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マンションを売る大まかな流れ
マンション売却を考えたとき、誰もが「早く、しかもできる限り高く売りたい」「でも失敗や損はしたくない」と思うでしょう。しかし、身近にマンションを売却した経験がある人はいるでしょうか。実際のところ一生涯でマンションを売却する経験は、人によっては全くなく、あったとしても1回ある程度です。
つまり多くの方が未経験で、何千万という自分の大切な資産を売却することになります。普段の生活でマンション売却について詳しく知る機会などないうえに、詳しく教えてくれる人を探すにもひと苦労です。
そんなマンション売却初心者の方が、この記事を読むことで次のような疑問を解決することができます。
大切なマンションを売却したいけど、まずは何をすれば良い?
とにかく早く、できる限り高く売る方法はある?
トラブルや失敗、損はしたくない。安心できる根拠が知りたい
マンション売却は決して単純明快とは言えません。しかし基礎知識や大まかな流れを知るだけで、進めやすくなることは確かです。売却交渉をするうえでも、予備知識があることによって防げるトラブルは多いもの。こちらではマンション売却に関する専門用語も、かみ砕いて解説していきます。
まずは売却までの一連の流れを見てみましょう。全体像を掴んでおくことでイメージもつきやすくなります。
- STEP.1マンション売却の準備
ふとした思い付きでマンションを売却することは、まずありません。転勤や相続、買い替えなどいろいろな事情があって、住み慣れたマンションを売ることになるでしょう。そこで発生するのが「準備」の作業です。後々のトラブルを避けるためにも、マンションを売る目的を確認しておいたほうが良いでしょう。
「何故マンションを売るのか」「いつまでに売るのか」「いくらで売りたいのか」。最低限このくらいのことは、家族で相談して決めておくことが肝心です。
マンション売却が長引く原因のひとつに、事前の準備不足で情報に左右されてしまうということが挙げられます。不動産会社の判断が、必ずしも正解とは言い切れません。あくまでも重要なのは売主であり、売主の考えが揺らいでしまうと売却は破綻します。上記の内容を明確にすることが、マンション売却のスタート地点です。
- STEP.2マンションの査定
マンション売却の目的や期限が決まったら、実際にどのくらいで売れるのか査定をする必要があります。たとえ何万円で売りたいと思っていても、希望通りの資産価値があるとは限りません。思い入れのある自分のマンションだと、どうしても高い評価を期待しがちです。客観的かつ適正な数字を知るためにも、複数の不動産会社で査定をしてもらいましょう。
マンションの査定方法については、のちほど詳しく解説します。
- STEP.3不動産仲介会社と媒介契約
マンション査定の段階で、複数の不動産会社から査定金額を算出してもらうことになります。このとき担当営業マンの対応やレスポンスも、ある程度把握できるでしょう。疑問点や不安なことについて、どこまで親身になって相談に乗ってくれるのかなど、感覚に個人差はありますが、大切になるのは「その担当者を信頼できるか」です。
少しでも対応に違和感を覚えたら、契約は断ってしまって構いません。手数料が安い、知り合いの紹介だからといった理由で決めるのは、あまり良い結果を生まないでしょう。この人だと思える担当者に出会えたら、媒介契約を結びます。
- STEP.4マンションの販売活動
不動産会社と媒介契約を結んだのち、売却活動が開始されます。販売方法は不動産会社ごとに独自のノウハウがあり、広告の出し方もさまざまです。一般的には自社サイトへの掲載、ポータルサイトへの出稿やポスティング、新聞広告、折り込みチラシ、オープンハウスなどの方法を駆使して販売活動をします。
不動産仲介会社としては、マンションを売却しないことには手数料(売上)が発生しないため、必死に買い手を探してくれるでしょう。マンションに住みながら売却を目指す場合、内覧も必要になります。できる限り早く高くマンションを売却するには、この内覧も重要なポイントです。
マンションを購入する立場だとして、汚い、感じの悪い印象がある不動産は、なかなか購買意欲には繋がりません。またマンションを売りたい人は多く、ライバルがかなりいるという意識も必要になります。
- STEP.5売買契約
めでたくマンションの購入者が見つかったら、いよいよ売買契約を結ぶことになります。売却完了まではあと少しですが、直前で契約破棄をされたり、トラブルが発生したりすることも珍しくはありません。気を抜かず冷静に対応しましょう。
- STEP.6決済
マンション購入者が現金一括で支払うということは、まずないはずです。通常は銀行融資を通して代金の支払いをすることになります。融資がおりずに売買が流れてしまうこともあるため、引き渡しの前には必ず着金を確認しましょう。
- STEP.7引き渡し
この段階までには新居を決め、引越しの準備を済ませておく必要があります。引き渡しと言っても鍵や必要書類のやり取りだけになり、賃貸マンションのように立会いをするわけでありません。売却の場合には事前に物件調査をして、問題がないことを確認したうえで引き渡しになります。隠れた瑕疵を除き、このステップでトラブルが発生することは少ないでしょう。
- STEP.8確定申告
マンション売却をして利益が出た場合には、税金の申告が必要です。確定申告というと、医療費控除くらいしか経験がないという方も多いかもしれません。不動産売却に伴う税金関係は面倒で、難しい専門用語も多く出てきます。困ったときには税理士の手を借りるのも一案です。
ここでつまずいて何もしないという人もいますが、あとから税務署から問い合わせがあって、追徴課税や延滞金を請求されることもあります。申告期限内に申告しないと受けられない特例もあるため、しっかりと手続きを済ませておきましょう。
マンション売却までの必要期間は?
ここまでマンションを売却する大まかな流れをご紹介しましたが、「売却準備」から「引き渡し」まで、実際にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。ステップごとに必要になる、標準的な期間(時間)をまとめました。
- STEP.1マンション売却の準備……1週間前後
これは家族構成、売却をする状況によって大きく異なりますが、時間をかけたほうが良い期間ではあります。焦って売却を進めてしまうと、売り急いだために相場よりかなり安い価格で売却するリスクもあるでしょう。あくまでも売主である自分たちを主人公として、損のない売却計画を立てることが重要です。
- STEP.2マンションの査定……2週間前後
査定をする不動産仲介会社のスケジュールや、査定をしてもらう会社の数に左右されますが、より正確な査定額を出してもらうためにも焦りは禁物です。できる限り多くの不動産仲介会社に査定をお願いしたほうが、実勢価格に近い額を知ることができます。
しかしながら、マンションの売却はタイミングによって売買価格が大きく変動することも珍しくありません。時間をかけすぎても絶好の機会を逃してしまうことがあるため、慎重かつスピード感も意識しましょう。
- STEP.3不動産仲介会社との媒介契約……1週間前後
この期間は、家庭ごとのスケジュールに左右されるでしょう。担当者の対応やレスポンス、相性を考慮し一社に絞って契約をすれば終了となります。
- STEP.4マンションの販売活動……1ヶ月~3ヶ月前後
販売活動を始めてすぐに買主が見つかることもあれば、3ヶ月経っても全く問い合わせがない可能性もあります。マンション市況、売却の時期、ニュース(災害、事件)など多くの要因が影響するため、あくまでも目安と思ったほうが良いでしょう。
ただし販売活動に対しあまりにも反応が悪いときには、売出し価格が高すぎたり、無理な条件で販売したりといった何らかの原因も考えられます。客観的に状況を把握しながら、随時売却計画を修正していく柔軟性も必要です。
- STEP.5売買契約……3週間前後
これは買主の状況に左右されてしまう部分でもあります。物件が決まってから住宅ローンの手続きをするケースもあり、準備不足な買主の場合には契約まで時間を取られるかもしれません。契約できるときまで、売主ができるのは待つことだけです。
- STEP.6決済……2週間前後
決済に関しては売買契約さえ済んでいれば、長い期間を要することはありません。通常は契約時、手付金以外の残代金を支払う日取りも決めることになります。早めに設定すれば、それだけ決済までの時間を短縮可能です。買主との交渉次第と言えるでしょう。
- STEP.7引き渡し……1ヶ月前後
この期間も買主との交渉になりますが、どちらかと言えば売主のスケジュール次第です。もうすでに空き家となっていれば即引き渡しもできますが、住みながらの売却活動であればそうもいきません。新居探しや引越しのタイミングを考慮した無理のない計画を立てることになります。
準備から引き渡しまでの期間を合計すると、マンション売却までの必要期間は3ヶ月~半年程度を見込んでおきましょう。最短3ヶ月は全てがスムーズに進んだケースで、あまり期待してはいけません。現実的には、少なくとも5ヶ月前後はかかると意識しておきます。
マンションを売るための不動産会社の賢い選び方
マンションを売却する際に悩むことのひとつが、仲介をお願いする不動産会社選びです。不動産会社には駅前にあるような小さなお店から、大きな自社ビルを持つ大手企業もあります。スーパーマーケットやコンビニと違って普段利用するものではないため、何が正しいのか初心者が判断するのは難しいでしょう。
実際、不動産会社選びに正解はありません。マンションが納得いく金額で無事に売却できれば良しとする場合、担当者の対応が多少悪くても構わないという方もいるでしょう。一方で、誠実で丁寧な会社でなければ任せられないという方もいるはず。選び方に絶対的な答えはありませんが、可能な限り失敗を減らすためのコツはあります。
多くの売主が不動産会社選びで悩むポイントを、Q&A形式で見てみましょう。
大手不動産会社と街の不動産屋さんの違いは?
不動産屋とひと口に言っても、一人で営業しているような新興タイプから、誰もが知っている大手財閥系の不動産屋までさまざまです。利用にあたって何か大きな違いがあるかと言えば、特にはないでしょう。基本的にどの不動産会社も「宅建業法」という法律にもとづく免許がなければ営業できず、法律が会社の規模によって変わることはありません。
あえて違いが挙げるとしたら、大手不動産会社には豊富な営業実績による「安心感」や「保証」があります。大手と地域密着型とでは、会社の資金力も比になりません。あるいはマンションを売却した不動産会社が、数年後もまだ経営しているかという現実問題もあります。
新興の不動産会社だと経営がうまくいかず、廃業している可能性もゼロではないでしょう。マンション売却を担当した仲介会社がなくなってしまったとして、その後に契約内容にトラブルが発覚しないとも限りません。大手不動産会社だから安心とは言い切れないものの、廃業リスクが低めであることは確かです。
地元の不動産屋と有名な不動産屋の違いは?
マンションがあるエリアの不動産屋のなかには、長年経営している「老舗」と呼ばれるような会社もあるかもしれません。こうした地域密着型の不動産屋と、テレビCMやネットでよく見かける大手に違いはあるのでしょうか。この答えとして、「状況によっては違いがある」と言えます。
地元の不動産屋はそれだけエリアに密着したネットワークを持っていて、狭く深く顧客をかかえている可能性もあるでしょう。同じエリアでマンションを探している人を、大手企業より知っていることも少なくありません。マンションの売却方法によっては、内々で取引が終わってしまうこともあり、地元の不動産屋にしか頼まない人も多くいます。
これは地域密着型と全国対応の大手、どちらが良いというわけではなく、ケースバイケースです。売却まで時間に余裕があるなら、地元の不動産屋を利用したほうが高く売却できることもあります。あまり時間に余裕がない場合、販売ノルマが厳しい大手不動産会社のほうがスピーディに売却しやすいでしょう。
担当営業によって違いはあるの?
大いにあります。マンション売却に関する経験や知識は、担当者によってさまざま。販売活動の仕方も違いますし、本来売れたはずのマンションが営業の不手際で売れないなんてことも珍しくありません。不動産だけでなく、どのようなサービスでも「信頼できる人とやり取りをしたい」という点は共通しているはずです。
媒介契約をするまでにしっかりと意思疎通ができること、メールや電話でのやり取りが誠実であることなどを重視してみてください。媒介契約をしてからでも不安があれば、担当なり仲介会社は変えて構いません。
宅地建物取引士の免許を持っている人のほうが良いの?
これにも個人差があり、宅地建物取引士の免許を持っているからといって、知識があるとは限らないでしょう。宅地建物取引士試験はあくまでも、宅建業法や民法など法律知識の基礎を担保したものに過ぎません。それ以上でも以下でもなく、実地・実務の能力とは少し違っています。
「あったら良い」くらいの感覚で、それよりも営業担当のマンション販売実績を気にしたほうが賢明です。免許を持っているなど肩書きだけで決めてしまうと、のちのち後悔する可能性もあります。
3つの媒介契約の違い
マンション売却手続きを難しく感じてしまう原因のひとつが、不動産取引における専門用語です。聞きなれない用語ばかり登場するうえに、宅建業法特有の仕組みもあります。まず突き当たる最初の壁が、「媒介契約」という用語です。
これはマンションの売却を決断して、販売をお願いする不動産会社を決めた際に「マンションを売ります」という約束を両者で結ぶこと。媒介契約には、約束の仕方によって3つの契約方法があります。
②専任媒介契約
③専属専任媒介契約
この3つの媒介契約の違いを理解することが、マンションを売却するうえではかなり重要です。しかし、初めて不動産を売却しようと思った売主が、おそらく最初につまずくポイントでもあるでしょう。それぞれの違いを、できる限り優しい表現で説明します。
一般媒介契約
「一般」という文字からもわかるように、多くの場合に利用される一般的な契約方法です。この契約では、売主はどの不動産屋にでも自由にマンション売却のお願いをすることができ、お願いはいつ取り下げても大丈夫。知り合いや身内からの紹介で売主を見つけてきても構いません。
もちろん宅建業法という法律で守らなければならない広告活動はありますが、売却に関しては何の決まりごともないところが特徴です。
※法律上の正確な解釈とは若干異なる
専任媒介契約
「専任」は一般媒介契約と比較して、自由が少し制限される契約です。具体的には、専任媒介契約を不動産会社と結ぶと、その業者はレインズ(指定流通機構)という不動産業者だけが参加しているネットワークシステムに、売却予定のマンションを登録しなければなりません。この登録は、専任媒介契約を結んでから7営業日以内に限ります。
また売却依頼者(売主)に対する、定期的な売却活動状況の報告も義務です。これらの決まりごとを守らない業者は、宅建業法違反ということになります。
専任媒介契約には期限があり、3ヶ月が最長で自動更新はありません。これより短い期間でも問題はなく、依頼者が再び仲介業務をお願いしない限り、強制的に契約期間は終了します。
専属専任媒介契約
専任媒介契約に「専属」が追加されました。「専属」となると、専属料理人や専属秘書をイメージすることもできます。つまりは、売主(自分)だけのために動いてくれる契約です。ただし、売主だけのために動く契約と言っても、実際のところは売主に自由はありません。
一般媒介契約や専任媒介契約の場合には、自ら売主を見つけることができました。しかし専属専任媒介契約は、契約をした不動産会社が探してきた買主としか売買契約ができないのです。もちろん売却金額や条件に納得できず断ることも可能ですが、マンションを売却するときには必ず専属契約をした不動産会社を通す必要があります。
専属料理人や専属秘書のイメージとは全く違う仕組みなので、ややこしく感じるでしょう。契約期間に関しては、専任媒介契約と同じく3ヶ月です。
この契約の大きなデメリットは、不動産業界の悪しき慣習で「囲い込み」が起こりやすいということ。仲介会社が売主と買主の両者から手数料を取りたいがために、ほかの不動産屋が条件に合う買主を見つけていたとしても「うち以外では契約させない」と無視してしまう問題です。
もちろんデメリットだけでなく、メリットもあります。一般媒介契約の場合、仲介会社の利益である手数料は早いもの勝ち。広告費をかけたとしても、必ずしも自分たちが販売できるとは限りません。一方で「専任」や「専属」の場合には3ヶ月という期間の保証があるため、積極的に広告活動を行ってくれるでしょう。
つまりそれだけ早期に売却できる可能性も高く、仲介を一社に絞るという売却戦略もあります。なおマンションなどの物件だけでなく、土地を売る際にもこれらの媒介契約が必要です。土地売却についての詳しい情報は、こちらのページからチェックできます。
マンション仲介とマンション買取の違い
マンションを売却する方法は、不動産会社に「仲介」を依頼して一般の買主に販売するだけではありません。マンション買取業者に「買取」してもらうことも可能です。また業者による買取にも、即時買取と買取保証という2つの仕組みがあります。
いずれも売却することに変わりはありませんが、特徴とメリット・デメリットを理解しておくと、売却計画を進めるうえでの安心材料になるでしょう。まずは「仲介」「買取」という2通りの売却方法の違いを見ていきます。
・仲介の場合
買主となるのは「不動産業者以外の人」です。マンション仲介会社に依頼をすることで、あなたの物件を買いたいと手を挙げてくる顧客(エンドユーザー)を探してもらいます。買主は個人や法人などさまざまでしょう。
・買取の場合
買主となるのは「マンション買取を専門とする不動産会社やコンサル会社」です。業者があなたのマンションを直接買い取ります。主にマンションをリフォームしたのち、転売をすることが目的です。
買取によるマンション売却のメリット
仕組みをより飲み込みやすくするため、まずは買取の特徴から押さえていきます。
①買取金額に納得さえできれば、スピーディに売却ができる
仲介による売却は、販売活動の準備、広告活動を経てからエンドユーザーを探すことになります。売買成立までには3ヶ月~半年以上が時間がかかるケースも少なくありません。
しかし業者による買取なら、マンションを査定してもらい金額に納得できれば、即現金で売却できます。最短なら1週間前後、長くても1ヶ月前後で現金化することも可能です。
②瑕疵担保責任が免除される
マンションを売却する際に、売主には「瑕疵担保責任」という物件の隠れた瑕疵(不具合)に責任を持つルールがあります。マンション売却は、売ったらそれで終わりという単純な話ではありません。物件売却後1年以内に構造部分の欠陥や、日常生活に支障を及ぼすような隠れた瑕疵が見つかった場合、売主が責任を負うことになるのです。
欠陥の内容によっては修復費用に数百万もかかることもあり、トラブルが大事になれば精神的ストレスもかかるでしょう。しかしながら、この瑕疵担保責任は買主が「個人」であるときのルールで、相手が不動産会社なら責任を免れることができます。
物件の築年数や状態によっては、業者による買取のほうがメリットが大きいかもしれません。
③即現金化できるので資金計画が立てやすい
いつ、いくらで売れるかわからない状況で新しい物件を探したり、入居先や新生活の資金を考えたりするのは、不安が大きいでしょう。貯金に余裕があれば問題ありませんが、十分な自己資金がない場合はなおさらです。そういったとき、すぐに現金化できるという買取のメリットは大きくなります。
④マンションの内覧がいらない
仲介による売却を進める場合、ネットの情報だけで購入するエンドユーザーはまずいません。高額な買い物になる以上、納得するまで物件の詳しい情報を知りたいと思うのが当然でしょう。「内覧」はそのための手段で、買う・買わないの重要な判断材料になります。
ただし売主としては、内覧を検討している買主が一人ならまだ楽なほう。通常は数人~数十人が内覧を希望します。内覧希望のたびに日程を調整し対応するのは、想像以上のストレスとなるでしょう。
業者による買取なら、一社から多くても数社が内覧するだけです。また内覧せずに査定金額を出すケースもあります。
⑤仲介手数料がいらない
仲介によってマンションを売却する場合、契約が成立したら、成功報酬として依頼した仲介会社に手数料を支払わなければなりません。売却価格によって金額は違いますが、通常は「成約金額×3%+6万円 (別途消費税8%)」となります。
3,000万円でマンションを売却したケースで計算すると、仲介手数料は約103万円(税込)に。一方で買取は仲介ではないため、仲介手数料は不要です。
⑥近所や知り合いに知られず売却できる
不動産仲介会社を通してマンションを売却する際、広告をせずに販売活動をするということはありません。物件を売りに出せば、不動産会社のホームページやポータルサイトに、あなたのマンションが売りに出ているという情報がアップされます。新聞の折り込みやポスティングも販促方法としては一般的です。
すると近所の人や会社の仲間や知り合いに広まり、売却の理由を聞かれる可能性もあります。なかなか内密に売却はできないでしょう。買取なら相手は業者なので、一般の人が売りに出されていることを知る可能性はほぼありません。
買取によるマンション売却のデメリット
①相場よりも相当低い金額で売却することもある
(画像)
業者による買取額は、仲介と比較して圧倒的に安くなる傾向にあります。買取を選ぶ場合の最も大きなデメリットと言えるでしょう。業者は買い取ったマンションをリフォームやリノベーションし、再販することを前提に金額を算出します。エンドユーザーが購入するであろう相場価格から逆算して、買取金額を決めるのです。
・業者の人件費
・再販のための広告費
これらの必要経費を上乗せしても、買取業者に利益が出る金額になります。物件の立地条件や間取りにも左右されますが、相場の6割前後になることも珍しくないでしょう。
②買取に関しては業者任せで、情報が少なく判断に迷うこともある
不動産は全く同じ物件があるわけではなく、相場価格といってもあくまでも目安にしか過ぎません。仲介による売却なら、それなりに情報を集めることもできて、「安い」「高い」の判断もしやすいと言えます。
しかしながら買取の場合、素人の方が価格の根拠や相場を知ることは不可能に近いです。
買取業者の立場としては、無理して買い取る必要などありません。このため、売主の足元を見て買取金額を決めることもあると理解しておきましょう。
仲介によるマンション売却のメリット
仲介によるマンション売却は、買取の場合とは逆のメリットが期待できます。
②タイミングによっては、より高く売れる可能性もある
③売却に関する情報を集めやすく、ある程度自分でも価格の根拠などを理解できる
仲介によるマンション売却のデメリット
「仲介」と「買取」による売却を比べるとき、売却金額とかかる時間に大きな違いが現われます。買取では「転売益」を前提にマンションを買うケースが一般的です。当然リフォーム工事や販促活動の広告費など、必要経費を上乗せしても利益が出るような買取金額でないと、業者が買い取るメリットはありません。
そのため、相場価格よりも6割前後低い金額での買取になることもあります。状態によっては、さらに低い可能性もあるでしょう。それに売主が納得できれば、すぐにでも売却は成立します。
一方の仲介だと、購入するのはマンションが欲しいエンドユーザーです。ユーザーさえ現れれば、価格が高くても売れる可能性はあります。しかし売却価格を相場より高く設定していたり、条件が悪かったりすると、いつまで経っても買主は見つからないかもしれません。
買取に比べると希望価格で売り出しやすい反面、「いつ売却できるか」という目途は立てにくいのが仲介のデメリットです。
結局どちらを選ぶべき?
売却 | 仲介 | |
メリット | ・スピーディに売却ができる
・瑕疵担保責任が免除される ・即現金化できる ・マンションの内覧がいらない ・プライバシーが守られやすい |
・実勢価格(相場)に近い金額で売れる
・より高く売れる可能性もある ・売却に関する情報を集めやすい |
デメリット | ・相場よりも相当低い金額で売却することもある
・売却に関する情報を集めにくい |
・売却までに時間がかかる |
「仲介」と「買取」それぞれのメリット・デメリットを比べてみると、どちらも一長一短だと言えます。そこで実際にはどちらを選べば良いのか、判断が難しいと感じるかもしれません。最後に決めるのは売主である自分ですが、仲介と買取のどちらがより適しているかを判断するヒントをまとめてみました。
②売却までの時間やストレスを考えても、買取金額が安くても納得できる
③売却資金の必要時期が迫っている
④仲介手数料や売却に伴う費用の捻出が困難
⑤所有するマンションの築年数が古い、あるいは人気のない物件だとわかっている
②売却時期に余裕があって、内覧や交渉にも時間が取れる
③築年数が低く、立地的にも人気があるエリアだとわかっている
住宅ローンが残っているマンションを売るには?
マンションを相続で引き継いだり、比較的安い物件を購入していて、なんとか繰越返済をしたりといったケースでない限り、住宅ローンがない状態で売却するということは少ないでしょう。なかには「住宅ローンが残っていると、売却には不利になる」と考える人もいますが、そんなことはありません。
いわゆる残債があったとしても、マンションを売却することは可能です。ただし必ず売却できるかと言うと、そういうわけでもない点に注意します。
住宅ローンを組む際、マンションを担保として抵当権を設定することになるでしょう。登記簿謄本(マンションの持ち主や権利関係を証明する書類)を見れば、抵当権設定額や銀行が記載されているはずです。この抵当権を外さないと、マンションを売却することは法律上できないようになっています。
これは消してくださいとお願いして消えるものではなく、次の方法によらなければなりません。
②売却金額を充当して完済する
③他の銀行で新たな融資を受けて完済する
どちらにしても、残りのローンを完済しないと売却はできないということです。売却価格で残債を返済できるのであれば、問題なく売却は可能となります。そのまま活動を継続して問題ないでしょう。
立地条件が良い物件、売出し時に人気だった物件、間取り、階数によっては、購入時よりも高値で販売できる可能性もあるのがマンションです。期待しすぎは禁物ですが、マンション購入時に値下がりしづらいエリアや物件を選ぶということも重要だと言えます。
しかしながらここで問題となるのが、マンション売却をしても売却価格では残債を返済し切れないケースです。これが、いわゆる「オーバーローン」。マンションの資産価値が実勢価格よりだいぶ下がっていることで、残債を全く返済できない状況です。
その場合にも、不足分を自己資金で充当することができれば問題はありません。とはいえ住宅ローンを返済しながら、そこまでの自己資金を貯めることができる人は少ないでしょう。マンションを査定した結果、住宅ローンの残債以下の価格となった場合、「売却不可能」という現実に直面します。
先にお伝えしたように、自己資金を充当できれば心配はないのですが、オーバーローンとなってしまうような物件を持っている方が、そこまでの資金を用意できることはまれです。新しい資金を借り入れするにも、抵当権をつけられるようなほかの不動産がなければ厳しいと言えます。
こういった状況で利用されるのが「任意売却」という方法です。マンション購入時に無理な資金計画をしていたり、リストラや病気で安定した収入がなくなってしまったり、マンション周辺で事件が起こって資産価値が急落してしまったなどの要因によって、オーバーローン状態になるケースは珍しくありません。
万が一に備え、知識として知っていると焦らずに済むでしょう。用語を簡単に説明していきます。
任意売却とは
住宅ローンや銀行などから借金するためには、所有する不動産に抵当権、根抵当権を設定するのが一般的です。銀行やあなたにお金を貸してくれた人を債権者と言い、この抵当権は債権者が設定します。
万が一、返済予定通りに借金の返済がない、または見込みが厳しい状況となったとき、債権者は抵当権を設定した不動産を売却(競売)が可能。その売却金額から貸付金を回収することになります。通常は住宅ローンが半年遅れると「返済の見込みがない」と判断され、債権者が貸付金の回収手続きを進めるケースが一般的です。
返済が遅れると督促状や担当者から電話があり、その際に警告されることになります。そもそも住宅ローンを組む際に説明される重要事項ではありますが、まさかそんな状況になるとは思わず忘れてしまっている人がほとんどでしょう。
債権者が抵当権を執行するとどうなるかというと、不動産が「競売」にかけられます。しかし競売をしても、不動産が相場価格で売却できるとは限らないのが現実です。競売物件ということで価値が下がってしまううえに、返済が遅れて競売になってしまった物件は何らかのマイナス要因があり、イメージも良くありません。
競売物件の売却価格は、実勢価格の6割前後で取引されることが多く、さらには買い手がつかず売却できない可能性すらあります。
「任意売却」はこの競売手続きに入る前、もしくは途中で不動産の買主を見つけて、債権者に競売手続きを取り下げてもらう交渉ごとです。競売が執行される前に不動産の買主を見つけてきて、債権者が納得する金額で売却の約束を取り付ける流れとなります。
いくらで売却できるかわからない競売よりは、事前にある程度回収の見込みがあったほうが、債権者にメリットがあるという仕組みです。債権者としては貸付金の回収が問題で、できる限り多く確実に任意売却で回収できるなら応じることもあります。
一方で、あくまでも交渉ごと。うまくいかない可能性もあり、政府系の銀行だと一切任意売却に応じないところも少なくありません。債権者がどう判断するかはその時期の情勢にも左右され、不確定要素が高いと言えます。
「任意売却なら、引越し代や数ヶ月の生活費が出る」と聞いたことはあるでしょうか。このカラクリは、任意売却の交渉を進めていくなかで、債権者に売却金額のなかから引越し代や生活費を捻出しても良いか交渉して、認められたときに手元に残せるという流れです。
このお金が捻出できるかどうかも、不動産の売却価格次第。競売価格と変わらないような金額では困難と言えます。最近では取引価格が誰でもある程度わかりやすくはなっているため、なかなか状況は難しいでしょう。
いつまで住める?マンション明け渡しのタイミング
無事にマンションの売買契約も済んで、決済・引き渡しの段階になると、いつまで住めるのかが気になります。新居探しや引越しの準備段取りもあり、いきなり追い出されるようなことがあったら困るでしょう。
マンション明け渡しの時期に関する決まりはありません。買主との交渉で期限を決める形が一般的です。通常なら決済から1ヶ月前後とすることが多く、その期間内で引越しをすることになります。住み替えなら新居が決まっている必要があり、一時的に賃貸に住むとしても1ヶ月だとギリギリでしょう。
引越しの時期も3月~4月など、繁忙期だとなかなか物件が決まりません。売買契約を結ぶ直前あたりから計画したほうが安心です。
相続したマンションを売るときの注意点とポイント
ご両親や親族から相続したマンションを売却する予定の場合、注意しなければならないことがあります。相続があったときには通常、相続税の申告をしなければなりません。ただし相続税の計算方法で財産の総額が少なければ、非課税になることもあります。
相続税が発生するような不動産を相続した場合には、被相続人(元の所有者)の名義を変更することになるでしょう。一方、相続税が発生しなかったようなマンションだと、名義はそのままにして管理費等だけを払い続けているというケースもあります。
ここで問題になるのが、マンションを売却するには不動産名義が相続人なり売却する権利がある人の名義に変わっていなければ、売却はできないことです。売却することになって、登記簿謄本を取ったときなどに初めて不動産名義を知ったなんて事例はよく聞かれます。
売却へ進む前に、マンションの名義が誰になっているのか事前に調べておきましょう。
また、もう一点注意しなければならないのが「税金」です。相続税がかからなかったとしても、売却時に譲渡所得がかかる可能性もあります。相続した不動産なら、取得した当時の金額が安かったとしても、時代の変化で駅周辺が開発されて値上がりすることもしばしば。人気が高いエリアになっていることもあります。
予期しない納税額にならぬよう、譲渡したときの税金についても意識しておくのがベターです。
離婚の際にマンションを売るときの注意点とポイント
離婚を前提にマンションの売却を検討しているとき、知識がないことによって売ることができなかったり、損をしたりするリスクもあります。まずはマンションの名義が「夫」「妻」、どちらになっているのかしっかりと把握しておかなければなりません。共有名義になっているならば、どちらかの同意がなければ売却は実質上不可能です。
また住宅ローンの担保(抵当権)になっているかも、確認すべき事項のひとつ。名義が半々、または少しでも持分がある場合、スムーズには売却できないと考えたほうが良いでしょう。
入居用中古マンションと投資用中古マンションでは買主の目的が違う
マンションの売却活動を進めていくうえで、立地や間取りによっては買主が居住用で探しているとは限りません。2LDK、50平米前後の比較的小さめの物件で、駅から近く徒歩5分圏内であれば、投資用の物件として探している投資家もいます。
居住用と投資用で買主の分母が増えるということで、駅近くや立地条件の良いマンションはなかなか値崩れしないのがメリットです。都心でも賃貸物件の賃料相場が高いエリアや、人気があってもなかなか手頃な広さのマンションがない地域は、総じて投資用として探している投資家が多い傾向にあります。
かといって、売主としてできる対策はほとんどないでしょう。一般の買主と投資家では、物件を見る視点が違うことを理解しておく程度で問題ありません。最も大きな違いは、「投資家は誰かに貸すことを前提に物件を選ぶ」という点です。
マンションの築年数やグレード、状態よりも、最寄駅の乗降客数、近隣の人口数や生活環境、大型商業施設の有無など、空き家リスクが低いことを条件に物件を判断します。もちろん入居用として探している買主も、これらを気にしないということはありません。ただ、あくまでも自分が生活することを前提に物件を見るため、判断ポイントとしては「マンションの設備など住みやすさ」のウェイトが高いと言えるでしょう。
内覧者に「買いたい!」と思わせるポイント
販売活動をスタートすると、マンションへの問い合わせや内覧希望がちらほら出てくることになります。このとき問い合わせだけでなく内覧を希望するのは、買主になる可能性が高い人と言えるでしょう。スムーズなマンション売却には、この「内覧」がとても重要な意味を持ちます。
もし自分がマンションを買う立場だったら、どういったことが気になるのか、買主の立場になって内覧対策を練ることがポイントです。不動産のポータルサイトや広告に使う画像は、見栄えが良く映るように加工し掲載している現実があります。
物件への反応をあげるには、入り口である販促活動が重要になるため、画像加工もある程度しょうがないこと。しかし実際に物件を内覧したときのギャップが大きいと、せっかくの買主を逃してしまう恐れもあります。
最低限、マンション内覧者が気にする以下のポイントを押さえておきましょう。
マンション内覧者が気にする5つのポイント
①水回りの掃除は専門業者に任せる
キッチン、お風呂、トイレ、洗面所など水回りは、物件が古くなればなるほど汚れや劣化が進み、見た目以上に印象が悪くなります。毎日暮らしていると鈍感になりますが、他人からすればちょっとのシミでも不衛生に見えてしまうもの。内覧において水回りが綺麗かどうかは、物件の印象を大きく左右します。
自分で掃除しようにも、限界があるでしょう。必要経費と思い、水回りの清掃はプロのハウスクリーニングに任せるようにします。広さや汚れの具合、時期にもよりますが、5万円前後が掃除料金の相場です。これをしなかったせいで、売却金額が数十万値引きになる可能性もあります。
②不用品は早めに処分
居住年数にもよりますが、部屋にはいつの間にか不用品が増えていきます。少しでも部屋を広く見せるためにも、いらないものはどんどん処分しましょう。いくら掃除をしても、物が溢れている部屋は窮屈に見え、良い印象を与えません。
③収納の中はしっかり整理
マンションを購入する際、買主としては「収納」も気になる設備のひとつ。もともとの収納が広くても、物が散乱して詰め込まれていると、実際にどれほど収納できるのかイメージできなくなってしまいます。あくまでも買主の視点で、可能な限り整理するようにしましょう。当然、玄関の収納もしっかりチェックします。
④傷やマンションの不具合はカミングアウト
壁や床についてしまった傷や間取りの不便なところ、不具合などは、隠さずにしっかり説明したほうが買主の信頼を得られます。この瑕疵の説明は、あってもなくてもいいものではなく、売主の「義務」です。不具合を伝えておかなかった場合、のちのち買主に「欠陥がある」と責任を問われても言い逃れはできません。
買主もたくさんの物件を内覧している可能性があり、少なからず良し悪しを判断する目は肥えています。事前に伝えなかったせいで、「売主が不誠実だから契約はなし」となっては元も子もありません。現状をしっかり説明することが、スムーズなマンション売却の秘訣です。
⑤エントランスや共用部分も無視しない
戸建と違って、マンションは必ずエントランスや共用部分を通って、あなたの部屋に来ることになります。このエントランスや共用部分が汚かったり、整理されていなかったりすると、それだけでマンション全体の印象が悪くなるかもしれません。
エントランスや共用部分の清潔感は、日頃のメンテナンスに左右されます。管理会社があるなら事前にお願いするほか、自転車の整理など自分でできそうなことは対策しておくのも一案です。
以上、5つのポイントに絞ってご紹介しました。万全を尽くすことが最善ではありますが、費用対効果もあるためある程度は諦めも大切です。たとえばタバコの臭いや生活臭は、プロの業者に頼んでも完璧な消臭効果は期待できません。まずは水回りを重点的に最低限の掃除をして、気持ちよく案内できるようにしましょう。
ここ数年で話題となっている「ホームステージング」も、100%確実な内覧対策とは言い切れないのが現実。どんなにインテリアや演出で部屋を良く見せても、水回りの掃除が抜けていれば効果は期待できません。あれもこれもと手を出すより、基本的なポイントを抜かりなく押さえることが大切です。
相場からかけ離れた価格では成約しない
記事冒頭でも触れたように、マンション売却においては「絶対にこれ以下の金額では売却しないという数字」を決めておく必要があります。転勤の日取りが決まっていたり、家庭事情、住宅ローンの支払いや資金繰りなどで売り急いだりすると、焦りから無理な値下げ交渉や、営業担当者の話に気持ちが流れてしまうかもしれません。
予定していた金額よりも高いなら問題はないでしょう。しかし相場から数百万も低い価格で打診があったときや、マンションの粗を見つけて値下げ交渉をしてきたら要注意です。気持ちが焦っている状態での決断は、正しいとは限りません。
少し待てば、もっと条件の良い買主が現れていたなんてことはよくある話です。マンション売却は強気な態度で臨むことも重要。売主が主導権を握るイメージで交渉を進めていきましょう。
マンションの売却にかかる費用
お金を受け取ることばかり意識してしまいがちですが、マンションの売却にあたって支払う必要がある費用があります。資金計画や売却のタイミングにも影響するため、目をつぶらず覚えておきましょう。
一番ウェイトが高い「仲介手数料」は、売却価格によって決まるのでこれといった数字はありません。目安としては、売却金額の3.3%前後です。マンションの売却にかかる費用について、以下でまとめてご紹介します。
マンション売却に必要な概算費用
①仲介手数料
マンション売却価格×(3%+6万円)+消費税
(※取引額が400万円超のケース)
たとえば4,000万円でマンションを売却したとしましょう。この場合の仲介手数料は以下のとおりです。
4000万円×(3%+6万円)=126万円
126万円に対する消費税が10万800円で、合計136万800円が手数料合計となります。
②印紙税
1万円
(取引額が1,000万円超5,000万円以下の場合)
③抵当権抹消登記に必要な登録免許税
1,000円
④司法書士手数料
15,000円前後
⑤転居費用その他
一人暮らし……30万円ほど
夫婦・二人暮らし……50万円ほど
家族(夫婦・子ども一人)……80万円ほど
引っ越す時期や荷物の量、マンションの階数、エレベーターの有無によって、かかる転居費用には相当の幅があります。ある程度余裕のある引越し計画なら、事前に引越し業者を数あるなかから選ぶことも可能です。しかし無理のある日程だと、多少割高でも頼まなければならない状況になりかねません。
新しい家具や家電を揃えたり、逆に処分するための費用もかかったりと、引越しには思わぬ出費が重なるものです。転居が済んでからも、新たに必要なものが見つかる可能性もあります。少し余裕を持って予算を検討しておいたほうがベターでしょう。
特別控除3,000万円を適応するにはしっかり確定申告が必要
マンションを売却した暁には「確定申告」をする必要があります。売却をしても利益がなければ申告の必要はないと勘違いしている方もいますが、正確には申告しなければなりません。一定の条件を満たせば、売却で損失が出たときに税金(所得税・住民税)が還付される制度もあり、また売却益をなかったことにできる「特別控除」も確定申告をしなければ適用されないためです。
またマンションの売却益がないと思っていても、税金の計算方法は複雑で、解釈が難しいこともあります。税理士を頼む必要まではないものの、管轄の税務署に相談に行くなどして、現状を把握しておくと安心です。
税務署は過剰に税金を申告しても何も言いませんが、少なく申告していると指摘をされます。マンションなどの不動産を売却すると、住宅ローン控除などで買主が申告することもあって、税務署から問い合わせが来るかもしれません。忘れず申告することで、追徴課税や延滞税のリスクを避けることもできます。
3,000万円の特別控除とは
自宅マンションを売却したときに適応される、「3,000万円の特別控除」制度。これは国の減税制度になりますが、自ら手続き(申告)をしないと適用はされません。売却を依頼した仲介者や銀行がやってくれることはなく、税理士にお願いすればそれだけ費用もかかってしまいます。
不動産関連の税金には、相続税などもっと難しい制度もありますが、3,000万円の特別控除くらいなら自分で簡単に申告が可能です。
この制度は正確には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と言います。内容自体は簡単で、マイホームマンションを売却しても3,000万円までの利益には税金がかからない、というものです。
3,000万円も利益が出るようなマンションはまれですが、数百万の利益があってもこの制度を利用しない場合には、数十万の税金がかかってしまうことになります。譲渡所得(マンションの売却金)に対する税率は想像以上に高く、油断できません。
マンションを売却したときの譲渡所得の計算方法について、基本を理解していると確定申告も楽になります。大まかな仕組みについて見てみましょう。
不動産の譲渡所得について(居住用のマンション)
まず、マンションを売却したときの計算には「所有期間」が大きく影響します。
所有期間が5年を超えるとき……長期譲渡所得=税率20%
所有期間が5年以下のとき……短期譲渡所得=税率39%
(※所有期間はマンションを売却した年の1月1日で判定。住民税込)
所有期間で2倍もの違いがあります。長期、短期の区別なく、譲渡所得の計算方法は以下のとおりです。
売却金額−(取得費+売却費用)=譲渡所得
売却費用としては、仲介手数料・登記費用・不動産所得税・契約書の印紙代などがあります。注意が必要なのはマンションの取得費で、購入した当時の金額では計算できないということです。マンションは住み続けることによって経年劣化するため、そのぶんを減価償却して取得費からマイナスする必要があります。これを知らずに売却利益を少なく計算してしまうこともあるので注意しましょう。
たとえば3,000万で購入したマンションに10年住んで、4,000万円で売却したとします。売却にかかった費用(手数料、税金など)が100万円だった場合、以下のように計算できるでしょう。
売却金額(4,000万円)−(3,000万円+100万円)=900万円(譲渡所得)
900万円に対して長期譲渡所得の税率20%をかけた180万円が、納めるべき所得税になります。そんなに税金がかかるのかと驚くかもしれませんが、心配はいりません。この譲渡所得を控除(なくす)してくれる特例が、ご紹介した「特別控除」です。
居住用のマンションを売却したときには、短期、長期に関係なく「3,000万円」譲渡所得から差し引くことができます。先の例で説明すると、このようになるでしょう。
売却金額(4,000万円)−(3,000万円+100万円)−(特別控除3,000万円)=0万円(譲渡所得)
譲渡所得はなくなって、税金が課税されることはありません。簡単に説明をしましたが、この特例を受けるためにはまず確定申告が必要です。マンションを売却した年の翌年の申告期間が期限となり、適用要件や除外要件、適用を受けるための手続きも細かく決まっています。
税務署でもらえる確定申告用紙やチャートに詳しく書かれているので、それに沿って記入すれば難しくはありません。居住用マンションの売却で利益が出そうなときは、「3,000万」「所有期間」について意識しておきましょう。
確定申告の必要書類と申告時期
マンション売却の際に特例を受けるための確定申告で、大切なことは「申告時期」と「必要書類」です。申告の内容自体に複雑なことはなく、管轄の税務署に行けば書き方を教えてくれます。電話相談・電子申告も可能です。
まず「申告時期」ですが、マンションを売却した翌年2月15日~3月15日の間で、申告場所は居住地の管轄税務署になります。譲渡損失で還付金があるような場合には、還付申告となり翌年早々から申告することが可能です。
「必要書類」は下記のとおり。書類によっては取り寄せに日数がかかるものもあるので、早めの準備を心がけましょう。
・確定申告書B様式
・分離課税用の確定申告書
・除票住民票
・譲渡資産(マンションの登記事項証明書)
・新しい住民票
・譲渡所得明細書
・住宅借入金の残高証明書(譲渡資産)
・売買契約書(コピー)
・仲介手数料などの領収書(コピー)
マンションを居住用として使っていたことを証明する書類を求められることもあります。3,000万円の特別控除を受けるには、別荘や一時的に住んでいたようなマンションだと適用除外になり、判断が難しいケースがあるためです。
事故物件のマンションを売る方法
マンションの売却を検討していても、人にはなかなか言いにくい事情があって悩むケースもあります。いわゆる「事故物件」と呼ばれる場合などです。事故物件以外にも、以下の2つは売却しづらい傾向にあります。
・汚れ、悪臭など室内の状況がかなり悪いマンション
・築年数が25年を超えるような古いマンション
しかしながら、最も売りにくいのが「事故」「事件」があった事故物件でしょう。事故物件の詳細には難しい法律用語もありますが、こちらでは「いかに売却するか」についてかみ砕いてご紹介します。
事故物件を売りたいという悩みを解決するなら、売却方法を知ることが最大の近道です。このとき注意したいのが「告知義務」について。事故や事件があったとこと隠してマンションを売却することは、法的に認められません。告知義務違反として瑕疵担保責任や賠償問題にもなるため、念頭に置いておきましょう。
売却しづらい事故物件(マンション)を売却するには、3つの方法が考えられます。
①買取業者に売却する
一番現実的で確実な方法は、専門の買取業者に売却を依頼することです。事故物件を専門で扱う業者もいますし、最近では事故物件でも安ければ良いとして購入するユーザーも少なくありません。業者としては利益が見込める物件とも言えます。
②大幅な値下げをして売却する
値引きをせずに事故物件を売却することは難しいでしょう。しかも、かなりの値引きをしないと売れない可能性もあります。
③数年時間を置いてから売却する
「人の噂も75日」ということわざがありますが、どんな事件、事故も3ヶ月ほど過ぎると段々と人の記憶から消えていきます。世の中に出回った情報も風化していくでしょう。もちろん告知義務が完全になくなるわけではありませんが、1年前の記憶と5年前では違います。10年以上の時間が経てば、より事件・事故に対する印象は薄れているはずです。
値下げ交渉ぶんをはじめから加味しておく
売却活動をするうえで、見落としがちな現実があります。売却というと、どうしても「相場」に意識が集中してしまいますが、ときとして相場価格は幻想に過ぎません。ネットや広告に掲載されている売出価格は、売主の希望金額です。相場価格もある程度、売出価格に影響されていることがあります。
しかしながら、実際に成約される「成約価格」は売出価格と開きがあるケースが一般的です。マンション市況や社会情勢にも影響されますが、時代の流れとして「値引き」交渉をせずに成約するということは考えにくいでしょう。よっぽど人気の物件で、プレミアムがついているようなマンションなら値引きせずに高額で売却できることもありますが、あまり現実的ではありません。
マンション購入にも、物件価格だけでなく「仲介手数料」「税金」「引越し費用」「家具・家電」など多くの費用がかかるもの。買主はできる限り値引きしたいと思うのが当然です。逆に考えれば、前もって値引きがあるものだと予想してマンションの値決めをすることも必要になります。
買主も「高い」と思った金額から納得できる価格帯に値引きされたら、お得に思えて買う意志も強くなりやすいでしょう。このあたりは交渉テクニックとなる部分で、担当者に相談して値決めするのも一案です。
値下げに応じるかリフォームするかは損得勘定で
値下げをするくらいなら、リフォームをして少しでも高く売却したいと思う方もいるでしょう。ただし、一度冷静になる必要があります。リフォームをすれば、確かに売却できる可能性は高くなるかもしれません。しかし費用分もしくは費用以上高く売却できるかは、ハッキリと言って確証がないでしょう。
勘違いしてしまう売主は多くいますが、リフォームをしても買主がそのリフォーム内容を気に入るかは全く別問題です。たとえばキッチンや浴槽を入れ替えするとしても、売主の好みや感覚で内容を決めることになります。それに内覧者、買主が価値を見出す保証はどこにもありません。
リノベーションして自分好みの内装にして住みたい買主もいますし、色や形だけで好みが分かれてしまうのがリフォームの怖さでもあります。そんなリスクを取ってリフォームするよりは、そのぶん値引きをして買主と交渉したほうが早期に売却でき、結果として手元に残る金額も増えるかもしれません。
不動産一括査定サイトを上手に活用しよう
大切な資産を手放すとき、まず行うべきは「適正な価値を知ること」です。マンションを売却するにあたっては、不動産会社の提示する査定額からうかがい知ることができます。しかし1社のみの査定を依頼した場合、それが高いのか安いのか、果たして適正なのかを判断することは困難です。
より実際の売却価格に近い相場を知るためにも、複数の業者にお願いしたほうが賢明でしょう。不動産一括査定サイトであれば、1社ずつ連絡をとる手間がなく、気になる業者にまとめて査定依頼を出せます。そのうえで、自分の希望に近い額を提示した業者を選ぶのも良いでしょう。
「できる限り早く、高く売りたい」と考える方にとって、不動産一括査定サイトは心強いサポートを担ってくれるはずです。
マンション(中古・新築・投資用)の査定におすすめ
HOME4U(ホームフォーユー)
地方の不動産にも強く、土地活用プランも一括査定できる
対象エリア:全国
提携不動産会社数:1,300社以上
査定可能な不動産:
・一戸建て
・マンション
・土地
マンションナビ
リビンマッチ
マンション、アパート、ビル、工場、土地など幅広く査定可能
対象エリア:全国
提携不動産会社数:1,400社以上
査定可能な不動産:
・一戸建て
・マンション
・土地
・一棟アパート(投資物件)
・一棟マンション(投資物件)
・一棟ビル
・投資マンション(1R/1K等)
・区分所有ビル(ビル1)
・店舗・工場・倉庫
・農地