【投資用不動産の売却体験談】売却価格2050万/築28年アパート/期間1年(大阪府)

【投資用不動産の売却体験談】売却価格2050万/築28年アパート/期間1年(大阪府)

1.筆者(体験談本人)の基本情報

私は不動産コンサルタントをしております。特に不動産投資のアドバイスが得意分野です。私自身もアパート1棟の売買や、区分マンションの売買を行っており、いわゆる「大家さん」でもあります。ただし、一般客の売買の仲介は行なわず、売買のアドバイスに留めています。

不動産知識を誰かに教わったわけではなく、不動産関係の本を読み漁り、知識・知恵を習得していきました。所持する資格は、1級建築士・1級土木施工管理技士・宅地建物取引士です。全て独学で取っています。実際にアパート経営、マンション経営をしながら、実践ノウハウを身に付けていきました。管理はもちろん自主管理です。その方が良い結果が得られるものと信じています。その辺の詳細は後述するとします。

1-1.投資用不動産の詳細

Δ売却した大阪府内のアパート

都道府県: 大阪府
物件: アパート
築年数: 28
構造: 1階;鉄筋コンクリート造、
2・3階;木造
不動産の状態: 賃貸中(1K全8戸、空室1戸)
立地: 最寄駅から徒歩10
査定前のリフォーム・メンテナンス:
その他: 売却半年前に都市ガスをプロパンガスに切り替え

1-2.不動産の管理者

本人

1-3.売却金額と期間

理想価格:2,100万円

査定価格:2,300万円

売出価格:2,300万円

売却価格:2,050万円

売却までに要した時間:1年間

2.不動産会社選び、売却完了まで

不動産会社選びは、私の売却条件に真摯に対応できる営業マンを見出すことにより、決まりました。

  • STEP.1
    2-1.不動産会社選び
    私が選んだのは、大阪市内に本社のあるA社です。近畿一円に支店網を展開しています。元々、情報収集程度の付き合いはありました。
  • STEP.2
    2-2.専任媒介契約締結
    信頼できる営業マンがいましたので、その方を通してA社と専任媒介契約を締結しました。
  • STEP.3
    2-3.広告及び定例報告書
    2週間に1度の定例報告書は、きっちり届きました。(会社によっては案外ずさんな対応)広告も新聞チラシやA社のメール広告配信でマメに行われました。
  • STEP.4
    2-4.売買契約締結
    募集開始から1年経過しましたが、一人目の買主候補者と売買契約を締結しました。
  • STEP.5
    2-5.決済・引渡し
    境界確定などの条件はありましたが、土地家屋調査士に依頼して隣地との承諾もすんなり得ることができ、条件をクリアして決済、引渡しとなりました。

3.私が不動産を売却しようと思った経緯

私の投資スタンスですが、築20年物件を購入し、築30年になれば売却するスタイルをずっと貫いています。

私は不動産購入をする時は、常に出口を考えます。購入金額よりも売却金額が上がるように工夫をします。その工夫で最たるものが不動産相場、つまり購入時期です。これを間違えると、売却金額が購入金額を大幅に下回ることになります。かつ、購入後の不動産経営も非常に苦しいものになります。
私は不動産経営の良し悪しは、購入金額が8割を占めると考えています。残りの2割は管理です。

そのために、私は不動産投資相場を早く掴むために、株式投資をしています。株式指数は、どの経済指標よりも先行して相場の兆候が表れるからです。株式投資についても持論がありますが、それは別の機会にします。

この物件は、たまたまリーマンショック後に購入することができましたので、不動産相場の底値での仕入れとなりました。意外とこの時期に不動産を買い控える人が多かったように思います。私は株式相場を読む力を養っていましたので、絶好のチャンスと思い「買い」に入りました。

10年経過すると、不動産は格段に上がり、絶好の売り相場で高値止まりしています。「この辺りが不動産相場の天井かな」と考え、売却金額はあまり心配しませんでした。

ただし築30年ともなると、劣化・損傷が目立つようになり、それだけで評価額はかなり下がります。私はそのままの状態で、売却することを考えました。劣化・損傷箇所は包み隠さず告知したかったので、対応できる営業マンを探しました。売却後に、劣化・損傷個所についてトラブルを起こしたくなかったからです。

4.不動産売却の選択肢

私は不動産業(大家業、コンサルタント)を生業としています。日頃から不動産業者との付合いの中で、優秀な人材を探すことができますが、一般の方はそういう手間をかけることは出来ないと思われます。そこで選択肢を3つ紹介したいと思います。それは、

  1. 売却物件の近隣不動産会社
  2. 大手不動産会社
  3. 不動産一括査定WEBサイト

です。それぞれ説明します。

4-1.売却物件の近隣不動産会社

不動産会社は、売却物件の近隣物件を詳しく知っていますので、売却価格の査定(取引物件比較法による査定)は正確です。メリットとしましては、購入候補者が希望すれば、すぐにでも内覧にも同行することができます。また物件の特性を詳しく説明してもらえます。

デメリットとしましては、物件の近隣以外で幅広く集客するという観点から見ると弱いです。

4-2.大手不動産会社

広いエリアからの情報収集や集客が特徴です。メリットは、実績が豊富であり、購入候補者への説明資料は充実したものとなります。また投資用物件・居住用物件ともにバランス良く扱うことができます。

デメリットとしては、売却物件の近隣環境や近隣物件の把握など、きめ細かさという点では少し弱いです。

4-3.不動産一括査定WEBサイト

物件売却に先駆けて、おおよその相場を知りたいという人は多いと思われます。不動産一括査定WEBサイトは、物件所有者が現時点での不動産価格や価値を知りたい場合に、複数の不動産会社に一括で物件の査定依頼を行うことができるWEBサイトです。

物件所有者はWEBサイトの入力項目に、氏名、住所、電話番号、物件情報などを入力して情報提供を行います。不動産会社は、物件所有者情報を入手する代わりに広告費をWEBサイトに支払います。不動産会社にとっては、物件所有者との交渉権を獲得し、将来の見込み客とすることができるサービスとなります。

4-3-1.メリット

①複数の不動産会社に一括・無料で査定依頼を出すことができます。

②複数の不動産会社の中から査定依頼を出す会社を選択することができます。

③複数の不動産会社の査定方法・見積方法を比較検討することができます。

④不動産会社から物件所有者への連絡方法をメールなどに限定することができます。

⑤戸建、マンション、アパート、土地など幅広い不動産物件の査定を行うことができます。

4-3-2.デメリット

①複数の不動産業者から一斉にメールや電話連絡が入ります。
⇒サイトによって「メールのみの受け取り」を指定することもできます

②複数の不動産会社から数日から数週間に亘り、見込客としての追客が始まります。

③複数の不動産会社から資料が送られてくるため、整理しないと区別がつかなくなります。
⇒資料の請求もサイトによって「有・無し」を指定することもできます

④大手・中堅の不動産会社に片寄る傾向にあり、地元の良好な企業が入らない場合もあります。

⑤不動産会社の中には、コンプライアンス(法令順守)に則らない会社もあります。

4-3-3.おすすめする不動産一括査定WEBサイト

不動産コンサルタントとして、いくつか顧客に紹介しますが、なかなか甲乙つけ難いです。一言で「不動産一括査定WEBサイト」と言いましても、それぞれに特徴・持味があるからです。

そこをあえて選択するならば、私がお勧めするのは「リビンマッチ」です。
私の体験上、「リビンマッチ」に登録されている不動産会社の対応が一番早く、対応が丁寧に感じるからです。不動産会社とのやりとりには「Chatwork」という無料のチャットアプリを使用しますが、その導入にも気軽に応じてもらえます。

 

上記を踏まえた上で、不動産一括査定WEBサイトの使用をお勧めします。

5.投資用不動産 売却の開始

「3.私が不動産を売却しようと思った経緯」でも触れましたが、築30年経過したハイツです。売却にあたり、劣化・損傷は包み隠さず告知したかったので、真摯に対応できる営業マンを探していました。以前から情報収集程度で付き合っていたA社の中に、私の条件に適う営業マンBを見出しました。

5-1.専任媒介契約

営業マンBを通して、A社と専任媒介契約を締結しました。営業マンBはさすがによく気が付きます。私が把握している劣化・損傷個所のリストと営業マンBの調査した劣化・損傷個所のリストとピッタリ符合しました。短期間で細かい箇所まで調べ上げたのですから、彼に任せて間違いないと思いました。

5-2.売却のための営業

2週間に一度の定期報告書は、専任媒介契約の場合、義務化されたものです。営業マンBの作成する報告書は、広告の活動状況が数字で客観的にわかるものでした。

5-3.売却活動での価格交渉

売却査定額は営業マンBが出したものですが、さすがに4か月経過しても買主候補者が一人も現れないとなると、対策を取らざるを得ません。
2,300万円で売却開始しましたが、営業マンBの提案により100万円下げることにしました。問合せは増加したみたいですが、買主候補者とまではいきません。それから4か月経過しましたが、営業マンBの提案により、さらに100万円下げました。

6.投資用不動産の購入者が見つかる!

売却開始してから10か月経過し、ようやく一人目の買主候補者が現れました。この方も大家さんですが、現金決済でしたので話が早かったです。

6-1.購入者が決まってからの流れ

買主Cは、大阪府内の私の物件の近郊で、アパートを数棟所有されている方です。売却者と購入者が大家同士ということもあり、話が合いました。物件の外観や空室住戸の部屋内も見ていただきました。劣化・損傷個所の告知も、営業マンBを通して問題なく買主Cに伝わり、了承してくださりました。

6-2.購入者が決まった後のトラブルや問題

ただし契約するにあたり、条件の提示がありました。契約金額は2,050万円であることと、境界確定が必要とのことでした。金額は問題ありませんでしたが、境界確定が問題です。

6-2-1.境界確定

それは、いままでの近所付き合いが全て出るからです。私の場合、近所付き合いは決して悪い方ではありませんでしたが、いざ隣地境界の立会となると何を言ってこられるかわかりません。
例えば、入居者が室内のゴミを隣地へ捨て続けて、後々隣地とトラブルになり、境界確定時に記名押印していただけないという話はよくあります。営業マンBからも境界確定に携わる土地家屋調査士の紹介を受けましたが、私の場合には、過去に付き合いのある土地家屋調査士Dに依頼しました。

Δ境界標

先ず、土地家屋調査士Dが隣地の方へ境界確定の挨拶に行く前に、私が隣地の方へ挨拶に行きました。それとなく世間話をしながら入居者が何かをしでかしていないか、他に気の障ることがないかなど事前に様子を探りました。隣地は3件ありましたが、皆悪い感情は持っていないことを確認しました。その上で、土地家屋調査士Dに境界確定の挨拶に行ってもらい、現地にて実際に隣地の方と立会を行い、境界確定証明書に3名とも記名押印していただきました。売却活動の中で、一番ほっとした瞬間です。

それを携えて買主Cに確認していただき、無事売買契約締結となり、1か月後に決済・引渡となりました。

6-2-2.水漏れ発見

売買契約締結の数日後です。私は毎週、自ら掃除・点検を行いますが、空室の台所の天井から水が漏れているのを発見しました。「まさか、この時期に水漏れが生じるとは?」と思いましたが、考えてみればこの時期に水漏れが生じてくれて良かったと思い直しました。
売買契約自体は、現状有姿のまま、瑕疵が見つかっても修繕義務は負わないで引き渡す条件となっています。しかし、さすがに引渡し前に天井から水漏れがあると直さざるを得ません。そこで、これまで付き合いのある内装業者に急遽依頼し、特急で修繕をしてもらいました。

天井も水を含んでしまって、放置するとカビが発生するかもしれません。そこで台所の天井部分を全部剥がした上で、貼り直すことにしました。原因は2階の洗面室の水道管からの水漏れでした。2階の入居者にも依頼して水道管修理に協力してもらい、事なきを得ることができました。

Δ台所の天井部分から水漏れ:天井を剥がして水漏れ箇所点検

6-3.無事売却が完了

水漏れも解決し、自信を持って決済・引渡の場へと臨みました。場所は買主Cが指定した地方銀行の会議室です。私から買主Cへは、これまで管理してきた書類・鍵一式を渡しました。買主Cから私へは、契約金額の残金の振込をしてもらい、入金を確認して完了です。

7.投資用不動産売却の体験からわかったこと:まとめ

私の場合は賃貸物件であるため、不動産購入時から売却のことを考えて、売り物として日頃から磨きをかけることが大切であると改めて感じます。

投資用不動産を高値で売却するために
  • 第1 良きパートナー
  • 第2 自主管理
  • 第3 物件情報管理
  • 第4 入居者とのコミュニケーション

第1 良きパートナー

そのためには、第1に良きパートナーを日頃から探すことです。売却時にだけ取組んでも探せるものではありません。

パートナーは、

  • 不動産仲介会社
  • 司法書士
  • 土地家屋調査士
  • 税理士
  • 内装業者
  • 設備会社

などになります。

安くて早くて品質良い業者はなかなかいませんが、探せばいますし、パートナーになれれば、強力な武器となります。私から業者へできることは、金払いが良いことです。仕事をしてくれれば、すぐに支払います。ですので無理を聞いてくれます。

第2 自主管理

第2は自主管理です。私はこの記事の冒頭部分で、「自主管理は良い結果を生むと信じています」と記しました。その意味は、「6-2-2.水漏れ発見」の記述です。自らが掃除・点検することにより、劣化・損傷個所を素早く見つけ出すことができ、対処も素早くできます。私の場合は、不具合を見つけたらその場で対処しますから、1分後には業者に連絡を入れます。

管理を業者に任せると、劣化・損傷個所に気づかないかもしれませんし、気づいても放置される可能性があります。不具合を大家に連絡しても、大家も現場を確認してからの対処になります。よって実際の対処は、数日から数週間のタイムラグが生じます。それは建物や入居者にとって良くないことです。

第3 物件情報管理

第3は物件情報管理です。売却時に私が買主に渡す資料は、通常ファイル5~6冊になります。建物全体の維持修繕履歴書、部屋ごとの維持修繕履歴書、電気器具・機械設備のマニュアル、消防・受水槽の点検記録などをファイルにまとめて買主にお渡しします。約10年分の情報になりますが、それを見ただけで物件を大切にしてきたことが伝わり、非常に喜んでくれます。

第4 入居者とのコミュニケーション

第4は入居者とのコミュニケーションです。掃除・点検する際、できるだけ入居者全員に挨拶するようにしています。また入居者全員にスマホの番号を教えています。設備不具合や困ったことが生じた場合にすぐに連絡をしてもらうようにしています。実際にすぐに対応します。そうすることで、結果として長期入居していただき安定収入が得られます。売却時にも高い入居率の状態でお渡しすることができます。

以上の4点を心がけていますが、そうすることにより、物件も綺麗に維持され、今回の体験談のように高値で売却することができると私は思っております。現在投資用不動産の売却を検討されている方に参考となれば嬉しいです。