現在は東京に住んでおり、実家(博多)の家を売りたいのですが、どこから手を付けたらよいのかわかりません。それほど急いではないものの、なるべく高く売りたいと思います。
東京に住みながら博多の家を売る場合、遠方である点をどのように考慮するかが重要なポイントになります。一般的には、地元の不動産会社を選択されるのがベストです。しかし、不動産会社を探すために博多まで何度も足を運ぶのは難しいと思います。
また、東京に住んでいる間に地元も様変わりしているはずなので、まずは不動産一括査定サイトで相場を知るとともに、地元に対応している不動産会社にあたりをつけましょう。
今回のご質問者様は、そもそも家をどうやって売れば良いのかにもお困りのようです。家を売却する一般的な流れや、できるだけ高く家を売る方法について詳しくご説明します。
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家の売却の流れ、まずは何をすべき?
家を売る際は、まずはいくつかの不動産会社に家を査定してもらいます。その査定で相場を把握したら、もっとも良い条件で売却してくれそうな不動産仲介業者を選び、実際に売却活動を進めていくことになります。具体的な売却の流れは以下の通りです。
- STEP.1不動産一括査定サイトで査定してもらう
- STEP.2相場から家の売却価格を決める
- STEP.3家を売ってくれる仲介業者(不動産会社)か買取業者(不動産会社)を探す
- STEP.4あたりをつけた不動産会社に訪問査定をしてもらうすでに相場を知っているため、あまりにもかけ離れている場合は、必ず理由を聞きましょう。
- STEP.5訪問査定価格に納得できれば、不動産会社に仲介を依頼する(媒介契約を結ぶ)
- STEP.6家を売り出す市場にあなたの家が紹介されるようになります。大手メディアに掲載されることがほとんどです。
- STEP.7物件情報を開示する屋根を5年前に修理した、給湯器の調子が悪いなど、現状でわかる範囲は全て話すことが後々のトラブル防止につながります。
- STEP.8買主が納得したら売買契約を結ぶ買主が家を現金一括で購入する場合は、すぐにお金のやりとりをはじめることができます。通常は住宅ローンを組むため、銀行の住宅ローン審査が通るまで待つことになるでしょう。
- STEP.9買主の住宅ローン審査が通れば、銀行にてお金を受け取る
- STEP.10家を引き渡す登記申請をし、所有権の移転を行います。
以上が家を売るまでの流れです。売却に関してどの不動産会社に任せるのかは、査定時に反応のよかった会社を選ぶほか、地元の不動産会社を選ぶのも良い選択です。
ちなみに相続税を計算するときの不動産評価額と、実際に売れる不動産の価格はめったに同じにはならないため注意してください。
できる限り家を高く売るためにはどうすればいい?
複数の不動産会社に査定してもらうこと
家を高く売るためにもっとも重要なのは、複数の不動産会社に査定してもらい、仲介を依頼する業者をしっかり選ぶことです。
仮に最寄りの不動産会社に足を運び、査定してもらっても、その額が絶対に適正とは言い切れません。特に問題となるのは、悪徳不動産会社に捕まったときです。悪徳不動産会社は相場よりもわざと高い値段で査定し、「いい気持ち」にさせ契約に結びつけようとします。この場合、よほど運が良くないと売れません。最終的に大きく値下げすることになるでしょう。
またライバルが他にいないことがわかれば、相場よりも低い値段を提示し「いまのご時世、これくらいじゃないと売れません」などと言い、売り主を落ち込ませるような不動産会社もいます。その後「でも弊社ならOOO万円で買い取ります」と、不動産会社自らが買主に名乗り出て、あたかも救世主のように演じることも。もちろん不動産会社は買い取った家をそれより高い値段で転売します。
詐欺まがいに感じられますが、これもまっとうな商売です。やむを得ない部分もありつつ、それでも相場よりも安い値段で売却することになるのは非常にもったいない話でしょう。
こういったケースも考えられるため、まずは複数の不動産会社に査定を依頼して、適正な相場を知ることが大切なのです。しかし一軒ずつ不動産会社を回るのは大変です。特に今回は東京にお住まいで、売却する家は博多にあります。地元の不動産屋を尋ねるために何度も博多まで足を運ぶのは時間がかかるうえに、交通費もばかになりません。そこで便利なのが不動産の一括査定サービスです。
不動産の一括査定サービスを利用しよう
不動産の一括査定サイトとは、複数の不動産会社にまとめて査定価格を出してもらえるウェブサービスです。以前であればいくつかの不動産会社に査定を依頼する場合、自ら不動産会社にいちいち問い合わせをし、資料を郵送するなど手間がかかっていました。不動産一括査定はその面倒な手間を一切省くことができます。
不動産一括査定サイトは無料で利用できる点も魅力です。売却するのか、手元に置いておいて活用するのかについても、まず不動産一括査定をしてからでも遅くありません。
「この家はとても大きいし立地もいいから、きっとこの値段で売れるだろう」「どうせ大した価値はない」と想像で動いてしまうと、後々後悔をすることになります。特に実家となると思い入れもあり、相場とはかけはなれた値段を考えている方も多いでしょう。
しかし買い手側にしてみれば思い入れは一切なく、そのギャップを知る必要があります。もしかすると、思った以上の査定額になるかもしれません。
不動産一括査定サイトで複数社の査定を取ることで、より市場の売り値に近い数字を知ることができるでしょう。
ちなみに、今回のご質問者の方はすでに売却を決めていましたが、売るかどうか迷っている段階でも、まずは不動産一括査定に出して資産価値を把握するのがおすすめです。
家の売却に関係する税金について
家の売却で得た利益には税金がかかる場合があります。家を売却したあと、実際にどのくらいの現金が手元に残るかを知るため、税金についてもある程度理解しておいた方が安心です。
売却時の税金、売却して得た利益(譲渡益)には税金がかかる
相続した家が売れると税金がかかる場合があります。相続した時点で相続税がかかるうえに、また税金がかかるのかと感じるかもしれません。ただし、これには条件があります。どのようなケースで税金がかかるかというと「不動産を売った金額が、買った金額よりも大きかった場合」です。
なかには買った金額がわからない場合もあるでしょう。そのときは売った金額の5%を取得費とします。
特別控除額とは、相続により取得した家を平成28年4月1日~平成31年(2019年)12月31日までの間に売って、一定の条件に当てはまるときに、譲渡所得の金額(利益)から最高3,000万円まで控除できる制度です。これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物登記がされている建物でないこと(一戸建てなら問題なし)
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと(親が一人暮らしだった場合)
特例を受けるための適用要件はほかにもありますが、特に大事なのは「相続の開始があった日から3年が経過する日の属する年の12月31日までに売ること」です。その他要件は国税庁のHPに記載されているほか、税務署や税理士に相談するのも良いでしょう。
ただし特例には期限があります。家を売却すると決めているのであれば、早めに行動したほうが賢明です。
【家を売却した時の税率は?】
譲渡所得(利益部分)への課税は、売った不動産の所有期間が5年以内なら短期譲渡、5年超なら長期譲渡となり、それぞれ税率が異なります。この所有期間は親から相続した場合、親がその家を購入した時期を引き継ぐ点にも注意しましょう。
短期譲渡所得
※復興特別所得税抜き(2.1%) |
所得税30% | 住民税9% | |
計39.63% | |||
長期譲渡取得
※復興特別所得税抜き(2.1%) |
所得税15% | 住民税5% | |
計20.315% |
1985年に親が家を購入
↓
2015年に親から子へ相続
上記であれば保有期間は30年という計算になります。長期譲渡取得にあたるため、税率は39.63%です。
課税短期譲渡所得金額が500万円の場合
(1) 所得税
500万円×30%=150万円
(2) 住民税
500万円×9%=45万円
※復興特別所得税は加味していません
合計すると、所得税+住民税=195万になります。税金もなかなか高いので、もし利益が出そうであれば特別控除を使うためにも、早めに家を売却したほうがいいでしょう。
相続税の取得費加算の特例
相続税申告期限の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合に限り、相続税の一定額を取得費に加算できる「相続税の取得費加算の特例」が認められます。取得費に相続税の一部を加算することによって譲渡益を抑えることができ、税金の軽減につながるでしょう。ただしこちらの特例を使うと、特別控除の特例が使えません。
いずれにせよ思った以上に高くに売れた場合は、税金がかかる可能性があります。早めの準備と対策が必要です。
家を売る際の注意点
媒介契約の種類について知っておこう
家を売る不動産会社との媒介契約において、ひとつ注意しなくてはなりません。媒介契約には3種類あり、この契約方法を間違えると違反になります。
複数の不動産会社との同時契約 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
不可 | 不可 | 可 | |
自分で買主を見つけた場合 | 契約中の不動産会社を通す必要あり | 自分で販売可能 | 自分で販売可能 |
契約期間 | 最長3カ月 | 最長3カ月 | 規定なし |
不動産流通機構(レインズ)登録義務 | 契約から5日以内に登録 | 契約から7日以内に登録 | 登録義務なし |
販売状況報告の義務 | 7日に1回以上 | 5日に1回以上 | 規定なし |
不動産を売却する場合、個人で買主を探すのは難しいことから、不動産会社に仲介を依頼します。その際に取り決める、家が売れた場合の成功報酬額などの契約内容が媒介契約です。簡単にいえば「私の家を売るための仲介をして欲しいから、その契約を結びましょう」ということになります。
この契約を不動産会社と結ぶ際、注意したい点は「専属専任媒介契約か専任媒介契約を結んだら、他の不動産会社に仲介を依頼することができない」という点です。専任という名前のとおり、ほかの不動産会社に「乗り換え」はできません。
これは悪いことではなく、不動産会社も専任契約であれば、他社に依頼される心配がなく、熱心に買い手を探す傾向にあります。ただし不動産会社がやる気を見せず、全く買い手が見つからないようなら、遠慮なく一般媒介契約に変えて、ほかの不動産会社も検討すべきです。
家を売るために実家の博多に行く必要はある?
不動産売却を進めるため、何度も現地を訪れる必要はありません。ただし最初に不動産会社と媒介契約を結び、中を見てもらうために、一度は博多に行って鍵を開けることになるでしょう。このとき不動産会社は内観の写真を撮り、広告用の画像を用意します。
その後は不動産会社に鍵を預けることも可能です。買い手や内覧希望者が見つかった際に、自由に家の中を見てもらいます。もちろん鍵を預けるのが不安であれば預けなくても構いません。今回のように遠方の場合は鍵を預けておいて、あとは不動産会社にお任せする形が一般的です。
いざ契約する際も、郵送でのやり取りができます。わざわざ不動産会社に直接出向いて、契約書に署名捺印する手間がありません。ただし最後のお金のやりとりは、通常買い手側の銀行の支店で行います。この場合は、博多の銀行になる可能性が高いでしょう。
家を放置したときに起こる問題点
今回のご質問者様は家の売却を「それほど急いでいない」とのことでした。しかし不動産は、放置していると劣化していきます。特に空き家の状態だと老朽化は早まるでしょう。
また平成27年2月26日には空き家対策特別措置法も施行されました。これは実家を相続した今回の質問者の方にとっては重要な法律。「古くなった空き家を放置してはいけない、もし危険な空き家が放置されていたら、強制的に改善命令を下すことができる」という内容です。
倒壊する恐れがある場合は強制撤去され、その費用を市町村から請求されるようになります。倒壊の危険がない空き家でも、改善の命令が下るかもしれません。このように空き家だからといって放置すれば、周りに危害を加える恐れもあり、「いつか売れたらいい」と考え行動を起こさないと、取り返しのつかないことになる可能性があります。
次の問題が固定資産税です。家を売ると決めてからなかなか売れないと、その間ずっと固定資産税がかかることになります。たとえば売りに出しても5年間売れず、毎年10万円の固定資産税がかかっていれば、10万円×5年=50万円が無駄に。いち早く売ってくれる不動産会社を見つけることが大切です。
今回の質問者のように遠方であれば、何かあってもすぐにかけつけることができません。空き家であるのをいいことに、泥棒から目を付けられるリスクもあります。いずれにせよ空き家は放置せず、売るか、もしくは貸すかなど資産を有効活用していかないと、デメリットが大きくなる一方です。
まずは相場を知り不動産売却の知識を得よう
家はそう何度も売ったり買ったりするものではありません。大きな買い物だからこそ、本来は慎重に事を進めるべきです。しかしあまりにも大きなお金が動くことで、つい思考が停止してしまうこともあるでしょう。
どんな買い物でも「より安く買い、より高く売る」が基本です。そのためにもいきなり不動産屋を訪れるのではなく、相場を知り知識をつけてから行動することで、希望に近い価格で売れる可能性も高くなります。まずは不動産一括査定サイトを使い、家の相場を把握するところからはじめましょう。
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田中 真作
このページの補足コメント
空き家となった実家を放置すれば、資産価値が下がり、税金もかかってしまいます。
「実家を売却しよう」と決めたときに早めに行動に移せば、節税できる可能性は高くなるでしょう。
「空き家をできるだけ高値で売却したい」と考えている人におすすめなのが、「不動産の一括査定サービス」を利用する方法です。
複数の不動産会社に一括査定を依頼すれば、提示された複数の査定額を確認して、より高い査定額を出してくれる不動産会社を見つけることができます。