婚」と「調停離婚」はあくまでも「話し合い」による解決を前提として協議が進められますが、「裁判離婚」となると夫婦それぞれから提出された資料をもとに裁判官が財産分与の割合を決定します。法律的には夫婦で築いた財産に関しては均等に分けることになっていますが、「調停離婚」までは夫婦で合意があればそちらが優先されることになります。一般的には、揉めずに解決したいと思うのが自然の流れです。調停委員も二人の意見を尊重しながら妥協案を探ることになります。

しかし、財産分与で難しいのが簡単に分けることができない「不動産」や「骨董品」などです。特に不動産は、売却時期や不動産会社によって査定額に大幅なズレが生じ、裁判所に提出する資料としては客観性が乏しいものとなります。

現状、裁判所に提出する資料として決まった書式があるわけではありませんが、判例から弁護士が利用するものとして「複数の不動産会社から査定で得た不動産査定資料」「不動産鑑定士が鑑定した不動産査定資料」の2種類が一般的です。

注意
どちらの書類が良いかは、離婚調停手続きを弁護士に依頼して進める場合には弁護士の判断になりますし、不動産市場の動向や裁判の進行状況によって変わることがあって簡単ではありません。

どちらにしても、できる限り客観性があって調停委員や裁判官が納得するための資料が必要になります。
できる限り自分に有利な条件で離婚を成立させるためにも、感情で行動するよりも冷静になって状況を把握することが大切です。

なお、協議離婚での合意に関しては法的執行力が弱いですが、「調停離婚」で合意した「調停調書」は財産の差し押さえなど強い法的執行力があります。その為、不動産の財産分与で後々後悔しないためにも、不動産一括査定サイトで自宅マンションを査定しておくことは最低限やっておきたいことです。

裁判所資料として採用されるのは「不動産鑑定士」による査定書

前述の通り、「調停離婚」も「裁判離婚」も不動産を査定する資料に決まりはありません。しかし、調停や裁判で求められる資料は客観性があるものです。調停委員や裁判官から要求されることが多い資料として「不動産鑑定士」によるマンション査定書複数の不動産会社による「実勢価格(市場価格)」に基づいたマンション査定書が利用されます。

利害関係の無い第三者で、しかも国家資格を持った不動産鑑定士が作成した査定書は、客観性が担保されたお墨付きの不動産価格と言えるでしょう。

調停離婚までなら、あくまでも夫婦間での話し合いが前提なので、不動産会社による「実勢価格(市場価格)」でも問題ありません。一方で、不動産会社による「実勢価格(市場価格)」を利用する際には、最終的に裁判官が客観的根拠があると判断しなくてはなりません。そのため裁判が長引く可能性があると認識しておくといいでしょう。

不動産鑑定士とは
不動産鑑定士とは、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格。「国・都道府県・市区町村の土地評価」「裁判所からの競売物件の評価」「銀行からの担保評価」などを仕事にする不動産評価の専門家になります。

「協議離婚」や「調停離婚」でどうしても折り合いがつかず、「裁判離婚(訴訟裁判)」になる場合には不動産会社による「実勢価格(市場価格)」ではなく、「不動産鑑定士」による査定書が利用されるケースも多くなります。

「裁判離婚(訴訟裁判)」では、夫婦双方で提出したマンション査定書に大幅な乖離がある場合や、長期間に亘る協議で査定情報自体が古くなってしまうことがあります。不動産が絡む財産分与がスムーズに終わるケースは稀で、どうしてもマンションの評価方法で揉めることが少なくありません。そういったときに、裁判官から不動産鑑定士の鑑定したマンション査定書を求められることも想定しておきましょう。その際の費用は建前では夫婦折半となりますが、実際は不動産鑑定士のマンション査定書を提出することによって、裁判を有利に進められる側が負担することになります。

協議離婚、調停離婚では不動産会社による「実勢価格(市場価格)」で十分

離婚裁判になるケースでは、両者とも弁護士がついていることも多く、より客観的な資料を求められるため、国家資格を持った不動産鑑定士が評価したマンション査定書が利用される傾向が強いです。

しかしながら、協議離婚や調停裁判など話し合いの段階で数十万円も費用をかけてマンション査定書を用意するのは賢明とは言えません。調停が長期化すれば、不動産の価格が変動してしまう可能性もあり、離婚裁判に進む可能性も考えられるからです。

夫婦間での話し合いを前提に協議をはじめる「協議離婚」、協議離婚がうまく成立せずに「調停離婚」になるケースでも、弁護士を利用することが増えています。その際に資料として使用されるのが不動産会社による「実勢価格(市場価格)」に基づいたマンション査定書です。不動産会社と言っても、実績のある複数の会社から提出することになります。不動産の売買を専門にしている大手の会社なら、日々取引があるため不動産の市場価格に精通しており、より「実勢価格」に近い数字が期待できます。

何社分必要という決まりがあるわけではありませんが、多数あれば客観性が期待できます。不動産の場合、不動産会社や市場価格により評価額に差が出ることも多く、特にマンションの場合には、グレードや築年数によって価格が変動しやすい傾向にあります。

大手の会社と中小零細の会社でも査定金額に差がつくこともあるので、まずは簡易な査定書を複数出してもらうことで相場の目安を知ることが重要です。

実勢価格(市場価格)とは
不動産取引市場において、実際に売買が成立している不動産価格のことを指します。相場と表現されることもありますが、不動産には土地、マンションとも全く同じ物件というのは存在しません。売却するタイミングや売主、買主の経済状況等複数の要因によって実際の取引額と大きく乖離することもあるので注意が必要です。

立場によって不動産売却価格を高く見せたいのか低く見せたいのか異なる

協議離婚や調停離婚で不動産を財産分与する際、不動産を所有しているのが夫婦どちらになるかによって、期待する売却価格が違うことがあります。

なぜなら、協議を進めて行く中で例えば不動産をご主人が所有している場合、売却して現金に換えるなら相場よりも低い査定書があった方が、相場との差額分を利益として手元に残せる可能性があるからです。

逆に不動産を売却せずに現金で財産分与を受ける場合には、相場よりも高い査定書があれば相場との差額分を利益として手元に残せる可能性があります。自分に都合の良い査定書を集めるために労力を使うのは必然。それが原因で両者の話し合いがうまくいかないケースもあります。

最悪な場合、両者が自分にとって都合の良い査定書を出すために査定価格の差が開き、その結果調停等が長引くことになり時間を浪費するリスクがあるのです。不動産の価格は高額なこともあって、数パーセント評価金額が違えば大きな差になります。少しでも自分に有利な条件にしようと思うほど、離婚手続きが長引くという負の連鎖も良くあるケースです。

まとめ

今回のご相談者様の場合、不動産一括査定サイトでのマンション査定は必須、不動産鑑定士によるマンション査定は調停離婚になった時でも遅くはありませんが、もし調停離婚の段階になったら旦那様からの妨害が予想される場合は今のうちに査定をお願いする必要があります。但し、離婚になるかどうかわからない時点で不動産鑑定士費用をかけるかどうかは最終的にご相談者様の懐事情にもよります。

また、仮に不動産鑑定士によるマンション査定書まで用意しても、裁判離婚で提出するかどうかは別問題。裁判の戦略や流れ次第になります。なぜなら、不動産鑑定士のマンション査定は提出資料として一番客観性があるため、提出してしまうと後でなかったことにできなくなります。その為、ご相談者様にとって不利に働くこともあるからです。ご相談者様が有利になるなら提出する、不利になるらなあえて提出しないこともできます。仮にご相談者様が不利になる場合、旦那様は有利に働くわけですからそのことを事前に知っておくことも戦略です。

情報は使いよう、交渉のカードが増えることで駆け引きを有利に進めることができます。もし駆け引きが不得意なようでしたら弁護士を代理人にすればよいだけです。その時に弁護士に渡せる交渉のカードが「複数の不動産会社から査定で得た不動産査定資料」であり、「不動産鑑定士が鑑定した不動産査定資料」になるわけです。

ご相談者様がもし不動産一括査定サイトをご利用される際には、離婚というデリケートな問題が絡みますので、必ず備考欄などに離婚の可能性があることを明確に記載し、営業の電話や訪問などは控えて頂くようにお願いすることも忘れないようにしてくださいね。旦那様に知られてしまっては元も子もありません。

今回のように離婚が原因でマンションを売る人はかなり多いケースです。とくに都心ではあるあるですので不動産一括査定サイトに登録されている不動産会社もその辺りの事情は酌んでくれるはずです。

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田中 真作

田中 真作

早稲田大学(法学部)卒業。BNIノーブレスチャプター所属。東京ウエストライオンズクラブ前会長、東京都行政書士会総務部部員。東京都警察官友の会会員、株式会社帝王経営コンサルタンツ執行役員。

このページの補足コメント

売却する場合、住宅がいくらぐらいで売却できるかによってローン残金の対処の仕方が変わります。

仮に査定額が残債額を上回るのであれば、一般的な不動産売却が可能ですので問題ありません。残債も名義や連帯保証人が誰であろうと関係なく、売却代金でローンを一括返済するだけです。

ただし、残債より高い価格で不動産を売却できることは、めったにありません。

逆に最も多いのが、物件の査定額が残債額を下回ってしまうケースです。家を売却しても残債の一括返済ができず、不動産売買契約の条項の中に“借金(残債)が残ってしまうような売買はできない”と定められているため、一般売却ができません。