子どもが独立してしまう3年後をメドに自宅を売却したいと考えています。
しかし、売却に出してすぐに売れるかどうかが心配です。
何故なら、住んでいる家は親の代から引き継いだものなので、かなり古く、また住んでいるところも田舎です。
査定すらしてくれないのではないのかと不安に感じています。
最近、近所の人が自宅を売りに出したのですがなかなか売れなくて、ご近所さんに恥ずかしいとこぼしていました。
私も、売りに出していつまでたっても売れなかったら恥ずかしいし、ネットで調べると「売れない」という口コミ情報を目にするので不安です。
売れない家の特徴がどんなものなのか教えてください。
長年住んでいる自宅を売却する。
しかし、田舎で古い建物ならば売れないのではないかと不安に感じている人は多いのではないでしょうか。
Kyo.N
では、売れない家とはどのようなものなのでしょうか。
そして、売りにくいと感じている家を売ろうとする場合、どのような手を打てばいいのでしょうか。
売れない家の特徴から、売るための秘訣までを、不動産業界歴20年以上の筆者の経験を元に詳しく解説していきましょう。
この記事に登場する専門家
Kyo.N
宅地建物取引士、賃貸経営管理士、米国不動産経営管理士。
大学卒業後、証券会社に勤務、その後、不動産会社へ転職。
賃貸仲介・売買仲介・管理業務と不動産全般を経験し、現在は金融の知識も生かしコンサルティング業務を行う。20年超の勤務経験と、不動産全般を経験した知識から、さまざまな角度から不動産経営や投資についての悩みを解決する。
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売れない家の特徴4パターンを検証する。
売れない家には、共通している特徴がいくつかあります。
まず、自分が住んでいる家が売りにくい建物なのかどうかを、売れない家の特徴を見ながらあてはめてみましょう。
自分の建物が売りにくいのかどうか、弱点は何処なのかを知ることは弱点を克服し、売りやすい家にかえる第一歩なのです。
- 築年数が古い家
- 田舎で交通の便が悪い
- 再建築不可の家
- 土地の形が悪い家
その① 築年数が古い
前述しましたが、古い家よりも新しい家の方が比較的売りやすいといわれています。
私は、不動産会社に勤めているので、賃貸、売買とあらゆる不動産の紹介を行っています。
お客様が戸建てやマンションを選ぶ大きなポイントのひとつにやはり築年数が新しいという点は住まいを選ぶ上で重要視されています。
古い家のマイナスポイントとして、時代のニーズに合っていないことが挙げられます。
電力系の問題
例えば、今の時代、1部屋に1台はエアコンを置きたいと考えている人が多いのです。
しかし、古い家の場合はエアコンを設置できるコンセントや、エアコンの管を外に通す穴が無くてエアコンをつけることができない部屋があります。
また、昔に比べると、今の時代は電気の消費が多く、多くの家電を利用しています。
しかし、古い家は多くの家電に対応できていないため、コンセントが少なかったり、電力量が足りなかったりする不具合が目につきます。
築年数が新しければ新しいほど、当然ですが今の時代に合った造りになっていますので、新しい方が人気である理由のひとつです。
資材の劣化
もう1点、築年数が古いデメリットを述べましょう。
築年数が古いということは、家の木材や建材といった資材が劣化しています。
一般的に木造の場合ですと、築20年を超えてしまった建物は、無価値であると見なされます。
家を売りに出しても建物の値段はゼロ円とみなされるのです。
価値がないと試算されるし、住んでいると建物の補修費用がかかってくると思い敬遠するお客さんがとても多いのです。
【体験談】実際に築年数が古い物件を仲介していました
実際に、筆者も築年数が古い物件の売買を何件もおこないました。
築年数が古い物件の土地を買って、新しい新築の家を建てようとする人が非常に多かった印象です。
さきほど、築年数が古い物件の価値はゼロ円だと先ほど述べましたが、新しい家を建てようとする場合は、築年数が古い物件を解体しなければいけません。
つまり、価値がゼロ円どころか、解体費用という余計な出費がかかる場合も多いのです。
このような点からも築年数が古い物件は売りにくい物件といえます。
その② 田舎で交通の便が悪い
家を探しているお客様を案内するときに、家さがしの重視するポイントで築年数と同じく重視されているのが交通の便です。
例えば、
- 駅やバス停に近い
- 子どもの通学する学校が近い
- 買い物する場所が近くにある
などです。
特に駅までの距離は、部屋探しの選ぶ分かれ目として判断される方も非常に多いと感じます。
つまり、都会の方が田舎よりも交通の便も良いことが多いし、買い物できる場所も田舎より多いので人気ですし、とうぜん価格も高く売れやすいのです。
田舎や交通の便が悪いところは売却においては不利な状況になるといえます。
その③ 再建築不可の物件
売りに出ている家をインターネットや雑誌などで探すとき、時々目につくのが再建築不可という文字です。
再建築不可とはどのような物件のことをいうのでしょうか。
一般的に、土地に建物を建てるときの条件として、隣接する道路の幅が2m以上ないと建築できないと建築基準法で定められています。
建築基準法が定められる前に建てられた建物は、道路幅2m未満でも建っていますが、取り壊してしまうと現在の建築基準法に適合しないので建てることができなくなるのです。
あわせて、再建築不可の物件は、築年数に関係なく建物の価値がないと判断されることも多いので、金融機関のローンが非常に通りにくいことも挙げられます。
多くの人は住宅を購入するときに現金一括払いではなく、金融機関のローンを利用して購入する人がほとんどですが、金融機関のローンが通らないと買えません。
この点からも再建築不可物件は非常に売りにくいといえます。
再建築不可の物件かどうかを知るにはどうする?
では、再建築不可の物件かどうかを知るためにはどうすればいいのでしょうか。
接道(敷地に接している道路)の幅が2メートル未満であると再建築不可のケースが多いので、接道を自分の目で確認することで判断が出来ます。
一番確実な方法は、役所に行って確認することでしょう。
物件の所在地が分かる地図を持参して、道路課、若しくは建築指導課を訪ねてみましょう。
そこで、接道が建築に対する条件を満たしている道路かどうなのかを調べることができるのです。
誰でも訪問して訪ねることができますので、役所で確認する方法が一番簡単で、確度の高い情報を得ることができます。
その④ 土地の形が悪い家
土地の形がとても悪い建物も人気がなく売りにくいのが特徴です。
旗竿の土地や、縦長の土地、道路との段差が大きい土地など、いくつかの形を挙げることができます。
形が悪い土地は、次に建物を新築しようとするときに十分な広さがあるのに建物が自由に建てにくいというデメリットが挙げられるのです。
また、形が悪いと有効活用できる部分が少なくなってしまうため、通常の相場よりも安い価格で売られてしまうケースもあります。通常の相場価格で売却すると割高と感じられ、売りにくくなってしまうこともよくあるのです。
筆者の実体験ですが、今でも思い出す土地の形が悪い家があります。
三角の土地で、広い部分に家が建っていました。三角のとがった部分が駐車場になっていて、かろうじて駐車場に普通車が停められる広さでしたが、買主が購入後すぐに三角部分にカーポートを建ててしまいカーポートが越境したのです。
売買契約が終わったのに、隣の住人から私がすごく怒られて、隣の住人と買主との仲を取り持って、撤去してもらったことを思い出します。
形の悪い土地は、不動産購入後にカーポートや物置など設置したくてもできない場合が多くなってしまいます。
家を購入するときは次の建て替えを考えて購入する人も多く、次の家を建てにくいし、そのまま使うとしても設置したい設備をつけにくい土地にある家は、売りにくい土地のひとつです。
売れない家の特徴まとめ
売れない家の特徴4点を挙げましたが、売れない家の特徴を知ることで、売るための対策を立てやすくなるのです。
物理的にはどうしようもできないケースもあるのですが、売却金額に反映したり、新たな設備を追加して、住みやすく変えたりすることで、長期間売れ残るといったリスクを回避しやすくなります。
- 築年数が古い家
- 田舎で交通の便が悪い
- 再建築不可の家
- 土地の形が悪い家
次からは、売る為の秘訣について解説していきましょう。
売れない家を売り切るためにおこなうこと
売れない家の特徴が分かったら、次は特徴も踏まえた売却するためにやること等について考えなければいけません。
ここからは、
- 売却しやすくなるためにどのようなことをすればいいのか
- どんな不動産会社に頼めばいいのか
- 万が一売れなかったらどのような対処をすればいいのか
等について解説していきましょう。
売るための秘訣その① 部屋の中はきれいに
基本的に家を購入しようという人は引き続き住むために購入されます。
ということは、当然ですが汚い家よりもきれいな家に住みたいと思うものです。
本当は、荷物も何もないまっさらな状態で内覧してもらうのが一番いいのですが、住みながら売らなければならないケースも出てきます。
売れない家の特徴で挙げましたが、古い家だとその後に出る修繕費用が心配で購入に至らない場合が多いです。
なるべく、修繕費用がかからないと思わせるような状態で内覧してもらう方が購入意欲を盛り上げます。
建物自体は古いけど、全体的にきれいであまり手がかからないと思わせるためにも、できる範囲はきれいな状態にしておきましょう。
売るための秘訣その② 価格に割安感を出す
家を売るときには「できるだけ高い金額で売りたい」と思うものです。
しかし、売れない家の特徴にいくつか当てはまる場合は、できるならばなるべく割安感を出して安く金額設定して早く売ってしまうことも一つの手です。
特に、売れなくて近所の目が気になるのが嫌だと思っている人は、最初から割安感を出して売ってしまうことも考えておきましょう。
金額を安く設定すると興味を持つ人は増えてきます。とうぜん内覧なども増えてきますが、売れなくても内覧時にどこが気にいらなかったかを聞くことができます。
そして、気に入らなかった部分を改善することで、より売りやすい家に変えることができるのです。
家の価格は購入希望者にとって判断材料の大きなポイントですので、価格設定を間違えないようにしておきましょう。
売るための秘訣その③ 信頼できる不動産会社を見つける
家を売るときに価格設定も大切ですが同じくらい大切なのが、信頼できる不動産会社に依頼することです。
不動産会社を選ぶときに、大手がいいのか地場の会社が良いのかで悩む人も多いのですが、それぞれにメリットやデメリットがありますのでどちらが良いとは一概にはいえません。
大切なのは大手でも地場でも、きちんと対応して、適切な対策やアドバイスを与えてくれるかどうかという点に尽きます。
あわせて、売ろうとしている家がある地域においてどの程度の実績があるかを見てみるのも良いでしょう。
不動産会社にいい加減な対応をされると感じてしまうと不安感は大きく膨れてしまいます。
特に、家の売却など、多くの人が初めて行うことであり、分からないことも多く、ただでさえ不安なわけですから信頼できる不動産会社を選ぶことは不安感を取り除くひとつでもあるのです。
良い不動産会社を見極めるには?
不動産会社の良し悪しを見極めるポイントとしては、価格設定の根拠を分かりやすく説明してくれる不動産会社です。
時々、売却の設定金額が一番高かったからという理由で不動産会社を選ぶ人も多いです。
しかし一部の不動産会社では、とりあえず自分の会社で売却のお世話をすることが目的で、相場を無視した価格設定をする不動産会社も存在します。
そして、売れない時期が長時間経過すると価格を下げる提案をして売ってしまうといった顧客本位ではなく会社の売り上げ重視で対応する会社もあるので注意しなければいけません。
しっかりとしている会社は、都合の良い話だけではなくリスクもきちんと伝えて、お客様にベストを尽くそうと努力してくれます。そのような不動産会社を(多少時間がかかったとしても)選ぶことがとても大切です。
この3点を理解して売却活動を行うだけでも売却成功の可能性は大きく高まります。
- 部屋の中はきれいに
- 価格に割安感を出す
- 信頼できる不動産会社を見つける
それでも売れなかったらどうしたらいいの?
先ほど、売るための秘訣ということで3点を紹介しました。
秘訣をしっかり守り、実践することで、早期の売却に大きく近づくことでしょう。
しかし、それでも売れない場合にはどのような手を打てばいいのでしょうか。
ここからは、手を尽くしてもなかなか売れなかった場合の方法について解説していきましょう。
売れない場合の対処法 その① 不動産会社に買い取ってもらう
家を売却する場合、不特定多数の人に募集を行います。
募集の方法として、不動産の募集サイトや不動産会社独自のホームページへの掲載や、雑誌への掲載、不動産会社の店頭掲示などで売ろうとしている家を募集します。
もうひとつ、売却する方法があります。
不動産会社が買い取ってくれる方法です。
しかし、再度購入時よりも高い金額で売却することが目的ですので、相場よりもかなり割安な金額で売却しなければいけません。
ですが、不動産会社の買い取りだと、段取りも早くすぐに処分することができますので、とにかく早く売ってしまいたい人にはおすすめの手法です。
売れない場合の対処法 その② 一度売ることをやめて時期を見て売りに出す
一度売りに出してなかなか決まらず時間がたってしまうと、いつまでたってもネット上に掲載されっぱなしになるのであまりいい印象を与えることがありません。新鮮味も薄れますので、長いこと市場に出しておくことも得策ではないのです。
なかなか売れない場合は、一旦募集を引っ込めるということも選択肢の一つです。
一旦引っ込めて、再度、設定金額の見直しをおこなったり、ローンの残債がある場合は、もう少し残債を払って残債を減らしたりすることで、さらに売りやすい価格にすることもできます。
需要のないときにずっと募集を行っても意味がない場合が多いので、売り出す期間を予め設定しておくことも対処法のひとつです。
売れない場合の対処法 その③ 売らずに処分する
また、一度売ることをやめて売らずに処分するという方法もあります。
例えば、相続によって所有してしまうことになった場合は、相続放棄を行うことで売らずに処分することが可能です。
ただし、相続放棄しただけでは、所有権は移ってしまうので裁判所へ申し立てをして所有権を移す必要があります。
相続放棄によって、売らずに処分することが可能になります。
また、寄付するという方法をとることも出来ます。
公益法人や管轄する自治体へ寄付することができます。
しかし、寄付の場合相手方が必ず寄付を受け入れる訳ではありませんので、一度確認する必要があります。
まとめ
不動産を売るため(売り切るため)に大事なポイント
- 売れない家には共通の特徴があり、売れない家の特徴に自分の家が当てはまるかどうかをしっかりと分析しましょう。
- 自分なりに売るまでのスケジュール、売るための対処、売れないときにはどうするのかといった点を前もって確認して売却に臨みましょう。
- 信頼のできる不動産会社を選び、コミュニケーションをとって一緒に売却計画が達成できるように取り組んでいきましょう。
そうすることで、より、自分の思う金額で早い時期に売却できる可能性が高まります。
いつまでたっても売れなかったらストレスや心配事が重なり、冷静な判断ができなくなってしまう場合もあります。基本的に不動産の売却などはほとんど経験がなくはじめて行うという人が多いので、何も考えないで不動産会社任せにしておくと、うまくいかなかった場合に不安やストレスが膨らんでしまいます。
そのためにも、上記3つのポイントだけはしっかりと頭に入れておいてください。
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