不動産一括査定サイトで不動産が高額で売れたとよくネットで見ますが信用できません。

不動産一括査定サイトで「不動産を高額で売ることができた！」という、うさんくさい記事をたくさん見かけます。実際のところはどうなのでしょうか？

ご相談者様は、これから不動産売却をお考えなのでしょうか？そこで不動産一括査定サイトの情報を得たものの、信用できるかどうかわからないということですね。実際にインターネットでは、不動産一括査定サイトのランキングや広告、これを利用することで「不動産が高く売れる」などと謳った記事を多く見かけます。

しかし、なぜ不動産一括査定サイトなら高く売れるのか？その理由が明確にされていないことも少なくないため、ご相談者様が疑問に思うのもうなずけます。とはいえ広告や記事などに記されている内容が、必ずしも嘘というわけではありません。

では不動産一括査定サイトを利用することが、なぜ不動産売却に有利とされているのか？その理由を見ていきましょう。まず高値で売れると言われる理由は、不動産一括査定サイトなら複数の不動産会社から査定を受けることができ、最も高い査定額をつけた不動産会社を選べるという点に起因していると考えられます。

だからといって、必ずしも最高値で売れるというものではなく、また高値で売れれば何でもよいかというとそうでもありません。査定・売却を信用できる不動産会社に依頼するときは、査定額が市場価格に見合っているか、また対応がよいかといった点を重視する必要があるでしょう。ただし複数社の査定を比較検討して、より高い査定額をつけた不動産会社を選ぶことができるのはメリットといえます。

その他の利点として挙げられるのは、無料で気軽に不動産査定を依頼できることです。不動産会社に直接依頼するとき、不動産鑑定士に詳しく物件の鑑定を行ってもらい、鑑定に対する報酬を支払うケースがあります。ただしこのケースはそう多くなく、不動産会社では主に過去の取引事例などをもとにして机上査定を行う場合がほとんどです。

不動産会社が基本的に査定を無料としているのは、適正な査定額を提示することで、依頼者からの信頼を得て媒介契約につなげる営業活動の面が色濃いためです。一方の不動産一括査定サイトも利用は無料ですが、こうしたサイトの運営は不動産会社から受け取る広告費や紹介料によって成り立っています。

不動産会社は、不動産一括査定サイトと提携することで多くの見込み客を獲得でき、その対価をサイト運営者に支払っているのです。つまり不動産会社の多くの査定や、不動産一括査定サイトの利用が無料であるのは、査定額の提示によって結果的に会社のメリットになるためといえるでしょう。このように査定にかかる費用が必要ない点は、結果的にお得になると考えることもできます。

ちなみに、不動産会社および不動産一括査定サイトで査定を依頼したとき、その査定額は不動産鑑定士による鑑定額より高めになることがあります。これは、やはり媒介契約を自社でとりたいという営業活動の一環です。しかし複数社の見積りを取ったときに、明らかに高い査定額を出した不動産会社には注意しましょう。

こうした不動産会社は、高額を提示することで利用者の気を引き、専任媒介契約（※1）を結ばせたあと、売却活動をほぼ行わず売れない状態を継続させることがあります。最終的には市場価格以下まで値下げさせることが狙いです。

不動産売却をお考えの方は、「高値で売れる」といった文句に踊らされてしまうことがあります。そんななか、ご相談者様はそうした安易な言葉に疑いを持っておられることから、簡単に高い査定額に騙されることもないとお見受けしました。もしこれから信用できる不動産会社と契約して、売却したいということであれば、やみくもに高い査定額をつける不動産会社に注意してみてください。

不動産一括査定サイトは、大手企業から中小企業までさまざまな会社に査定を依頼ができます

不動産一括査定サイトでは、そのサイトと提携しているさまざまな不動産会社から査定を受けることができます。提携している不動産会社の規模は、サイトにもよりますが全国チェーン展開を行っている大手企業から、地元に密着した中小企業まで様々です。

不動産査定に関しては、大手だから高額・中小だから低額といった傾向はありません。しかし、インターネットが普及する前や不動産一括査定サイトの存在が一般的になる前は、どうしても大手企業に契約が集まりがちでした。

大手の不動産会社の強みは、やはり資金力の強さが第一にあげられます。その資金力を利用し、TVや雑誌、新聞などに大々的に広告を打つことが可能です。またチラシなどの広告に関しても、大手企業なら大量に作って配布できるでしょう。依頼者はこうした大手企業の広告でしか情報を得られないことが多く、結果的に大手企業との契約に落ち着いてしまうというのが従来の不動産業界の図式でした。

ただし、中小の不動産会社は地元の不動産情報を熟知しており、確固たる信頼を築いています。全国的な知名度や情報量がなくとも、自社だけが持っている独自情報などを駆使して地元からの支持を得ていることは、今も昔も変わりません。とはいえ中小企業は、大手企業のように大々的に広告を打てるだけの費用を捻出できないため、幅広い周知を行うことは難しかったのです。

この図式は、インターネットの普及により変化してきました。自社サイトを作成することはもちろんのこと、レインズ（※2）が利用できるようになったことは、不動産業界でも大きな変化でしょう。これにより大手企業はもちろんのこと、中小企業でも詳細な不動産情報を参照できるようになったため、中小企業でも情報量を多く持てるようになったことは事実です。

そこに不動産一括査定サイトが普及し、ユーザーは大手・中小に限らず不動産査定を依頼できるようになりました。中小企業が顧客獲得できるチャンスも、大手企業に肉迫するまでになったといえます。

大手企業は、絶対的な顧客数や営業力を持っている一方、利益を重視する傾向があることも事実です。そのため媒介契約を行う際は、売主と買主の両方から依頼を受けて、それぞれと媒介契約を結び、両方から仲介手数料を受け取る両手仲介に固執する会社も多くあります。

両手仲介自体は、特に悪いことではありません。しかし不動産会社によっては、確実に両手仲介を実行するために、売主の不動産情報を他社に公開せずレインズへの登録も行わない「囲い込み」を行う不動産会社もあります（一般媒介契約が行われた場合 ※3）。

こうした囲い込みにより、その不動産会社と媒介契約を結んだ買主しか紹介してもらえず、売主にとっては売りのチャンスを逃すことにもつながるでしょう。もちろん、大手企業が必ずしも上記のような囲い込みを行うわけではないものの、こうした利益重視の面があることは否めません。

一方、中小企業は顧客獲得のための企業努力を惜しまないところが増えています。やはり顧客数や営業力がほぼ地元に限られているというデメリットはありますが、仲介手数料などで利益を得るよりも顧客の信頼を勝ち取る方針のところが多いのです。

たとえば大手のように両手仲介にこだわっていると、前述のとおり不動産の売りチャンスを逃す可能性があり、売主に不利になりかねません。そこで中小企業は、あえて売主からのみ仲介手数料を受け取る片手仲介の形で、ほかの不動産会社から紹介を受けた買主にも門戸を広げてくれる動きをとってきました。

こうして中小企業は利益を重視しない分、媒介契約を結んだ依頼者に還元する形によって、確固たる信頼を得る方針にシフトしています。

大手・中小の垣根は徐々に取り払われつつあるため、どちらを選ぶかはご相談者様のご事情を考慮するのが得策です。

インターネットや不動産一括査定サイトの普及、また中小企業の企業努力により、中小企業も業績や信頼を伸ばし、大手企業と十分競合できるまでになっています。大手・中小ともにメリットやデメリットは存在しますが、どちらの方が良い・悪いといった違いはほぼなくなっているのが現状です。

上述したとおり大手企業は、大きな広告力や豊富な顧客数、情報量などを持っているのが強みです。一方、地域情報には多少乏しいことや、利益重視で依頼者に不利な方針をとる可能性があることは注意すべき点でしょう。

一方の中小企業については、地域の独自情報を持っていることや依頼者に寄り添った方針をとってくれることは利点です。しかし広告力や顧客数、情報量は多少弱く、全国の市場を把握するのは難しいといえます。

これらを踏まえどちらを選ぶかは、ご相談者様が不動産を売りたい条件や事情などにゆだねられるでしょう。そして、大手・中小の条件を公平に比較検討できるきっかけになるのが、信用できる不動産一括査定サイトというわけです。

ご相談者様は、不動産一括査定サイトについて懐疑的な視点をお持ちのようです。これはご相談者様が抱いているイメージによるものであり、もしかすると大手企業や中小企業にも同じように、それぞれのイメージを抱いているのではないでしょうか？

例えば、車の購入や売却などに関して大手ディーラーなら安心といったイメージは持たれがちです。また車検や修理に関しても、大手ディーラーなら細部までしっかり見てくれるから信用できる・中小はその点で不安だといったイメージもあるかもしれません。

しかし、そのイメージは大手企業の知名度や情報量によるもので、その企業しか知らないからといったケースも考えられます。この点は不動産会社においても同じです。大手企業の情報しか得られないと、不動産会社全体の実情を知ることはできないでしょう。

また、中小企業の良さを見つけることもできないかもしれないのです。このとき不動産一括査定サイトを利用することで、大手企業の情報も中小企業の情報も平等に得られることから、不動産会社に抱く固定のイメージを覆せるのではないでしょうか。

そして、ご相談者様はインターネットの情報そのものにも疑いを持たれているかと考えます。インターネットでは不動産一括査定サイトを過剰に持ち上げたり、「高値で売れる」といったことを謳って依頼者を獲得しようという意図が見えたりすることも否めません。こうした情報について精査することは、不動産取引においては非常に重要です。

一方で「インターネットの情報は何でも信用できない」というイメージも、ときには過剰ともいえます。インターネットの情報は、すべて悪ではありません。もちろん悪や嘘を見抜くことは大切ですが、何でも否定してしまうと必要な情報すら得る機会を逃してしまうでしょう。

インターネットは、信用できる有益な情報も気軽に手に入れることができる便利なツールです。使い方を間違えさえしなければ、十分有益に活かすことも可能でしょう。

まずは不動産一括査定サイトを利用することから始めてみましょう

ご相談者様がどのような不動産を売却なさろうとしているかは、ご質問だけでは伺い知ることができません。しかし、もし不動産売却をご検討であれば、ぜひ不動産一括査定サイトをご利用なさることをおすすめします。インターネットでは、やみくもに「高く売れる」と言っているところもありますが、それが信用できるか否かを判断するのは、やはりご相談者様自らの目でしょう。

実際に、不動産一括査定サイトで複数社から査定額を提示してもらえば、市場で流通している価格相場を知り、適正な価格が判断できます。不動産一括査定サイトは、利用料も査定料も一切かかりません。そのため、ものは試しくらいの心持ちで利用してみてはいかがでしょうか？不動産一括査定サイト、ひいては大手企業・中小企業に持っていたイメージが変わる、よい出会いがあるかもしれません。

ご相談者様が、信用できる優良な不動産会社に出会って、無事に不動産売却を成功させることをお祈りしております。