相続した駐車場になっている土地を売りたいです

現在は東京に住んでいるのですが、実家(宇都宮)の駐車場になっている土地を売るにはどうしたら良いのでしょうか。父が生前に交わした賃貸契約書は手元にあり、このまま駐車場にしていても大した金額にはならないため、この際売りに出したいです。

土地を売るときの流れ

土地を売ろうと決めたとき、その後どのような流れで売却することになるのでしょうか。ここでは一般的な土地を売る流れをまとめました。

  • STEP.1
    売る土地の値段を決める(不動産一括査定サイトが便利)
  • STEP.2
    売却希望価格が決まったら、不動産仲介会社に販売を依頼する
  • STEP.3
    仲介業者が大手不動産会社などに土地を紹介する
  • STEP.4
    買主が決まれば契約を結んで売却(銀行にて手続き)
  • STEP.5
    土地を引き渡す(所有権移転登記の手続きが必要)
上記の流れで土地を売却することになりますが、売るための値段を決めなければいけません。最終的には不動産仲介会社に依頼することになりますが、不動産会社が提示した金額があまりにも相場とかけ離れているなら、必ず理由を聞いておきましょう。金額に納得できない場合、ほかの仲介業者に頼むのもひとつの手です。

今回のケースでは、なるべく地元の不動産仲介会社に任せることをおすすめします。現地について詳しい不動産会社のほうが、スムーズに話を進めやすいためです。また買主としても、現地に詳しい不動産会社であれば周辺地域について深く話が聞けて、その点では有利と言えるでしょう。

駐車場のまま売るか、更地にして売るか決めておこう

いくらで土地を売るかは、不動産一括査定である程度の相場を掴んでおけば問題ないでしょう。しかし、土地の種類が「駐車場なのか」、それとも「更地なのか」で値段が変わる点には注意が必要です。

通常の住宅と違い、駐車場を借りている人に借地権はありません。借地権がないということは、つまり権利関係においては、ほかの不動産よりもスムーズに売却を進めやすい状況です。しかし今ある駐車場を、そのまま駐車場として利用したまま売るのか、もしくは利用している人に立ち退いてもらい更地にするのかでは、売るための手続きや値段も異なります。

収益物件を探している投資家であれば、駐車場のままの販売を希望するでしょう。たとえ少ない収益でも、やりくり次第では利益を上げられるかもしれないためです。最終的にどちらがいいかは、不動産仲介会社との話し合いによって決めても遅くはありません。どちらを選ぶにせよ相場を知り、後悔のない値段で売ることが第一です。

借地権とは?
借地権とは、建物の所有を目的とする、地上権または土地の賃借権のことを言います。つまり他人(第三者)の土地を借りて、その借りた土地に自分の建物を建てられる権利です。借りる人のことを借地権者、貸す人を借地権設定者と言います。

駐車場のまま売却したら、駐車場を借りている人はどうなるのか

現状で駐車場を借りている人は、そのままの状態で土地が第三者に売却された場合、権利もそのまま新しい買主に移ることになります。これをオーナーチェンジと言い、新しい買主(新オーナー)と、今駐車場を借りている借主とで再度契約を結ぶことはありません。契約内容はそのまま引き継がれるケースが一般的です。

駐車場を借りている人からすれば、特に変化はないように見えます。しかし長年借りていた人から、いきなり新しい人を相手に駐車場を借りることになるのは事実。できれば事前に通知しておいたほうが無難でしょう。契約は変わらなくとも、振込先は新オーナーになります。

また相続した土地であれば、どのような人が借りているのか、すべては把握していない場合もあります。新オーナーにきちんと説明ができるよう、今契約している人たちの契約内容にはしっかりと目を通しておきましょう。

更地にしてから売却したい、今駐車場を借りている人はどうなる?

更地の状態で土地を売却したい場合、まずは土地の所有者(今回の相談者)から駐車場を借りている人全員に解約通知を出すことになります。コインパーキングであれば管理業者との解約が必要ですが、今回はご質問者のケースでは青空駐車場です。借主に契約解除の予告をすれば、1ヶ月程度で退去してもらえるでしょう。この際、立ち退き料は必要ありません。

契約書には通常、解除に関する条項があります。何ヶ月前に解約通知を出せばいいかも、契約書に記載されているはず。この内容に目を通さず、通知なしにいきなり解約するのは厳禁です。トラブルの元になるため気を付けましょう。

土地を少しでも高く売るには?

土地を売るならまずは査定が大切

土地を少しでも高く売るには、まず現在所有している土地の相場を知ることが大切です。土地の相場を知っていると、実際の売却価格についてもある程度目安がつけられます。まったく相場を知らずに売りに出した場合、思わぬ安値で土地を売ることもなりかねません。

たとえば隣の土地が坪単価15万円で売れたにも関わらず、自分の土地は坪単価10万円、ということも起こり得ます。安いと確かにすぐに売れるかもしれませんが、本来の価値とはかけ離れた価格で手放すことになるでしょう。

適正な価格を導き出すためには、まず複数社に査定してもらう必要があります。しかし東京と宇都宮では距離があり、1社ずつ不動産会社を訪れるのは時間的に厳しいはず。WEB上から不動産一括査定を依頼できるサイトもあるため、そちらを上手に利用して相場を知りましょう。

売却の時間には余裕を持とう

時間的な余裕を持つことも大切です。確かに土地を持ち続けると固定資産税がかかり続け、トラブルに遭う可能性も高くなります。それでも慌てて売ってしまうことだけは、避けなければなりません。

売るため準備こそ急いだほうが良いものの、売れるまではじっくり待ちましょう。よくある失敗に「なかなか売れず、相場よりも低い値段にしてしまう」ことが挙げられます。相場というのは「その値段で売買することが妥当」という目安。妥協してまで価格を下げるよりも、買い手が見つかるまで待ったほうが賢明です。

建物とは違い、土地は老朽化の問題がありません。建物は放置しておくとどんどん老朽化し、最悪の場合は倒壊の恐れがあります。しかし土地にその心配はなく、「買い手を待ちやすい」点がメリットです。

とはいえ、いつまでも売れないまま放置するわけにもいかないでしょう。この場合は不動産会社を変えてみるのも一案です。不動産売却においては、手助けをしてくれる不動産会社も重要な要素と言えます。

いくらいい土地でも、仲介を依頼した不動産会社のやる気がなければ販売活動も長期化しがちです。反対に立地が悪く、状態が良くない土地でも、やる気のある不動産会社なら売るための対策を打ちます。もし不動産会社とのやりとりに不満があるようなら、変更することも検討してみてください。

買主を選ぶ

買主はあえて選ぶことが大切です。転売目的の業者が相手だった場合、価格に対してシビアになる傾向があります。「やっと買い手が現れた」と喜んだはいいものの転売目的の業者で、相場より低い値段で交渉してくるかもしれません。

交渉は悪いことではありませんが、これを逃したらもう買い手が現れないかもと焦ってしまうのは禁物です。こちらも値段交渉をし、お互いに納得のいく値段で売るようにしましょう。大幅な値下げを要求してくる相手に限らず、「買い手を選ぶ」ことも土地を高く売るためには必要です。

また過去の土地の利用状況について、もし分かれば事前に伝えておきます。買い手側からすると、過去に土地をどのように使っていたかは知りたい情報のひとつです。「昔ここは田んぼだった」など、祖父母や親から聞いていた程度の内容でも、買い手からすると重要なヒントになります。知っていることは隠さずに話してあげることで、信頼度がアップし購買意欲も高まるでしょう。

隣地に越境しているものは撤去する

ほかにも、木の枝など隣地へ越境しているものがあれば、事前に撤去しておきます。売却前に越境を解消しておくと、買い手の余分な不安を取り除けて、土地が高く売れるケースも。もし簡単に越境の枝を撤去できなければ、隣地所有者と「越境の覚書」を締結しておきましょう。

ここまでお話したことは、すべて「買い手が何を求めているのか?」を追求しています。今回の相談者は売り手の立場ですが、買い手の身になって「自分なら駐車場の土地を買うときに何を心配するだろう」と考えていくことが重要です。それらをひとつずつ解決していくことが、少しでも土地を高く売る秘訣となるでしょう。

土地を売る際の注意点

土地の境界確定はできればしておいたほうがいい

相続をした際に、隣地との「境界」問題が明らかになるケースも珍しくありません。とくに地方の土地などは先祖代々から住んでおり、隣近所とは永い付き合いのため境界の確定がされていないケースが多く見られます。こういった口約束などはあとあとトラブルに繋がる可能性があります。トラブルが長引き、売却が滞ってしまうこともあるでしょう。境界確定測量はできる限り早めにしておいたほうがベターです。

土地境界確定測量をしていない場合、買主から「して欲しい」という要望があるかもしれません。すでに境界確定測量をしていれば、高く売る交渉材料のひとつにもなるはずです。買主の多くは、隣地と境界について揉めることを心配しています。

境界確定測量とは?
隣地との土地の境界をはっきりさせるために測量することが、「境界確定測量(きょうかいかくていそくりょう)」です。またその測量に基づいて作成される、正しい境界が記載された図面は「境界画定図(きょうかいかくていず)」と呼ばれます。

相続した土地を売却した場合の税金について

相続した土地を売却すると、税金がかかることがあります。譲渡所得税(土地を売ったときにかかる税金)の計算式は次のようになります。

譲渡所得(売ったときに出た利益) 譲渡収入金額(売った金額)-(取得費+譲渡費用)特別控除額(最高3,000万円)
取得費 土地の購入費(親が買った値段)、不明の場合は土地を売った値段の5%
譲渡費用 売るために直接かかった費用(不動産会社に支払った仲介手数料、登記費用、印紙税、測量に要した費用など)

上記の譲渡所得に対して5年を超えて所有していれば所得税15%、住民税5%が、5年以下なら所得税30%、住民税9%がかかります。所有期間は、被相続人(亡くなった方)が取得したときから計算しましょう。

例:譲渡所得が2,000万円の場合(5年超所有)
2,000万円×15%=300万円(所得税)
2,000万円×5%=100万円(住民税)

今回のご質問者の場合、駐車場として利用できるような広い土地であれば、もしかしたら思った以上の値段で売れるかもしれません。このとき「少なくとも20%は税金がかかるだろう」と考え準備しておくと安心です。詳しい計算に関しては、最寄りの税務署か税理士に相談してみてください。

もしなかなか売れなかったら?

駐車場として活用している土地を売ろうにも、なかなか売れないとき、何が起こるでしょうか。まず固定資産税がかかり続けます。さらに青空駐車場とはいえ、もしかしたら駐車場でトラブルが起きるかもしれません。どうしても車を動かすため、隣の車との接触や、駐車場内で人身事故も考えられます。そのようなときにすぐ対応できるのが一番ですが、東京と宇都宮では難しいでしょう。

相談者のように近所の人に貸している場合、特にトラブルが起こってしまうと、解決するまで気まずい状態が続きます。大した収益が見込めない状態でこのようなリスクを抱え続けるよりは、少し安くなっても売ってしまったほうが良いかもしれません。

まとめ

相続した土地を売却すると決めたら、まずいくらで売れるかを知ることです。「より高く売るにはどうしたら良いか」「早く売却を決める方法はあるのか」など悩みは次々に湧いてきますが、相場を知ることがこれらの重要な手がかりになります。そのためにも不動産一括査定サイトなどを利用して適正な価格感を把握し、行動に移していきましょう。

不動産一括査定サイトと契約している不動産会社の中にも宇都宮を得意としている会社がきっと見つかります。得意としているかどうかは査定額を見比べれば一目瞭然です。宇都宮の地元不動産会社か支店が宇都宮にある大手不動産会社になるかと思います。

迷ったときに一番やってはいけないのが、焦ってたまたま見つけた不動産会社へ行き、担当営業マンのいいなりになって安い値段で土地を売ってしまうことです。後悔しない土地売却には、複数の不動産会社と話をし、信頼できる不動産会社を見つけたうえで販売活動をスタートさせる冷静さが大切です。

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田中 真作

田中 真作

早稲田大学(法学部)卒業。BNIノーブレスチャプター所属。東京ウエストライオンズクラブ前会長、東京都行政書士会総務部部員。東京都警察官友の会会員、株式会社帝王経営コンサルタンツ執行役員。

このページの補足コメント

駐車場になっている土地を売却するとき、「駐車場用地」として売り出すのではなく、あくまでも購入者に用途は任せることがポイントです。

「駐車場用土地」として売り出している土地がよくありますが、それだけでは駐車場事業をそのまま引き継ぎたい購入者のみしか集まりません。

それだけでなく、その他の用地として使いたい購入者まで範囲を広げることで購入価格がグッと上がる可能性が高くなります。