大手不動産は安心感がありますが、不動産一括査定サイトのほうが高額査定がでるいう情報を見ました。不動産一括査定サイトでも心配ないのでしょうか?不動産売却が初めてのため悩んでいます。それぞれの不動産査定の流れを教えてください。
今回のご質問者様のご相談内容は、「大手不動産会社と不動産一括査定、結局どちらを選ぶのが良いのか?」「そもそも不動産一括査定サイトは本当に安全なのか?」「それぞれの査定の流れを知りたい」というご相談です。
不動産に限らず、昨今急激に利用者が増えているのが「不動産一括査定サイト」です。自動車や引っ越し、自動車保険などあらゆる業界に一括査定サービスが増えています。理由はいたって単純で、「無料」かつ「楽」で「スピーディー」に扱えるためです。
それでは順番にご説明します。
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どちらに査定してもらうのがいいのか?
今回のご質問者様は「大手不動産会社には安心感がある」とお考えです。たしかに大手不動産会社は歴史があり、実績が豊富なため安心感があります。
しかし、大手不動産会社は中小零細企業よりも利益を上げることが使命ですので売れそうもない不動産や価値が低い不動産は本気で扱ってくれない可能性があります。
物件によっては、中小零細の不動産会社の方がフットワークも軽く、柔軟に対応してくれるかもしれません。大手も中小零細も一長一短あるということです。
昔から付き合いがある場合や、数億円もするような高級物件でない限り、大手不動産会社へ一見さんとして査定してもらうというのは得策ではありません。大手不動産会社に絞ってしまうと、足元を見られて相場から何百万も安い査定額になってしまうかもしれません。
まずは、不動産一括査定サイトを利用して複数社に机上査定してもらうところから始めてはいかがでしょうか。不動産一括査定サイトにも大手不動産会社は含まれていますから飛び込み客よりは丁寧に対応してもらえるのではないでしょうか。
また、不動産一括査定サイトなら不動産会社同士の競争も見込めて、より積極的に販売活動をしてくれるでしょう。査定額と同時に担当者の対応なども比較して、より自分に合った不動産会社を見つけることが出来ると思います。
そもそも本当に不動産一括査定サイトは安心か?
安心の基準は人それぞれのため、ご質問者様の安心がどこにあるのかわかりませんが、一般的には「詐欺会社」「悪徳会社」ではないのか?ということだろうと思います。
この点についてはご安心ください。不動産一括査定サイトはもう何年も前から存在しているサービスで、かなりの数の実績を積んでいます。
今までは大手不動産会社しか知らず、担当営業マンの言うなりになっていたが、不動産一括査定サイトが登場したことで中小零細の不動産会社から目からウロコな情報を得られた方、今までよりも高く不動産を売ることが出来た方が急増しています。
これは不動産一括査定サイトの登場により、売手に選択肢の幅が広がり買手市場から売手市場に変化したということが言えるのではないでしょうか。
では、不動産一括査定サイトを利用される方からどのようなご質問が多いか見ていきましょう。
本当に無料なの?
不動産一括査定サイトの利用にあたって、料金は発生しません。完全に無料のサービスです。では「ウェブサイトを運営している会社はどのように利益をあげているか」というと、紹介先の不動産会社からの紹介料・情報提供料が主な収益源となっています。このため不動産一括査定サイトの利用者は無料で利用できます。
不動産一括査定サイトを利用したら今後不動産を売るうえで不利になる可能性は?
そのようなことは一切ありません。不動産を売るときに不利になることはないため安心してご利用できます。
成約時に仲介手数料を多額にとられることはないの?
仲介手数料は法律で上限が決まっているため、それ以上とられることはありません。ちなみに最高額は「取引額の3%+6万円」に消費税をかけたものです。
しつこい営業を受けたりしない?
可能性はゼロではありません。これは不動産一括査定サイトに限ったことではありません。魅力的な物件ほど、営業の連絡が来る可能性が高いです。不動産会社からしてみると、不動産一括査定サイトを利用したことでライバルが存在していると既にわかっているため、他社に先を越されないように連絡をしてきます。どうしても営業を受けるのが嫌であれば、不動産一括査定を申し込む際に「机上査定(資料のみのやりとり)」だけを選んでみてください。
なお、ライバルの存在を知らせることで、より営業マンのやる気に火をつけることもできます。競争原理が生まれて、一生懸命に売却活動をしてくれるケースもあるでしょう。
不動査一括査定サイトを利用した際の流れ
では、実際に不動産一括査定サイトを利用する流れを見ていきましょう。
- STEP.1家を売ることが決定したら、不動産一括査定サイトを探す手元に購入した当時の契約書や物件の間取り、床面積、築年数がわかる資料があるとスムーズに登録できます。
- STEP.2気に入った不動産一括査定サイトを選び、物件の住所や種類を入力パソコンが苦手な場合、電話でも受け付け可能です。
- STEP.3次に連絡先などを入力しつこい営業電話が嫌であれば、机上査定を選択してください。
- STEP.4依頼したい不動産会社を選択
- STEP.5すべて入力ができたら送信
- STEP.6早ければ当日、遅くとも数日以内に複数の不動産会社から査定結果が到着
- STEP.7査定結果をもとに、査定額や対応の良さも総合して、訪問査定してもらう不動産会社を2~3社ほど選択訪問査定では実際に家を訪ねてもらい、正確な査定価格を算出します。訪問査定が嫌であれば、ここで査定は終了です。
- STEP.8不動産会社から連絡が入り、訪問査定の日時などを決定しつこい営業電話が嫌であれば、机上査定を選択してください。
- STEP.9何社かに訪問査定してもらい、正確な家の売値を決定もちろん1社でも構いませんが、複数社に見てもらったほうが、より相場に近い値段を知ることができます。
- STEP.10仲介を依頼する不動産会社を決め、不動産一括査定サイトで出た価格なども参考にしながら売りに出す
- STEP.11通常の不動産の販売と同じく、買い手が見つかり売却できれば終了
大手不動産会社に直接査定を依頼した際の流れ
- STEP.1大手不動産会社のなかから、一番自分にあった不動産会社を選択
- STEP.2自分で選んだ不動産会社に連絡、もしくは直接支店を訪問し、不動産売却を相談このとき家を購入した際の契約書や間取り図、築年数がわかる資料があると話がスムーズです。登記簿謄本があるとなお良いでしょう。
- STEP.3訪問査定の日時を決定
- STEP.4訪問査定してもらう実際に不動産を見に来てもらうので、きれいにしておきましょう。またこの際に中の様子を写真に撮ることも多く、できる限り部屋が広く見えるように家具の配置なども工夫するのがベターです。もちろん水回りの掃除も忘れずに行います。
- STEP.5売値に納得できれば、媒介契約を結ぶ
- STEP.6不動産の広告を出し、買い手がいれば紹介をしてもらう
- STEP.7なかなか買い手が見つからないほか対応に不満があれば、別の不動産会社への変更も検討何度も不動産会社を変えるのは、手間も時間もかかります。できればどうしたら売れるか、担当者と一緒に検討し、それでもだめなら不動産会社を変更しましょう。
- STEP.8買い手が見つかり不動産価格にお互い納得できれば、そのまま不動産会社に仲介を依頼
- STEP.9不動産を引き渡し売却完了
大手不動産会社と中小零細の不動産会社の違い
大手不動産会社と中小零細不動産会社では、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。利用の流れと併せて、双方についてきちんと理解しておいた方が安心です。
メリット | デメリット | |
大手不動産会社 | ・扱う案件が多い
・同業他社との繋がりが広範囲 ・WEBの宣伝効果が大きい |
・田舎の物件になるほど、査定しても相場とかけ離れている可能性がある
・たくさんの案件を扱っているからこそ、時間をかけられない ・放っておいても顧客が来るので、怠慢になりがち ・両手仲介にこだわる |
中小零細の不動産会社 | ・フットワークが軽い
・片手でも問題なく動いてくれる ・独自の情報網がある ・社長自ら動いてくれる |
・最新の情報に疎い
・顧客の情報が少ない ・不得意分野はとことん不得意 |
大手不動産会社のメリット
扱う案件が多い
信頼や安心などの理由から大手と媒介契約(仲介契約)を結ぶ人は多く、必然的に扱う物件の数も多くなります。また日本全国に支店がある場合なども、現在はネットワークが進歩したおかげで、情報の共有がスムーズです。遠方の顧客の情報も手に入りやすく、物件数の強さでいえば、大手に分があります。
同業他社との繋がりが広範囲
同業他社との繋がりにおいて、大手は広範囲に及びます。会社が大きくなるほどさまざまな会社と繋がるようになり、それはもちろん同業他社も同じです。日本全国の会社と繋がっていくことで、情報量としての強みがあります。
宣伝効果が強い
大手は宣伝が強い傾向にあります。宣伝するためのネットワークが確立されているのが大手の強みです。売りたい物件を様々なメディアに掲載してもらえる可能性が高く、早期成約に繋がりやすいでしょう。
大手不動産会社のデメリット
田舎の物件になるほど、査定しても相場とかけ離れている可能性がある
地元の中小零細不動産会社の方が、その地域については情報通です。大手不動産会社になるとそこまで地元密着というわけにはいかず、正確な査定ができない可能性もあります。都心部では取引の事例が多く適正な査定ができても、地方になるほど参考になる取引事例は少なくなりがちです。この点では地元密着の不動産会社のほうが、査定結果を信頼できます。
中小零細よりもたくさんの物件を扱っているからこそ、時間をかけられない
大手不動産会社になると、取り扱う物件が多くなり、その分ひとつの物件に時間をかけられない傾向にあります。そうなると「早く売ってしまいたい」という思いから、価格交渉において不利になる可能性も否定できません。価格交渉をするとどうしても時間がかかります。ひとつの物件にじっくりと取り組んでくれるのは、どちらかというと中小零細の不動産会社の方が多いでしょう。
大手はネームバリューで放っておいても顧客が来るので、怠慢になりがち
もちろん大手不動産会社の担当者がすべてそうではないのですが、どうしても大手というネームバリューから、営業するうえで怠慢になる可能性があります。たとえ一人の営業マンの対応が悪くても、ブランド力で勝負できるので、あまり影響はありません。
しかし、中小零細の不動産会社はひとつの評判がそのまま会社の評判に直結するもの。大手不動産会社の営業マンよりも熱心に営業してくれる場合があります。
両手仲介にこだわる
両手仲介が大手不動産会社に頼む最大のデメリットかもしれません。両手仲介とは、買主・売主の両方から仲介手数料をもらう取引方法のことです。両方が自社の顧客であれば、買主・売主からそれぞれ仲介手数料をもらえますが、買主が他社の顧客であれば、売主からしか仲介手数料はもらえません。
大手不動産会社は多くの顧客を抱えており、そのアドバンテージを活かして、両方から仲介手数料をもらうことにこだわろうとします。仲介する不動産会社からすると、不動産の値段を下げてでも、両方から仲介手数料が欲しいのが本心です。このため売主へ値段を下げるように交渉し、買主の希望に合わせるようにします。
売主からすれば、できる限り高い値段で売りたいにもかかわらず、買主の要望を聞いて値段を下げざるを得ません。すべての大手不動産会社がそうではありませんが、このような傾向が強く見られるため注意しましょう。
中小零細の不動産会社のメリット
フットワークが軽い
大手不動産会社では取り扱う物件が多いせいか、フットワークが重い傾向にあります。しかし中小零細であれば、一人の顧客にかけられる時間も多く、何かあったときのフットワークが軽いでしょう。不動産売買においてフットワークは重要なポイント。買い手が見つかった際にすぐに動けるようにしておかないと、他の不動産に流れる可能性もあります。
片手でも問題なく動いてくれる
大手不動産会社よりも中小零細の不動産会社のほうが、片手(仲介手数料を売主か買主のどちらか一方からもらうこと)でも問題なく仲介してくれます。もちろん中小零細の不動産会社でも両手にこだわる会社もありますが、大手不動産会社に比べて、そこまで顧客を抱えているわけではありません。無理やり売却価格を下げるようなことはせず、売主の希望に沿った価格で勝負する傾向にあります。
独自の情報網がある
中小零細の不動産会社だと地元に特化した情報や、大手不動産会社にはない独自の情報網があります。地元民しか知らないことなど世の中いくらでもあり、そのような情報を持っていることは不動産を売るうえで強い武器になるでしょう。もちろん買う側も、地域のことをよくわかっていない担当者よりその地域で育った人や、地元に詳しい人から不動産を買いたいと考えるはずです。
社長自ら動いてくれる
中小零細の不動産会社であれば担当者が社長ということも珍しくありません。トップが動いてくれれば判断も迅速になり、大手のように「上司の答えを待つ」といった状況は起こらないでしょう。上司の判断を待っている間に買主の意思が変わる可能性もあるため、何かを決断するスピードにおいては中小零細の不動産会社のほうが有利です。
中小零細の不動産会社のデメリット
最新の情報に疎い
大手不動産会社の方が全国に支店があり、さまざまな最新の情報が手に入ります。中小零細の不動産会社だとどうしても情報の伝達が遅くなり、最新の動向に対応できない可能性も高いでしょう。
顧客の情報が少ない
中小零細の不動産会社は地元密着型が多く、地域の情報には強くとも、その抱えている顧客の数は大手不動産会社にはかないません。数が少ない代わりに質で勝負しており、担当者がかなり親切ということもあります。大手に比べてなかなか話は入ってこないかもしれませんが、不動産を買うのはいずれにせよ一人です。慌てずに待ちましょう。
不得意分野はとことん不得意
一人の担当者のやることが大手不動産会社よりも多岐にわたり、不得意分野は後回しになりがちです。たとえばAという不動産会社は分譲マンションには強く一戸建てには弱い、Bという不動産会社は売買部門よりも、どちらかというと管理や賃貸をメインにしているなど、それぞれ強みや弱みがあります。この辺りはそれぞれ話を聞きながら判断しましょう。
まとめ
いままでご説明したものとは別の見方で、女性は大手不動産会社を好み、男性は実利を好む傾向があります。
もし、ご質問者様が男性でしたら、大手や中小零細という一括りで判断せず、不動産一括査定サイトの査定額を参考にしながら広く不動産会社探しをされてはいかがでしょうか。
反対に女性の方であれば、不動産一括査定サイトの査定額を参考にして大手不動産会社へご相談されてはいかがでしょうか。不動産一括査定サイトであれば大手不動産会社ももちろん含まれていますし、仮に大手不動産会社から良い返事が得られない場合でも、不動産一括査定サイトの査定額をもとにお近くの大手不動産会社へ足を運ぶこともできると思います。
いずれにしましても、不動産一括査定サイトは便利で安全ですから不動産売却の最初のステップとして利用されることをおすすめします。
The following two tabs change content below.
田中 真作
このページの補足コメント
不動産会社は独自の評価基準で査定額を算出するので、会社ごとに査定額はバラバラです
でも複数の会社の査定額を見れば、大体の適正価格を把握することができます。高すぎる査定額や安すぎる査定額を出す不動産会社には、ちょっと注意が必要です。
査定額が突出して高いのに、納得できる説明をしてくれない場合、高めの査定額で惹きつけてその不動産会社に売却を依頼してもらおうという魂胆かもしれません。逆に、低すぎる査定額を信じて、安すぎる値段で売ってしまうという失敗もなくなります。